クルマとカメラ、車中泊

#12:お茶の時間

愛用のポータブル電気ポットを紹介

今回紹介する湯沸かしポット3製品。左から①100V 300W、②12V 75W、③100V 230Wというスペック

気持ちの良いフィールド、仕事の合間、寒い夜空を眺めながらいつでも温かい飲み物が欲しいですよね。というわけで車中でお湯が沸かせれば便利極まりないのです。

通常、乗用車の電装系は直流12Vだけれども、以前紹介したように僕の車にはサブバッテリーとインバーターがあるので交流100Vを使うことができ、選択の幅は広がる。今日は僕が使っている3つの湯沸かしポットを紹介しよう。

300Wですぐに沸く最新製品

冒頭の写真の①はつい先日購入した「Focustar HC-301」。今、Amazonで“ポータブル電気ポット”を検索すると、これと同じタイプのものがたくさん出てくる。沸かせるお湯の量は300ccでちょっと少なめ。コーヒーなら2人分ギリギリ。カップ麺は小ぶりのものならOK。しかしながら300Wと強力ですぐにお湯が沸く所がいい。

Amazonのカスタマーレビューでは、電源コードがアース付き3ピンのもので、別途アダプターが必要と書かれていたが、僕が購入したものでは日本で一般的な2ピンのプラグに変換するアダプターが同梱されていた。こうしたところも日々アップデートされているんだね。

この写真は蓋の部分を撮ったものだが、蓋がふくれて、白いキャップが浮いているのがわかると思う。2回ほどお湯を沸かしたら、蓋が膨れてしまったのだ
蓋を外して裏を見ると2つのピンが飛び出している。これは表に見える白いキャップの取り付け部分になるのだが、大きい方は蒸気逃しの穴であったのだ! お湯を沸かす時は白いキャップを上から引き抜いて、蒸気を逃しながら使うべきであった。ああ、これは完全に僕の使用方法の誤りであった(笑)
つまりこうして使いましょうね。蒸気が出てくるので注意だけど

レンタカーでの出張に12V対応品

②は2019年に購入した製品。現在はディスコンなのでAmazonで代替品を探すと以下の製品が見つかった。

僕が購入したもののスペックは12V時70W、24V時100Wだが、この代替品のスペックを見るに、消費電力の記載が35Wだったり100Wだったりいい加減。でも、おそらく同じものであろう。35Wだとそもそもお湯が沸かないのではないろうか。

クレードルと電源コード。シガープラグになっているので、ほとんどの車で使える。24Vにも対応するので、トラックでもOKとのこと

ともあれ12Vでお湯が沸かせるのは手軽でありがたい。沸かせるお湯の量は380ccなので、コーヒーもお茶も余裕で2人分。大きめのカップ麺も大丈夫。ただし、最高温度は90℃でそもそも沸騰しないし、沸くまでの時間もかかる。また、クレードルに乗せて通電するので、走行中にお湯を沸かすのは危険だ。ポットが倒れてお湯が吹きこぼれてしまう。

さて、この手の水筒型の湯沸かしには「お湯が溢れる」という低評価レビューを見かけることがあるが、それもそのはず。蓋には調圧穴が付いているからだ。蓋の部分に大きい穴と小さい穴が見えるだろうか。大きい方は注ぎ口で、蓋を閉めればパッキンで塞がれるのだが、小さい方は蓋をしても穴は塞がれないまま。つまり倒せばお湯が漏れてくる。しかしこれは当然の処置で、お湯が沸けば蒸気で内圧が高くなるからそれを逃す穴が必要なのだ。この穴を塞いでしまうのも一つだが、危険なのでやめておこう。

以上、ネガティブな部分も書いてしまったが、僕自身はそれでも愛用している。なぜかといえば、シガープラグに繋ぐだけで良いからだ。出張などでレンタカーを利用する際にも、車側に何かを追加する必要がない。そういうわけで、車中泊グッズというよりは出張の時に持っていく便利アイテムの一つとなっている。

愛用歴30年? サンヨーのトラベルポット(旧製品)

③はサンヨー 旅がらす トラベルポットAVA500という海外旅行向けのポット。大変申し訳ない、こちらもディスコンだ。これについては代替品も見つからなかった。時折メルカリやヤフオクで見かけるが。

スペックは100V・230W。海外使用に合わせて220Vにも対応している。これはもういつ買ったか思い出せない。記憶を辿ると30年近く前、海外出張のために購入したものではなかったろうか。

長らく、そして最も愛用している旅がらすだが、楕円形の筐体であるため車内など狭い場所にパッキングしやすいことが一番の理由。沸かせるお湯の量も500ccと十分な量である。ただし、温度調整や電源の切り忘れ防止機構はないので注意だ。

家庭用の電気ポットによく見かける、マグネットで電源コードを接続するタイプ。スイッチは付いていないが、このコードのおかげでオンオフしやすい

検証:湯沸かしの所要時間をそれぞれ計測

以上3つの湯沸かしポットを紹介したが、最も大切なのはお湯が沸くまでの所用時間じゃないだろうか。そこで実際にお湯が沸くまでの時間を測ってみた。条件を揃えるため、20℃の水300ccが沸騰するまでの時間を計測した。結果は下の表の通りだ。また、スペックもわかる限りのことをまとめてみた。

メーカーFocustarYUYUZサンヨー
型番・製品名HC-301不明旅がらすAVA500
定格電圧110V12V/24V100V/220V
消費電力300W12V時75W
24V時100W
100V時230W
220V時300W
沸かせる湯量300cc380cc500cc
沸騰までの時間
20℃の水300cc
4分40秒12V時 ※最大90℃
18分30秒
100V時
8分30秒
機能自動電源オフ温度調整3段階
自動電源オフ
特段の機能なし

結果は表の通り。さすが最新製品の①は宣伝通り5分以内にお湯が沸いた。もっとも今回の測定は20℃からなので、冬場にはもっと時間がかかる。しかし5分前後でお湯が沸くのは、とっても魅力的だ。電源を入れたらカップとコーヒーやお茶を用意して、ふと気づくとお湯が沸いているという感じだ。容量は少ないものの、速く沸くなら2回沸かせば良いだけだ。今後の愛用品になりそうな予感である。②は完全にレンタカー用と割り切っている。③の8分30秒はちょっと待たされる感じだが、何より500ccの湯量が魅力。冬場はこっちかな。さらに愛用期間が伸びそうである。

冒頭にも触れたが、①と③はサブバッテリーまたは大型モバイルバッテリーが使えることが前提だ。それらに準備とお金がかかってしまうものの、火を使わずお湯を沸かせることはとても大事だ。車中泊って自由な気もするけれど、キャンプ場以外の駐車場などではガスコンロなども含めて裸火厳禁の所がほとんどだからだ。これは車内で火を使うことも同様に禁止されている。そもそも車内で火を使うのは危険だし。

夏冬関係なく手元でお湯を沸かせることは便利この上ない。お茶を飲むこと、料理に使うこと、そして調理器具を洗うことなどお湯が必要なシーンは多いもの。車載バッテリーと共に検討されたし。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。またドローンでの撮影や、国家資格の審査員も行なっている。コロナ禍の影響で拠点を九十九里に移してから、ネット通販、特にAmazonの利用機会が増加。ちょっとくらい評価が悪くても買ってしまう“密林の探索者”を自認している。