クルマとカメラ、車中泊

着火や手入れの「手間」を味わいたければ…ケロシンストーブの世界

今回の1枚
九十九里では桜は通り過ぎてすでに菜の花。夕照に浮かぶ黄色い花はほんのりと切なくていいよなあ。遠くから電車の音と波の音が聞こえてきました

オプティマス、ラジウス、プリマス、マナスルなんていうと何か呪文のようだけど、登山用携帯コンロのメーカーだ。

昔から登山をしている人には、よく知られていることと思うけど、登山用携帯コンロには灯油を燃料とする製品が多くあったよね。最近は廃れてしまったのか、ほとんど販売されていない。

武井バーナーや貝原バーナーという少量高品質のものはまだ販売が継続されているみたいだ。

液体燃料を使うコンロではガソリンを使うコールマン ピークワンが有名だが、こちらは人気があって元気に販売中だ。

密林探索のおり、真ちゅうの輝きが目に止まり、ああ、懐かしいなあと思ったのがこれ! Roost Outdoors ケロシンバーナー。インド製だそうだ。大小あって僕が買ったのは大きい方。すでに品切れの模様だけど、案内される代替品はどれも海外製で同じような品質と思われます

灯油は面倒だからなのかな。確かに着火に一手間必要なので、僕も長らく使わなくなっていた。マナスルのコンロを持っているんだけど、どこかにしまい込んで出てこないのよ。

ところで携帯コンロのことはストーブとかバーナーと呼ぶらしい。家庭用だとストーブは暖房器具で、コンロが調理用の燃焼器具だよね? なぜなの。誰か教えてくださいませ。

燃料タンクは1.3L。8時間近く燃える。長時間火を使えることが機能としての魅力。しかし、何よりも金属の質感が良いところがいいと思うんですよ
バーナー部と五徳。立派な五徳付きで大きい鍋ややかんでも安心。その昔、キャンプで大鍋料理やったなあ、なんて思い出した
バーナー部を横から。中程にあるお皿みたいなところにアルコールやゼリー状の着火剤を入れて火をつける。するとその上の真ちゅうパイプを熱して灯油を気化させるんだね。灯油に火がついてしまえば、燃焼は持続します

夜、火をつけるとこんな感じ。味があるんだよねえ。逞しい燃焼音と強い炎が出てきます。でも実は風に弱いので風防は必須。周りをアルミ板とかで囲おうね。さらに言えば火力調整も苦手。漢は常に最大火力って感じです(笑)

まあ、着火も一手間あるし、欠点も多いので廃れてしまうものなのかなあ。あ、それからうっかり火が消えてしまうと気化していない灯油が噴き出してきて火だるまになるので、大変危険!絶対に車の中やテントの中で使ってはいけません!!

買ってしばらく使い込んだ姿がこの3枚。天体観測やドローン空撮の際に横でお湯を沸かしっぱなしにして使うほか、普段は庭に置きっぱなしでコーヒーを楽しんだりしている。真ちゅうは錆びてきてこそ味が出てくるんだよね。製品としても五徳が曲がってたり、灯油が染み出したり、なんだかんだ手を入れなきゃいけなかったりと手間はかかるんだけど、この味がわかる人にはおすすめの1点であります!

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ