デジカメドレスアップ主義

スクリューマウントレンズのこだわりセッティング

α7 II + Leonon 5cm F2

  • ボディ:ソニー α7 II
  • レンズ:レオタックス レオノン5cm F2
  • マウントアダプター:レイクォール L39-SαE.ADJ
  • ストラップ:0291ファクトリー ナンバーストラップ(ネイビー)

L39やM42と呼ばれるスクリュー式マウントは、ユニバーサルマウントという側面がある。レンズをねじ込むだけのシンプルな構造ゆえに、汎用マウントとして当時のカメラシーンに広く浸透した。オールドレンズファンとしてはひとつのマウントアダプターで色々なメーカーのレンズを試せる反面、微妙な仕様のちがいでレンズ指標がズレるなど、ストレスを感じることもある。こうした問題に対処するのが、指標調整機能付きのマウントアダプターだ。レイクォールからこのタイプの新製品が登場したので、早速使い勝手をレポートしてみよう。

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レイクォールからL39(ライカスクリューマウント)マウントアダプターが登場した。ボディ側はソニーEマウント、富士フイルムXマウント、マイクロフォーサーズマウントの3種類で、レンズ側はノーマルタイプとADJタイプ(アジャスト機能付き)の2種類だ。

ノーマルタイプのL39-SαE(左)は税込1万5,120円。ADJタイプのL39-SαE.ADJ(右)は税込2万520円。L39-SαE.ADJは6月1日発売予定だ。
L39-SαE.ADJはアジャスト機能を搭載し、精密ドライバーが1本付属している。

ADJタイプはレンズ指標の停止位置を調整できる。他社からもこの手の製品は登場しているが、既存製品は側面の極小ネジ3本で調整する。それに対しレイクォール製は、マウント面から5本のネジで調整する手法をとった。マウント面の平滑性を保ちつつ、指標停止位置を調整できるのがアドバンテージだ。言うなれば、こだわり派向けのL39マウントアダプターである。

本製品は調整を手助けするために、調整角度の目盛り、フォーカシングレバーの停止マークといった目印がプリントされている。ライカスクリューマウントのレンズは、フォーカシングレバーを搭載したものが少なくない。このレバーの無限遠側の停止位置は、向かって左下45度が一般的だ。エルマー5cmなどの沈胴式レンズやズマリットあたりを使っている人だと、自然とこの位置に指が伸びることだろう。ただし、他メーカーのライカマウント互換レンズだと、微妙に停止位置が異なる。こうした仕様ちがいを調整機能で正位置にセットするわけだ。

アダプター上に目盛りとマークがあり、フォーカシングレバーや指標の移動量を把握しやすい。

ここでは2本のレンズで調整を試してみた。1本目はレオタックスのレオノン5cm F2だ。このレンズをマウントアダプターに装着すると、フォーカシングレバーの停止位置がやや下向きになる。これを一般的なライカLマウントレンズと同様、左下45度あたりにセットしたい。L39-SαE.ADJの5本のネジを緩め、マウントのプレートをズラす。フォーカシングレバーを無限遠にセットした状態で、マウントアダプターのマーク上に止まるように調整した。マウントアダプターに目盛りが付いているので、何度ぐらい調整すればいいのか、大まかな目安がわかって作業しやすい。ちなみに、ネジは1本だけ黒いものが使われており、これを目盛りの中心にセットすると、初期状態にマウントアダプターを戻すことが可能だ。

エルマー3.5cm F3.5をL39-SαE.ADJで装着したところ。これがライカスクリューマウントレンズのオーソドックスな停止位置だ。
レオノン5cm F2を装着したところ、フォーカシングレバーが本来の位置からズレていた。アダプターの白いマークが本来の位置だ。
アジャスト機能で停止位置を調整し、アダプターのマークでフォーカシングレバーが止まるようにセットした。

2本目はヤシカのヤシコール5cm F2.8だ。このレンズをマウントアダプターに装着すると、レンズ指標が向かって右側に傾く。実のところ、この位置はズマリット5cm F1.5とほぼ同じ位置で、ライカスクリューマウントレンズの指標位置としては至極全うだ。ただし、ヤシコール5cm F2.8はフォーカシングレバーがなく、必ずしも本来の位置にこだわる必要がない。そこでL39-SαE.ADJを使い、レンズ指標が真上にくるように調整した。要は実用性を重視した調整というわけだ。ライカスクリューマウント、いわゆるLマウントはシンプルなスクリュー式マウントだが、シンプルゆえに奥深い世界が見え隠れしておもしろい。

ヤシコール5cm F2.8はレンズ指標が右側に傾く。本来の位置とは言え、使いづらさは否めない。
アダプターを調整してレンズ指標を真上にセットした。ピント位置や絞り値のチェックはこちらの方が視認性が良い。

ドレスアップは0291ファクトリーのナンバーストラップを組み合わせた。ビンテージ調のテープが特長で、ウォッシュをかけたような風合いがオールドレンズとよく似合う。肉厚のレザー、目の粗いステッチ、真鍮製の金具など、フォークロア調とでも言うのか、大らかなテイストで親しみやすい。ちなみに、テープ部には「0291 C.F.L」を模様化してステッチしてある。「C.F.L」は「CameraとFashion、そしてLilfeを繋ぐ」という言葉の頭文字だという。アナグラムのような趣向が雰囲気を高めてくれる。

0291ファクトリーのナンバーストラップは税込8,900円。6月1日からの販売を予定している。
ビンテージ調のテープに大胆なステッチを施し、デザイン性を高めている。
ネイビーとグレーの2色展開だ。グレーは褪せたモスグリーンと考えるとわかりやすい。
取り付け部はテープ式を採用。スリットタイプの取り付け具に直接装着できる。
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/3,200秒 / F2 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/2,500秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / AWB
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/4,000秒 / F2 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/400秒 / F4 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / AWB
α7 II / Leonon 5cm F2 / 1/1,000秒 / F2 / ±0EV / ISO100 / AWB

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp