料理を真上から撮ってみましょう!

今回は、ちょっと変わった料理写真の撮り方にチャレンジしてみましょう。

通常、料理を写真に撮るときは、キレイに盛られた食材が立体的に写るように斜め上からカメラを構えることが多いです。

室内のカフェで座った状態で撮影。暖かい色合いの照明がイメージに合ったので、ホワイトバランスを設定してあえて赤味を残しました。

カフェなどでは座った状態でカメラを構えると斜め上からのちょうどいいアングルになります。後ろに抜けがあるので、メインのイチゴにピントを合わせて背景をボカすことで、前後の奥行き感も出すことができます。

このように現在の料理写真の主流は、一昔前の被写界深度を深くしてメイン料理以外のテーブル上の被写体……オードブルやドリンク、テーブルフラワーなど……すべてにピントが合うようにする撮り方ではなく、メインの料理だけ、もしくはそのメインの料理の一部分だけにピントを合わせた被写界深度の浅い撮り方になっています。

料理の写真はカメラ誌よりも、一般の雑誌を見たほうが流行がつかみやすく、さまざまなスタイリングの勉強をすることができるのでオススメです。

特に海外の雑誌は、日本ではマネできないような部屋全体を使ったスタイリングや、日本の食材では難しい派手な色合いの料理を扱っていて、見ているだけで楽しくなります。

「そんなマネできないもの見てもしょうがないじゃない」……いえいえ、とても簡単にマネできるスタイリングがあるのです。それは『真上から撮る』です! 海外の女性向けのテーブルコーディネートや料理の雑誌で多く登場するのが、日本ではあまり見られない、真上から撮られた料理写真です。

大皿に2人前をスタイリング。自然光で撮影しています。

例えばパエリアは、黄色いサフランライスが全体をカラフルに彩り、エビやイカ、オリーブなどがお皿の上を賑やかにしてくれる料理です。セオリー通り斜め上から撮ってもいいのですが、真上から撮ると料理全体のデザインが良くわかり、ここから取り分ける未来がイメージできます。

お皿の下にはテーブルクロスやランチョンマットを敷いて料理のイメージに合った演出をしましょう。ナイフやフォークなどを小道具として出演させてもいいでしょう。

撮影のポイントは2点。まっすぐ上から撮ることと、全体にピントが合うように絞りを絞ることです。

光は昼間でしたら自然光でも撮影できますが、夜は真上に室内灯があるとお皿などに映りこんでしまうので、外付けストロボを付けて天井にバウンスして撮影しましょう。

レンズは標準画角(35mmフルサイズセンサーのカメラで50mm、APS-Cセンサーで30〜35mm前後、マイクロフォーサーズなら25mm)がちょうど良いでしょう。クッキーのような小さな被写体を撮る場合はマクロレンズが便利です。

外付けストロボを天井にバウンスして撮影。お皿の中がバラエティーに富んでいるので小道具は使用しませんでした。

数種類のオードブルをお皿にちょこんと少量ずつ盛ってもかわいらしいですね。こんな料理写真こそ、斜め上からでは写らなくなってしまう物が出てきてしまうので、真上から全体にピントが合うように写したいです。

ポップなイメージにしたかったのでピクチャーコントロール(画作り設定)をビビッドにしました。

アイシングでデコレーションされたクッキーをワックスペーパーの上に並べました。ふっくらとしたイメージを見せたほうが美味しそうなスコーンやドーナツと違って、平面的でも美味しそうに見えるのがクッキーの良さですね。

これからの季節、暖かい日差しを浴びてピクニックや新年度の新しいお友達とのホームパーティーなど料理を伴うイベントも増えると思います。せっかくキレイに盛り付けした料理はすぐに食べずに、海外の雑誌のようなオシャレな写真を残しておきましょう!

撮影機材:ニコンD600

(2014/4/5)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com