特別企画
あの「ZEISS純正」iPhone用コンバージョンレンズに、テレとマクロが登場
カメラファンも納得するさすがの高画質 ZEISS譲りの高い質感も魅力
2016年9月9日 10:50
以前紹介した「ExoLens with Optics by ZEISS Wide-Angle Lens Kit」。ZEISSとフェローズが協業してリリースした、iPhone 6/6s、iPhone 6 Plus/6s Plus用のワイドコンバージョンレンズとそのブラケットのセットだ。
ZEISSのテクノロジーが注入された0.6倍のワイドコンバージョンレンズは、剛性感のあるブラケットを介してiPhoneに装着され、画面中央部はもとより周辺部まで高い画質を提供してくれた。
今回そのラインナップに、2倍の「Mutar 2.0x Asph T* Telephoto Lens」とマクロ「Vario-Proxar 40-80 T* Macro-Zoom Lens」が登場したのだ(以下Mutar 2.0xとVario-Proxar 40-80)。
3本の布陣となった「ExoLens with Optics by ZEISS」シリーズ。Mutar 2.0xとVario-Proxar 40-80をさっそくiPhone 6sで試してみた。
準標準の画角が気持ちよい、ポートレート撮影向けの「Mutar 2.0x」
「Mutar 2.0x Asph T* Telephoto Lens」はiPhoneの焦点距離を2倍にする望遠コンバージョンレンズ。iPhone 6sは35mm判換算約28mmなので、約56mm相当の画角となる。
3群5枚構成のレンズエレメントを収めるレンズボディは、フード込みで約98gと単体でもズシリと重みを感じるほどだ。
ボディ側から放物線を描くように拡がるシェイプは、あのBatisシリーズを彷彿とさせる。撮り手のマインドを高揚させてくれるのが嬉しい。
ソリッドで高級感漂うレンズ鏡筒は、サイドに輝く「ZEISS」バッジに恥じない仕上がりだ。
スナップ式のフードを外したところ。約91gとズッシリ感がある。レンズに施されたT* 反射防止コーティングは、ZEISSレンズのお約束である。
アルミ製のブラケットに装着したところ。重量バランスは悪くない。iPhoneに装着した姿は壮観そのもので、街中で構えて撮影していると注目を浴びた。装着時のバランスはよく、適度な重量感が手ブレを軽減してくれるだろう。
ブラケットはシリーズ共通で、三脚穴とコールドシューを備える。各種アクセサリーの使用が可能だ。詳しくはExoLens with Optics by ZEISS Wide-Angle Lens Kitの記事をご覧いただきたい。
iPhone 6sの標準カメラアプリで撮影。スマートフォンカメラのスタンダードとも言える安定感のある写り。近景から遠景まで小さなレンズとイメージセンサーだということを考慮しても、申し分ない描写である。
次はMutar 2.0xを装着して撮影。建物の文字や砂利の立体感までよくわかる。やや周辺部が流れる傾向にあるが、数ある競合製品と比較しても最もいい描写なのは間違いない。剛性感のあるアルミブラケットとレンズのアライメントがキッチリと取れている証しだ。
ノーマルのiPhone 6sを使って、ペイントされた背景の前でモデルを撮影。薄曇りの日陰という難しい条件下だが、iPhoneの優秀なカメラは鮮やかな写真を提供してくれた。
同じ位置からMutar 2.0xを装着して撮影。鮮やかさそのままに標準域レンズの描写を出すことができた。髪と肌、アクセサリーや壁の質感が、スマートフォン+コンバージョンレンズとは思えない写りである。
ノーマルのiPhone 6sでモデルをアップで撮った写真。約28mm相当の広角レンズなので、パースがついて顔がやや歪んでしまう。デフォルメ感を狙うにはいいが、ポートレートとしては避けたい写りである。背景のボケと映り込む範囲にも注目だ。
Mutar 2.0xを装着して、モデルの顔の大きさがほぼ同じになる構図で撮影。顔のプロポーションが自然になったのがわかるだろうか。iPhoneに装着するだけで、モデルのスッキリとした印象を引き出せるのがこのレンズの特徴である。また背景のボケが大きくなり、モデルが分離して浮き立つ効果も得られた。
Mutar 2.0xを使用すれば、iPhoneでは諦めていた遠くのものの撮影が現実的になる。約56mm相当なので、望遠ではなく準標準といえる画角だが、iPhoneの表現が大きく変わるはずだ。
ブラケットは装着するもレンズは非装着でブラブラと歩き、気になった被写体を発見したらMutar 2.0xをねじ込んで撮影。意外とストレスなくスムーズに撮影ができた。つかみやすいネジ山のおかげだろう。もちろんレンズをブラケットに装着したままにしておき、まるごと脱着することも可能だ。
Mutar 2.0xはポートレート撮影に向いている。デジタルカメラと比較してコンパクトでハンドリングもよく、モデルとしても慣れ親しんでいるiPhoneということで、表情がリラックスしている。
iOSアプリのPhoto fxでソフトフィルターをかけてみた。
モデルのスリムなスタイルを自然に写せる遠近感がいい。
撮影場所の雰囲気と光を意識して、Snapseedでラフモノクローム調に仕上げた。
iPhoneの素性のよさを昇華させるこのMutar 2.0xは、Instagramなどで写真を楽しんでいる人にオススメしたい。人と差を付けたいフォトグラファーにとって大きな武器となるだろう。
小さなものを拡大して撮れるマクロレンズ「Vario-Proxar 40-80」
マクロレンズのVario-Proxar 40-80は、レンズ鏡筒を回転させることで、焦点距離を40〜80mm相当の範囲で調節可能だ。撮影距離も30〜78mmの間で可変する。
こちらも当然のことながら、レンズエレメントにはT*反射防止コーティングを採用。よってクリアでシャープな像が得られる。
焦点距離の調節はスムーズで、片手でiPhoneをホールドしながらでも、指先でススッと心地よく可変できる。
スナップ式のフードは半透明で近接撮影時に被写体が暗くなってしまうのを防いでくれる。重量はフードなしで約41g、装着時は約48gと軽量で取り回しは良好だ。
フードを外したところ。
アルミ製ブラケットはシリーズ共通となる。iPhone 6/6s、iPhone 6 Plus/6s Plus用の2種類が用意される。ブラケットのコールドシュー部分にLEDライトを装着してマクロ撮影を楽しむのもよさそうだ。
iPhone 6s単体のほぼ最短撮影距離で撮影。トゲ1本1本の写り、背景のボケ方など、ただレンズを向けてシャッターを切っただけでこれだけ捉えられるのがiPhoneの魅力だ。
Vario-Proxar 40-80を装着。40mm相当では非装着時より少しクローズアップが可能だ。精細感は変わらないままだが、背景のボケ量が増えている。
80mm相当ではフードにトゲが接触するまで寄れる。ここまで来ると手ブレやピント合わせ、ワーキングディスタンスの微妙な変化が画質にシビアな影響を与える。手持ちでは相当慎重になる必要があるが、iPhoneでここまでのクローズアップ撮影ができるのに驚いた。
40mm相当で葉に止まった虫ににじり寄ってシャッターを切った。iPhoneを警戒して触角の1本を後にしている様子や、葉のディテールが見事である。
モデルの瞳を80mm相当で。レンズが映り込んでいるのがわかるだろうか。睫毛や肌の描写、産毛の様子まで克明に捉えることができた。手軽にここまでのクローズアップ撮影を高画質で実現できるのがVario-Proxar 40-80の特徴だ。
まとめ:ずば抜けた画質と高い質感 iPhoneの撮影領域を拡げる良アイテム
世界中で多くのiPhone用レンズアクセサリーが販売されているが、この「ExoLens with Optics by ZEISS」シリーズほど画質にこだわり、モノとしての質感が高い製品は存在しないのではないか。ZEISSのレンズエレメント、コーティング、堅牢な鏡筒、そして剛性感溢れるアルミ製ブラケットを考えると、iPhoneに対していささかオーバースペックなのでは? と感じてしまうほどだ。しかしその写りも実に見事なものである。
3本のラインナップが揃ったことは、Instagramに代表される新しい写真ファンには大きなプレゼントだといえよう。ワイドから標準、そしてマクロと光学的に撮影領域を拡げたことによって、表現の幅も同様になるからだ。より写真の裾野が拡大するのは間違いない。デジタルカメラのコンパニオンとしても楽しめる製品となっている。
YouTubeやVimeoなどに動画を投稿するユーザーにとっても高い性能のこのシリーズは歓迎されるだろう。4Kでも耐える画質、頑丈なブラケットは映像のシーンでも力を発揮するはずだ。
先日新しいiPhone 7/Plusが発表されたが、正規輸入代理のフェローズジャパンによると、シングルレンズのiPhone 7への対応も視野にあるとのこと。ブラケット単体での販売も年内を目指しているというので、今後の展開も楽しみにしたい。
モデル:Sheena
協力:フェローズジャパン株式会社