新製品レビュー
FUJIFILM X100T(外観・機能編)
電子レンジファインダーが写欲を刺激する 完成度が増したAPS-Cコンパクト
澤村徹(2014/10/31 07:00)
FUJIFILM X100Sの発売から約1年半、フォトキナ2014に合わせて後継機FUJIFILM X100Tが登場した。
元々完成度の高いハイエンドコンパクトだが、マイナーチェンジモデルなどと侮ってはいけない。外観は従来機を踏襲しつつ、X100シリーズの肝とも言える光学ファインダーに新機能を搭載し、さらに撮影性能にも数多くの改良が加わった。堅実な進化を遂げたAPS-Cハイエンドコンパクトだ。
まず、外観は従来機とほぼ変わりない。純正オプションのコンバージョンレンズを筆頭に、従来機の各種アクセサリーがそのまま利用できる。買い替え組も安心して手を出せるモデルだ。
光学ファインダーなのにピント位置を拡大表示
最大の特徴はアドバンスト・ハイブリッドビューファインダーだ。従来からのEVF(電子ビューファインダー)とOVF(光学ファインダー)に加え、ERF(電子レンジファインダー)を搭載した。
この電子レンジファインダーは、光学ファインダーの右下に、ピントエリアの拡大表示を表示する。OVF上にEVFを重ね合わせる富士フイルム独自の機能だ。光学ファインダーはピント位置こそ確認できるが、合焦しているか否かはわからない。光学ファインダーでピントチェックを実現したのが電子レンジファインダーというわけだ。
この機能を使うと、光学式の抜けのよいファインダーを見ながら、MF操作が可能になる。コマンドダイヤルの押し込みでオーバーレイ表示したEVFの拡大率を変更したり、フォーカスピーキングやデジタルスプリットイメージに切り替えることも可能だ。電子レンジファインダーという名称通り、レンジファインダーカメラ感覚の操作が今あえて新鮮である。
また、リアルタイム・パララックス補正も注目しておきたいファインダー機能だ。これは光学ファインダーおよび電子レンジファインダーでMF操作した際、近接域で自動的にブライトフレームが動いてパララックスを補正する。近接撮影でフレーミングし直す手間が省け、重宝するだろう。
ブラッシュアップを経て魅力が向上
操作部については、露出補正ダイヤルが±3に対応し、背面のコマンドレバーはコマンドダイヤルに変更となった。Fnボタンとクイックメニューのカスタマイズが可能で、必要に応じて自分好みにセッティングするといいだろう。
スマートフォン用のアプリ「FUJIFILM Camera Remote」によるリモート操作にも対応した。
電子シャッターを搭載し、最速1/32,000秒での撮影を実現。これなら屋外晴天で開放撮影も可能だろう。
その他、フォーカス、露出、ファインダー関連もさまざまなブラッシュアップが行なわれ、総じて操作性は向上している。使い込むほどに愛機としての愛着がわくタイプのカメラだ。
近日公開予定の実写編では、画質面での魅力を探る。