新製品レビュー

キヤノンDigital Photo Professional 4.0

デザイン一新!機能追加でより使いやすくなった純正RAW現像ソフト

Digital Photo Professionalは、キヤノンの一眼レフなどに対応する純正のRAW現像ソフト(無償)で、この6月にバージョン4.0がリリース。新機能の追加や、従来からの機能の強化、処理速度の向上などがはかられている。

現時点では、対応カメラはEOS-1D X、EOS-1D C、EOS 5D Mark III、EOS 6Dの4機種のみで、ほかの機種へは今後のバージョンアップで対応していくことになるのだろう。

インターフェース

起動していちばんに気付くのはインターフェースの違い。従来のDigital Photo Professional 3(以下、DPP 3)は明るめのグレーを基調にしていたが、新しいDigital Photo Professional 4.0(以下、DPP 4)は暗めのグレーを基調にしたデザインに変更されており、アドビシステムズのAdobe Photoshop Lightroomに似た印象となった。

表示スピードは大幅に改善されていて、セレクト編集画面でピクセル等倍に切り替えたときの、粗い画面から精細な画面に変わるまでの待ち時間がびっくりするほど速くなっている。

試用した環境がプアなせいもあるが、DPP 3だと精細表示に切り替わるまで20秒とか30秒とか平気でかかるのに(所要時間は画像によってかなり違いがある)、DPP 4だと5、6秒ですむ。ぶっちゃけ、DPP 3が遅すぎるだけなのだが、ものすごい違いである。

また、DPP 3では、作業していると頻繁に操作不能となり表示が止まった。DPP 4ではそうしたことがほとんどない。もちろん、デジタルレンズオプティマイザのような重い処理のときに待たされるのは残っているものの、ストレスは段違いに少なくなっている。

ツールパレットもデザインが変わり、機能の集約化がはかられている。

DPP 3のツールパレットには

  • RAW
  • RGB
  • NR(ノイズリダクション)/ALO(オートライティングオプティマイザ)
  • Lens(レンズ光学補正)

の4つのタブしかなかった。

こちらはDPP 3のメイン画面。

対してDPP 4では

  • レンズ光学補正
  • トリミングと角度調整
  • ゴミ除去とコピースタンプ
  • 基本的な画像調整(従来の「RAW」に相当)
  • ディテール調整 NRに相当)
  • トーン調整
  • 特定色調整
  • 作業用色空間

の8つに増えた。

メイン画面にツールパレットを表示したところ。サムネイル表示の状態でも画像の調整が行なえる。

画像調整にかかわる機能の多くが、ここに集約されたおかげで、作業効率も上げられそうだ。

メイン画面の「マルチレイアウト」表示(サムネイルとプレビュー画像が表示されるモード)とセレクト編集画面で利用できる「比較表示」も新しい機能。2枚の画像を並べていいほうを残す作業を繰り返してベストショットを選び出す、いわゆる勝ち抜きセレクトに利用できる。

DPP 4.0のセレクト編集画面。「ナビゲーター」「ヒストグラム」が追加されている。
DPP 3のセレクト編集画面。インターフェースの違いもあるが、プレビュー画像の色調なども変化している。
DPP 4.0では、メイン画面の表示をサムネイルとプレビュー画像を表示できるマルチレイアウト表示が可能。サムネイルの並びは縦、横が選べる。
2枚の画像を見比べながらセレクト作業が行なえる「比較表示」の画面。
サムネイルを右クリックして「ピンを設定」すると、その画像を固定しての「勝ち抜きセレクト」作業ができる。

ちょっとおもしろいのが、プレビュー画像に重ねて表示される「プロパティ」。絞り数値やシャッター速度といった「撮影情報」のほか、さまざまな現像パラメーターが一覧できる「レシピ内容」を表示できるのだが、後者は調整した項目だけ赤文字で表示するようになっていて、どの項目を調整したかがひと目で判別できる。調整の前後の違いを比較する際などに便利だ。

プレビュー画像上に、その画像のプロパティを表示したところ。これは「撮影情報」。
こちらは調整内容が分かる「レシピの内容」。
「ツール」メニューの「プレビュープロパティの設定」で、どちらの情報を表示するかを選べる。また、表示する項目も個別に選択できる。
「レシピの内容」表示にしておくと、調整した項目が赤文字になる。どんなふうに調整したかがひと目で分かる。
明るさ(露出レベル)、ホワイトバランス、ガンマ調整などを行なう「基本画像調整」タブ。
ノイズリダクション、シャープネスの設定を行なう「ディテール調整」タブ。
トーンカーブを操作する「トーン調整」タブ。
8色の「色相」「彩度」「明度」を個別に調整できる「特定色調整」タブ。
画像の色空間を選択する「作業用色空間」タブ。
デジタルレンズオプティマイザのほか、周辺光量や歪曲収差などの補正を行なう「レンズ光学補正」タブ。
不要な部分をカットしたり、画面の傾きを修正できる「トリミングと角度調整」タブ。
ローパスフィルターに付着したゴミやホコリの写り込みを修正するための「ゴミ除去とコピースタンプ」タブ。
「サムネイル表示フィルターの設定」画面。「チェックマーク」「レーティング」「拡張子」で表示/非表示を選択できる。
サムネイルの並べ替え(ソート)の基準が、DPP 3の5種類から11種類に増えた。

調整機能

ここからは調整機能のうち、新しくなった部分を紹介する。

ホワイトバランス調整

プルダウンメニューからプリセットの項目を選択するところは従来と同じだが、ホワイトバランス微調整時の設定方法が、DPP 3は「色あい(色相)」と「色の濃さ(彩度)」で設定するようになっていたのに対し、DPP 4ではカメラの「WB補正」と同じ「B-A(ブルー-アンバー)」と「M-G(マゼンタ-グリーン)」の2軸調整になり、操作が分かりやすくなった。

以下、作例画像は、DPP 3と比較しやすいよう、アンシャープマスク/シャープネスはオフにしています。

「太陽光」ホワイトバランスでは木々の緑の影響で、画面がやや黄緑色に偏っている。
「太陽光」ホワイトバランスで現像したもの。
「色温度」を「4800K」に設定。少しまだ緑カブリがある。
「色温度」を「4800K」に設定して現像したもの。
「微調整」で「B-A(ブルー-アンバー)」を「-1.0」、「M-G(マゼンタ-グリーン)」を「-4.5」にした。
ホワイトバランスを微調整して現像したもの。
DPP 3の「ホワイトバランス微調整」の画面。調整パラメーターが「色あい(色相)」と「色の濃さ(彩度)」なのがややこしいところだった。

ガンマ調整

「ガンマ調整」には「自動」ボタンが追加された。これは、明暗のバランスを解析して階調を調整してくれるもので、いくつかの画像で試してみたところ、まずまず良好な仕上がりとなった。自動調整後に手動での追加調整も可能なため、調整の下地として利用できそうな印象を受けた。

自動補正前。遠景のかすみをもう少し抑えたい印象。
補正前の状態で現像したもの。
自動補正後の画面。かすんでいた遠景がくっきりして、暗部の階調も明るめになった。
自動補正して現像したもの。
さらに、「コントラスト」を「1.0」に上げ、「ハイライト」を「-2.0」に下げてみた。
手動で微調整して現像したもの。

ホワイトポイント調整

高輝度側の階調が拡張されているのは見どころのひとつで、DPP 3は高輝度側のスライダーはマイナス方向(画面が明るくなる方向)への調整しかできなかったのが、DPP 4ではプラス側(画面が暗くなる方向)へも調整できるようになった。

補正前。雲が白飛びに近い状態になっているのを直したい。
補正前の状態で現像したもの。
雲の部分のピクセル等倍表示。
「ガンマ調整」の「ミッドポイントを連動して移動する」のチェックを外してから「ホワイトポイント」のバーを「2.00」に移動させたところ。わずかながら雲の階調が引き出せた。
「ホワイトポイント」を「2.00」にして現像したもの。
「ハイライト」のスライダーを「-5.0」に下げると、さらに階調が見えてくる。
「ハイライト」を「-5.0」に下げて現像したもの。が、これだけだと少し暗いし、メリハリにも欠ける。
さらに、「ブラックポイント」や「ミッドポイント」「コントラスト」「シャドウ」なども調整してみた。
いろいろ調整してから現像したもの。

シャドウ/ハイライト

また、「シャドウ」「ハイライト」スライダーの効果も強化されていて、特に高輝度側の階調を、より引き出しやすくなった。おかげで、従来はあきらめるしかなかった白飛び部分の階調再現がよくなったのはうれしい点だ。

シャドウスライダー活用の例。補正前のプレビュー画面。
補正なしで現像したもの。
「シャドウ」のスライダーを「5.0」に上げた。
「シャドウ」を「5.0」にして現像したもの。
DPP 3で「シャドウ」を「5.0」にして現像したもの。シャドウ以外の部分の再現がけっこう違っている。
ハイライトスライダー活用の例。補正前のプレビュー画面。
補正なしで現像したもの。
「ハイライト」のスライダーを「-5.0」に下げた。
「ハイライト」を「-5.0」にして現像したもの。
DPP 3で「ハイライト」を「-5.0」にして現像したもの。DPP 4のほうが補正できる幅が大きいのが分かる。

個別色調整

新設の色調整機能も待たれていた機能。「レッド」「オレンジ」「イエロー」「グリーン」「アクア」「ブルー」「パープル」「マゼンタ」の8色について、「H(色相)」「S(彩度)」「L(明度)」を個別に調整できる。ほかの色味の部分に影響を与えずに調整できるので、部分部分の色味を厳密にコントロールしたいときに便利だ。特定の色の部分だけを鮮やかにしたり、部分的に色を残したモノクロ表現も楽しめる。

補正前のプレビュー画面。
補正なしで現像したもの。
「オレンジ」の「S(彩度)」を「10.0」に上げた。
「オレンジ」の「S」を「10.0」にして現像したもの。
反対に「オレンジ」の「S」を「-10.0」に下げた。
「オレンジ」の「S」を「-10.0」にして現像したもの。

その他

ほかにも、JPEG画像に対してもオートライティングオプティマイザが適用できるようになったこと、動画再生への対応やリモート撮影機能の強化など、改良点は数多い。対応していない機種のユーザーは、残念ながらもうしばらく待つしかないが、アップデート情報には目を光らせておいたほうがいいだろう。

JPEG画像へのオートライティングオプティマイザの例。補正前のプレビュー画面。
補正なしで現像したもの。
「オートライティングオプティマイザ」を「標準」にした状態。
「オートライティングオプティマイザ」を「標準」にして現像したもの。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら