クルマとカメラ、車中泊
#11:タイヤ交換にはトルクレンチ
2024年1月20日 12:00
というわけで今回はタイヤ交換! 雪が降ったからというわけではないが、もともと予定していたところに雪が降った。ホイールもシルバーから黒に変えたので随分と印象が変わる。黒の方が精悍な印象だと思うんだけど、どうでしょ。
タイヤセットはタイヤ通販オートウェイ(https://www.autoway.jp/)で購入しました。このホイールとこのタイヤのセットを選んで、お値段締めて税込3万8,000円なり。
オートウェイはこれまでも何度か利用している。今回はホイールとのセットにしたが、それぞれ単品でも販売している。単品の場合、自分でタイヤをホイールに取り付けるのはかなり厳しいが、オートウェイでは提携工場に送って組み付けをしてもらえる。提携工場も近所の整備工場やガソリンスタンドを選べるので便利なのだ。組み付け費用は別途になるのでそれも予算に入れて考えてね。それも含めた値段はオートバックスやイエローハットなどの自動車用品店と比べて激安かというとそうでもない。僕のように軽自動車のタイヤくらいだと、自動車用品店の価格と数千円程度の違いだ。もっと径が大きく高額なタイヤの時には激安! と思えることだろう。僕にとってのメリットはWebでゆっくり選べることかな。
今回のタイヤはグッドイヤーのスタッドレス。12インチのノーマルサイズだ。僕はものぐさなので、年間スタッドレス履き潰し派だ。スタッドレスタイヤをシーズンごとに履き替えにしても雪上性能は3シーズン程度なので、履きっぱなしで2シーズン使おうという腹だ。乾燥路面だけなら3〜4年は使えてしまう。もちろん乾燥路での性能はサマータイヤには及ばないが、安全運転で普通に走れれば良いと考えるなら不足はない。という具合で、僕はスタッドレス履きっぱなし派になって10年以上である。
スタッドレスタイヤ自体は90年台から使用していて、初期の製品は「雨が怖い!」という印象だったが、以前に乗っていたプリウスで、ここ10年のスタッドレスタイヤは「雨の日はいつもより気をつけましょう」という程度に進歩していると感じた。そもそも軽バンでスポーティに走るわけではないし。
でも実は、これまでエブリイに履いていたのはスタッドレスではなくオールシーズンタイヤ。スタッドレスよりも乾燥路での性能を重視したと言われているものだ。その印象は、確かに乾燥路でも雨天でもノーマルタイヤと遜色ない印象。一方積雪路はスタッドレスと比べると不満といった印象。集計してみたところ、2年ちょっとで4万3,000km走っており、持ちは十分といったところ。で、今回は雪道重視でスタッドレスにした次第。交換後の第一印象は乗り心地が良くなったこと。路面凹凸でのショックが柔らかい。これはちょっと嬉しい。それ以上の報告はいずれ。
実施手順を紹介
ここから先はタイヤ交換の手順を振り返る。タイヤ&ホイールのセットだから、自分で交換した。以下は僕の我流と呼ぶべきやり方で、車整備に慣れている方は、ふ〜んそんなやり方してるのね、と見ていただければいいのだが、これから車整備をやってみたいという方は、まず近所の整備工場でプロから話を聞いてね。
まず全体の手順。
- ホイールナットを軽く緩める
- ジャッキアップ
- ホイールナット、タイヤを外す
- 取り付け面、ボルト、ナット清掃
- タイヤ取り付け
- 規定トルクの6割程度でナット締め付け
- ジャッキ外す
- 規定トルクで締め付け
- 10km程度走行後、規定トルクで締め直し
- 100km程度走行後、規定トルクで締め直し
ホイールナットを1/2回転ほど緩めてからジャッキアップ。ジャッキアップの前にホイールナットを緩めておかないと供回りしてナットが緩まないよ。で、ジャッキアップを2か所でやってるけど、それはジャッキを2つ持ってるから。車載ジャッキで1本ずつ交換しても構わない。ジャッキを車にかける場所は付属の整備手帳に載っているので必ず自分の車で確かめて。路面が土など柔らかい場合はジャッキの下に厚い板を敷いて力を逃しておくこと。柔らかい場所だとジャッキが潜って倒れちゃうのよ。輪止めも忘れずに。
そして、もう一つ大事なことはジャッキアップしたらしばらく時間をおいて、倒れたり傾いたりしないか様子を見ること。お湯を沸かしてお茶を飲むくらいでちょうどいい。
ホイールを外したらハブ(ホイールを車体に取り付けている部分)を掃除しましょう。結構錆びているはず。錆びたところに少し防錆潤滑スプレーを噴いてからワイヤーブラシで擦るといい。ブレーキディスクにスプレーがかからないように注意。ま、かかってしまっても、パーツクリーナーで落とせばいいんだけど。
使ったケミカル類はこんな感じ。コメリやカインズホームのPB商品を使っています。お安くて入手しやすいので。ネットで買うなら、ワコーズとか高級・高機能な商品もあるけど、まずはKUREがお馴染みで安心かな。
ハブのついでにブレーキディスク、キャリパーなどにパーツクリーナーを噴きかけて、洗浄仕上げ。ハブについたボルトも丁寧に汚れと錆を落としましょうね。ホイールナットも同様に。特に斜めにカットされた座面の部分を綺麗に。段付きや傷があったら交換しましょ。
ホイールを取り付けたらホイールナットで締めるんだけど、ジャッキアップしたままでは強く締められないので、まずは規定トルクの6割程度のトルクでホイールナットを仮止めする。
ちなみに締め付けはトルクレンチという工具を使って正確に行うといい。メーカーが指定するトルクを「規定トルク」なんていうけど、これも車載の整備手帳に載っています。エブリイは85N・m(ニュートンメートル)。僕が使っているトルクレンチはアメリカの工具メーカーProtoの製品で、30年ほど前に買った骨董品(笑)なので単位がN・mではなくkgf・m(キログラム重メートル)なので変換する。といっても、9.8で割ればいいだけだけど。85÷9.8=8.66759が規定トルク。そのおよそ6がけの5kgf・mで仮締めします。
あ、それからトルクレンチはトルク測定のための精密機械です。締め付けトルクを設定して締め付けるときだけ使うもの。取り外しなど他の作業の時は普通のレンチを使いましょうね。
ジャッキを下ろしてタイヤを接地させたら規定トルクで本締めします。トルクレンチが水平近くなる位置で締めるんだけど、カチって言ったら規定トルク。ナットを締める順番は対角線で。4本なら十字、5本なら星形になるね。
4本を交換したら10kmくらい走って、もう一度規定トルクで締め直す。さらに100kmくらい走ったら再度規定トルクで締め直してタイヤ交換は完了。規定トルクで締めていても、走行するとタイヤは微小に動いて落ち着くところに落ち着いて、その分緩みが出ることがあるので締め直しが必要なんです。
銀色の長いのが、タイヤ交換など大きな締め付けトルクが必要な場合に使っているProtoのトルクレンチ。黒いのは普通のソケットレンチ。外す時は普通のソケットレンチ、もしくはタイヤレンチと呼ばれる十字のものでもOK。時折タイヤレンチに足をかけ体重を乗せてナットを締めている人を見かけるけど、それは強く締めすぎ! ボルトのネジがささくれだったりなめてしまったりして、かえってホイールがとまらなくなっちゃったりします。
もう一本持っているのが、デジタルトルクレンチ。こちらは締め付けトルクの範囲が1.8N・mから60N・mなのでタイヤ交換には使えない。エンジン周りや車内、あとバイクの整備に使っています。
一本で済ませたい人にはこの辺がおすすめかな。
最近の安いデジタルトルクレンチはほとんど中国製ですが、精度についてはほぼ問題ないと思います。我々アマチュア整備にとって大事なのは、トルクの正確な絶対値よりも繰り返し同じトルクで締められれば良いので。でもやっぱり精度が高く安心できるものが欲しい人にはKTCやTONEがおすすめ。SK11も日本製だし安心できるかな。
ちなみにトルクレンチは定期的に校正するものとされています。Webで「トルクレンチ 校正」と検索するといくつか校正屋さんが出てくるので、適度な値段のものを買って校正に出すというのも一つの手段です。
そして最後に。ネジの締め付けトルクって、その太さによって工業規格で決まってるんですよ。ぎゅーぎゅー締めればいいってもんじゃありません。これもWeb検索してみてください。「締め付けトルク」でOKです。例えばこんなページ(https://www.seiwashoko.co.jp/files/libs/678/202008261535348322.pdf)。
このページを見るとヘッダーにTとありますが、T系列なんて呼ばれます。同じネジ径でもTの値によって締め付けトルクが違います。この表に親切に書いてある通り、一般的なネジではTの列のトルクを使います。車の場合は多くの場合1.8Tの列です。これは使われているネジやネジ穴の素材によって決まってるんですね。車の場合、使われているネジの締め付けトルクは、車載の整備手帳には日常点検に使うごく一部のネジの締め付けトルクが記載されています。より多くのネジの締め付けトルクを知るには車種ごとのサービスマニュアルが必要になります。サービスマニュアルには重要部品のネジの締め付けトルクが記載されているんですが、それでも車に使われているネジの全てではありません。そのようにメーカーが指定していない場合には、このようなページの標準締め付けトルク表のT1.8系列を使うんです。
さて、少しでも興味が湧いたらトルクレンチを買ってみてください。今まで、ものすごく強く締め付けていたことに驚くはずです。