特別企画
iPhone 7 Plus のポートレートカメラモードを試す
デジタルカメラに迫るボケ表現を手軽に
2016年10月31日 08:30
新しいiPhoneは「iPhone 7」と2つのカメラを搭載した「iPhone 7 Plus」が登場している。先日リリースされた最新版の「iOS 10.1」を適用すると、iPhone 7 Plusには「ポートレートカメラモード」という背景ボケを活かせる撮影モード(ベータ版)が追加される。果たしてどれくらいポートレート撮影ができるものなのか、モデルを撮影して試してみた。
ポートレートカメラモードを使うのは簡単だ。カメラアプリを起動して、画面上を右にフリックすればそのモードになる(もしくはポートレートカメラモードの文字をタップ)。
28mm相当の標準カメラから56mm相当(いずれも35mm判換算)の望遠レンズに切り替わって、モデルから約30cm〜240cm以内でiPhone 7 Plusを構えればいい。「被写界深度エフェクト」という表示が画面下部に現れればポートレートカメラモードが有効になっている印である。
ボケが楽しめるゾーンに被写体が入ると「被写界深度エフェクト」の文字が黄色く表示される。リアルタイムでボケ味を確認できるので、はじめてこの様子を見ると「おおっ!」と驚くことだろう。
被写体が遠すぎる場合は「近づいてください。」という表示が。近すぎる場合にも警告は出る。
あとは今までどおりシャッターを切るだけ。iPhoneが人物を認識すれば、顔にピントを合わせつつ背景をきれいにぼかしてくれるはずだ。
ポートレートカメラモードにするとiPhone 7 Plusをモデルに向けただけでこんなにボケるのだ。拡大してよく見ると髪の毛や服のエッジ部分の処理におかしいところがあるが、なかなかの出来映えではないだろうか?
元画像がコレだ。モデルの顔部分を認識し、それ以外の部分をうまく処理しているのがわかる。
背景がより遠くになるようなロケーションを選んだ。遠景は自然だが、よく見ると手すりの部分で処理がうまくいってない箇所が少しだけある。
元画像。小雨が降る微妙な空模様の色合いを自然に写し出すApple iPhone 7 Plus。35mm判換算56mm相当での撮影だ。
ポートレートカメラモードのボケは背景ボケ(後ボケ)が美しい。一般的に前ボケは後ボケより少なくなるが、このモードでも前ボケ量は少なくなっている。
元画像と比較してみると前ボケも若干効果が現れていることがわかる。
擬似的とはいえポートレート撮影だけでなく、テーブルフォトなどで手軽にボケ味をiPhone 7 Plusだけで堪能できるのは嬉しい。ライバルとなるコンパクトデジタルカメラにとっては脅威だが、写真の楽しみを多くに人に知ってもらういい機能だと思う。
ポートレートカメラモードを選択してシャッターを切るだけでこのようなイメージを手にすることが可能だ。ただ反射部分や透明な部分は処理的に苦手なようなので注意したい。
フードの撮影でも威力を発揮しそうだ。画面奥のクロスのボケ具合と、シズル感溢れるお肉が実に美味しそうである。晴天下であればより発色も良くなるはずだ。
iPhone 7 Plusは搭載された2つのカメラによって被写体との距離を撮影、測定してボケ量を決定しているのだという。Android機に見られるようにユーザーが自分でF値の効果を擬似的に設定することはできない。背景と被写体との距離に応じて自然なボケをiPhoneが演算してくれる、というわけだ。
ポートレートカメラモードを上手く使うには、十分な光量がある場所を選び、被写体とそれ以外、というような画面構成にするといい。シンプルな構図のほうが効果が引き立つ。
モデル撮影の場合、ファーや複雑な髪型などのエッジ部分が背景に溶け込んでしまうことに注意して、モデル位置や背景との関係を意識するといいだろう。
ポートレートカメラモードで撮影したカットをアプリで加工して作品に仕上げるのも楽しい。「VSCO」を使用してカラーネガ調にしてみた。
こちらは「Photo fx」でソフトフォーカス調に加工した。パッと見、iPhone 7 Plusで撮影したとは思えない仕上がりだ。iPhoneographyの世界はこれだから楽しい。
この追加されたポートレートモードは「ベータ版」となっており、エッジの描写やボケの具合の処理にまだおかしいところが見られるが、SNSや小さいサイズで使う分には十分すぎるボケを味わうことができる。正式版になってより精度が向上することを期待したい。上手く使うには画面構成をシンプルにし、エッジ部分や苦手な反射部分などに留意してiPhone 7 Plusのシャッターを切ることだ。
モデル:高実茉衣