新製品レビュー

FUJIFILM X100T(外観・機能編)

電子レンジファインダーが写欲を刺激する 完成度が増したAPS-Cコンパクト

FUJIFILM X100Sの発売から約1年半、フォトキナ2014に合わせて後継機FUJIFILM X100Tが登場した。

元々完成度の高いハイエンドコンパクトだが、マイナーチェンジモデルなどと侮ってはいけない。外観は従来機を踏襲しつつ、X100シリーズの肝とも言える光学ファインダーに新機能を搭載し、さらに撮影性能にも数多くの改良が加わった。堅実な進化を遂げたAPS-Cハイエンドコンパクトだ。

まず、外観は従来機とほぼ変わりない。純正オプションのコンバージョンレンズを筆頭に、従来機の各種アクセサリーがそのまま利用できる。買い替え組も安心して手を出せるモデルだ。

光学ファインダーなのにピント位置を拡大表示

最大の特徴はアドバンスト・ハイブリッドビューファインダーだ。従来からのEVF(電子ビューファインダー)とOVF(光学ファインダー)に加え、ERF(電子レンジファインダー)を搭載した。

この電子レンジファインダーは、光学ファインダーの右下に、ピントエリアの拡大表示を表示する。OVF上にEVFを重ね合わせる富士フイルム独自の機能だ。光学ファインダーはピント位置こそ確認できるが、合焦しているか否かはわからない。光学ファインダーでピントチェックを実現したのが電子レンジファインダーというわけだ。

OVF(光学ファインダー)の状態でファインダー切換レバーを右に動かすと、電子レンジファインダーに切り替わる
EVF(電子ビューファインダー)は明るさや彩度の調整に対応。フィルムシミュレーションを反映しないナチュラルライブビューも可能だ
OVF(光学ファインダー)のブライトフレームカバー率は、従来の90%から92%に広くなった
ERF(電子レンジファインダー)は、右下にEVFの拡大表示をオーバーレイ表示する
OVF(光学ファインダー)の状態で動画撮影が可能になった。ブライトフレームの縦横比がワイドタイプに切り替わる

この機能を使うと、光学式の抜けのよいファインダーを見ながら、MF操作が可能になる。コマンドダイヤルの押し込みでオーバーレイ表示したEVFの拡大率を変更したり、フォーカスピーキングやデジタルスプリットイメージに切り替えることも可能だ。電子レンジファインダーという名称通り、レンジファインダーカメラ感覚の操作が今あえて新鮮である。

また、リアルタイム・パララックス補正も注目しておきたいファインダー機能だ。これは光学ファインダーおよび電子レンジファインダーでMF操作した際、近接域で自動的にブライトフレームが動いてパララックスを補正する。近接撮影でフレーミングし直す手間が省け、重宝するだろう。

ブラッシュアップを経て魅力が向上

操作部については、露出補正ダイヤルが±3に対応し、背面のコマンドレバーはコマンドダイヤルに変更となった。Fnボタンとクイックメニューのカスタマイズが可能で、必要に応じて自分好みにセッティングするといいだろう。

露出補正ダイヤルの補正幅が±3に広がり、これまで以上に大胆な絵作りが可能になった
コマンドレバーがコマンドダイヤルに変更となり、従来機よりも操作性が良くなった
7つのFnボタンに任意の機能をアサインできる。自由度の高いセッティングが可能だ
Qボタンで呼び出すクイックメニューがカスタマイズに対応し、任意の機能を割り当てられる

スマートフォン用のアプリ「FUJIFILM Camera Remote」によるリモート操作にも対応した。

「FUJIFILM Camera Remote」でリモート撮影が可能。絞りや露出もスマホ側で変更できる

電子シャッターを搭載し、最速1/32,000秒での撮影を実現。これなら屋外晴天で開放撮影も可能だろう。

新たに最速1/32,000秒の電子シャッターを搭載。メカニカルシャッターとの併用もできる
絞りリングは1/3段刻みで、きめ細かい絞りコントロールが可能だ
側面カバーを開けると、HDMI端子、USB端子、マイク/リモート端子があらわれる
リチウムイオンバッテリーは従来機と同様、NP-95を採用している
軍艦部に機種名の刻印が入る。「T」だけ赤字になっているのが印象的だ

その他、フォーカス、露出、ファインダー関連もさまざまなブラッシュアップが行なわれ、総じて操作性は向上している。使い込むほどに愛機としての愛着がわくタイプのカメラだ。

近日公開予定の実写編では、画質面での魅力を探る。