クルマとカメラ、車中泊

写真家のための位置情報管理:スマートウォッチを使ったロケハン術

今回の1枚
ちょっと寒い日が続いてますけど、4月にもなると日没後すぐに沈みゆくオリオン座を見ると、ああ夏に向かってゆく季節なのねえと、季節の移ろいを感じちゃうわけです。今回の記事中でロケハンした場所でオリオン座を撮ってみた1枚です。昼間のうちに、ああここで星を撮りたいなあって場所を探しとくわけです。夜になっちゃうと周りが見えないからね。さよならオリオン!

方向音痴なんでR。とは思いたくはないんですがハンディGPSたくさん買いましたw あ、正しくはGNSSね。最初に買ったのは90年代、マゼランGPS2000だったなあ。海外旅行の時のナビに使ったり、天体観測の設定に使ったりしてました。近年はハンディナビを撮影ログを取るのに使ってるんです。プロだろうがアマだろうが、撮影場所っていうのは大切な財産なんですよね。良い場所を見つけたらきちんと場所を管理しておきたいわけです。

最近のデジタルカメラではスマホと連携させたりGNSSデバイスを追加すると撮影データに位置情報を記録できますよね。でも、この方法だとうっかり撮影場所が漏れちゃったりするんで、僕は使ってないです。仕事の撮影だとクライアントにご迷惑をかけることになっちゃったりして怖いのです。だから位情報は別ファイルで管理したいのですよ。でもね、実際のところ別デバイスだと持ってくの忘れちゃったり、別途充電が必要だったり利用効率がイマイチなんですよね。

いまも手元に残っているのはこのふたつ。GARMINですね。

で、いつも忘れず持っていくものとなると腕時計! なんですね。そこでAmazfit Acthive2なわけです。リーズナブルな価格帯でありながらオフラインマップ、つまり地図表示上で自分の位置がわかる機能が利用できるんですね。購入価格は2万円弱ですが、おそらくこの価格帯でオフラインマップが使える唯一の機種なんじゃないでしょうか。

目的地を設定してナビゲーションも可能ではありますが、サブスクの別アプリが必要になります。なので、目的地へのナビゲーションを求めるなら素直にアップルウォッチを買うべきでしょう。だけど、Amazfit Acthive2なのは電池の持ち! なのです。Amazfit Acthive2では最大10日間。GNSSの連続使用では21時間がカタログスペックです。後述するロケハン時にGNSSログを取るような使い方をしても4日程度は電池が持つんです。少なくとも毎日充電てわけではないです。他にもたくさん充電しなきゃいけないものは多いので、充電が必要なものを増やすのは煩わしいんですよ。

実はAmazfitを買うのは2台目。BipSという低価格機種を使っていました。GPSログは残せるけどオフライン地図は表示できないなど機能は少なくなるものの、なんとこちらの電池の持ちは最大40日。現実の使用でも20日以上でした。なので、Amazfit Acthive2の電池の持ちにも期待してたわけです。

特に省エネを気にしなくても3〜4日は電池が持つのが僕にとっての最大の魅力。

スマートウォッチとしての機能はすでにレビューがたくさん上がってるので、ここでは書きません。ごめんね。僕の使い方はGNSSロガーなのでそれについて書こうと思います。

オフラインマップ表示。自分の位置がわかるだけだがそれで十分
アプリを追加できる。ハンズフリー通話ができるのもポイント高し
地味だけど、気に入ってるのがライト機能。赤ライトがあるのですよ。赤色だと瞳孔が閉じにくいので天体観測や星景撮影時に便利なのだ

まず、前提として僕のデータ管理は日付管理のみです。赤枠内を見てください。親フォルダーは「0312」となっていますが、3月12日という意味です。そこに、カメラごとにデータをコピーしているだけです。カメラデータの下にある拡張子がgpxとなっているファイルがActhive2で記録したGNSS情報(GPSログ)です。このログを見れば位置と時間がわかるので、撮影データのExifの時間と付き合わせれば詳細な場所やそこまでの経路がわかるわけです。

ロケハンや撮影に出かけ目的の場所に着いたら、Acthive2のワークアウトメニューを起動します。GPSログを運動の記録として残すわけです。ワークアウトの種類はたくさんありますが、運動の管理が目的ではないので、ウォーキングやランニング、サイクリングなどを選んでおけば十分です。GOをタップして衛星信号が受信できれば記録開始です。受信が不十分な状態では待機か即時開始かを選べますが、受信が不十分な状態から始めてもGPSログ目的としては実用上問題ないと思っています。

待機するにしても10秒以内で済んでしまうことがほとんどですし。あとはロケハンや撮影が終わったら、ワークアウト記録を終了すればOKです。記録の終了は2時位置のボタンを押すと終了画面になります。

適当なワークアウトをタップ。自動でワークアウトを検出するモードもある
十分に衛星信号を受信できていると表示はグリーン
ワークアウト中の表示。マップの拡大・縮小、移動ができる

位置情報の取り出しは、スマホアプリZeppを使います。ワークアウトメニューを開きアクティビティを見ると最新ワークアウトが表示されています。今回は過去ログを取り出すので、赤丸内にある>をタップです。過去ログ一覧がでるので、目的のログをタップすると、ロケハン時の情報がマップ表示されます。

ZEPPアプリとActhive2はBluetoothでペアリングしておきます
ワークアウトを画面下でタップしたら赤丸内の>をタップ
3月12日のロケハンログを呼び出せた

ワークアウトログが呼び出せたら共有メニューからデータをエクスポートします。データ形式はGPX形式を選んでください。GNSSハードウェア・ソフトウェアで広く使われている形式です。エクスポート先に他のアプリを選ぶと直接位置ログを表示することができます。僕はスーパー地形を使っていますが、ヤマレコやGoogle Earthなどでも表示が可能です。スーパー地形は時刻情報を簡単に見ることができるのでロケハンログにはもってこいです。

赤丸内の…をタップ、「データをエクスポートする」
GPX形式をタップ
エクスポート先を選ぶ
スーパー地形での表示。グラフ上部に時刻情報が表示される

今回は最近のロケハンを記事にしたんだけど、人間の記憶って不思議なものでどこで撮ったのかがわかると、数年前のことでも写真に写ってはいないいろんなことを思い出すよね。もしかしたら人間の忘却って完全デリートではないのかも?と思ってしまいますよね。

3月12日のロケハンの成果。メタデータのファイルの作成日とスーパー地形の時刻情報を突き合わせればよい

さて、エクスポートがあったらインポートもあるわけで、Active2に自分で作ったルートを読み込ませてみます。まずざっくりと言うとスーパー地形のGPSメニューから「トラックの作成」→「地面に沿ったトラック」と進み適当な名前を付けて保存します。表示されたトラックをタップするとサブメニュー(トラックメニュー)が開くのでそこからエクスポートしてZeppアプリに送り込むわけです。僕はMacでトラック作成をやっていますが、iPhone、iPadからも可能です。

画面下部GPSメニューをタップ。サブウインドウから「トラックの作成」
追加と削除を使ってトラックを作る。「完了」は画面左下にある
トラックの種類から「地面に沿ったトラック」を選ぶ。平地では「単純なトラック」でも差し支えない
適当な名前をつける他にルートの色も変更しておくと良い
マゼンタで表示された線が作成したトラック
作成したトラックをタップすると「トラックメニュー」が画面下部に表示される。「外部への出力」を選ぶ
サブメニューから「送る」を選ぶ
GPXを選択
AirDropを利用してiPhoneに送る。Zeppアプリとスーパー地形が同じデバイスに入っている場合は、直接アプリを指定して送り込める
Macからスーパー地形のトラックデータをiPhoneにAirDrop経由で送ったところ。Zeppアプリをタップ
Zeppアプリに作成したトラックが表示される。右上の保存をタップ。マイルートに保存される
右上の・・・をタップし「デバイスに送信」を選ぶ
対象デバイスを選択して完了。ここではActive2

作成したルートはZeppアプリのマイルートとActive2に保存された状態になりました。Active2からこれを利用するにはワークアウトを使います。
適当なワークアウトを選び、スタート画面からマイルートを選べば、Active2にルートが表示されます。

スタート画面下部「設定」をタップ。GOを押す前に行う必要がある
ナビゲーションをタップ
マイルートをタップ
目的のマイルートをタップ。ここではTEST
ルートの使用をタップ
作成したルートがオフラインマップの上に表示される
ワークアウトを開始すると現在位置から作成ルート始点までの距離と方向が点線で表示される
現在位置が作成ルート始点に到達するまで逸脱追跡のアラートが定期的に表示される
写真を拡大。現在位置から伸びている黒い点線が作成ルートの方向

この方法を使うと簡易なものではあるけどナビゲーションができるようになります。歩きや自転車なら目的地の方向がわかるだけで十分ですからね。と僕は思います。日常遣いとしてごく短いルートをいくつか保存しておくと便利です。

この記事でルート作成に使用したアプリはスーパー地形ですがヤマレコやジオグラフィカなどでも同じようにルートの作成ができます。残念ながらGoogle Earthではルートの作成ができません。

スーパー地形は以前にも紹介していますが、僕はイチオシです。記事執筆時点での機能制限解除は買い切り1,300円となっています。

蛇足:スマートウォッチのもう1つの魅力は文字盤を気軽に変えられることだよね。それで思い出したのがデジタルかアナログかって話。ブルータス編集部にいた頃毎年スイスの時計ショーに取材にいっていたんだけど、それはもう装飾や機構に趣向を凝らした高級時計をたくさん見てきました。見ただけですよ(笑)

そんな時計を堪能するなかバイヤーさんとかいわゆる時計業界の方達はシンプルなアナログのPatek Philippeやグランドセイコーをしてらっしゃるんですね。ちょっと不思議に思って業界の方に聞いてみたところ、「ビジネスの時計はね、商談相手に見せるためにあるんですよ。」と言われたんですよ。「?」と思ってさらに聞いてみると、「テーブルに手を置いて商談すると相手の時計で時間を知ることができるでしょ? その時ひとめで時間のわかるシンプルなアナログがいいんです。」ああ、なるほどーと思いましたよ、

これ。相手の時計は逆さになってるからたくさん針があったりデジタル表示だと時間がわかりにくいよね。だからお互いにシンプルなアナログなのね。聞いた方だけの感想なのか業界全体の慣習なのかはわからなかったですが、お互いの時間を大切にするビジネスマンならではの発想なのだなあと大変に感心したものです。手を動かさないと表示が消えるスマートウォッチはどうなるんでしょうかね。あなたのために私はすべての時間を空けてきました的なメッセージになったり? しないかなあ。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ