トピック
「やっぱりトラベル三脚はいい!」写真家夫婦 上田家の2人による“三脚放談”
Manfrottoの「befree」を使ってもらいました
- 提供:
- ヴィデンダムメディアソリューションズ株式会社
2024年12月23日 13:00
イタリアの撮影用品メーカー、Manfrotto(マンフロット)の三脚が世に送り出されてから、今年で50年を迎えたのをご存じだろうか。プロやアマチュアに長らく愛されてきたその品質もさることながら、時代に合わせたアイデアを取り入れる先進性も併せ持つブランドだ。フィルムカメラ時代からお世話になっている読者もいることだろう。
現在、Manfrottoではスチル用とムービー用、さらにスマートフォン向けなど多彩な三脚・雲台のラインアップを擁している。
その中でもトラベル三脚の定番ともいえる人気シリーズが、ご存じ「befree」だ。
今回、2種類の特徴あるbefreeをクリエイターに使ってもらい、その感想を語り合う企画を用意した。
登場するのは写真家夫婦 上田家のお2人。当サイトでもおなじみの上田晃司さんとコムロミホさんだ。両名ともスナップを得意とするフォト/ビデオグラファーということで、機動力のある三脚「berfree」への熱い感想がつきない会話となった。
三脚が必要なシーンとは?
——お2人は主にどんなとき、三脚を使いますか?
上田: 僕は旅が多いので、旅の中での長時間露光撮影に使用しています。1秒以上のシャッター速度になる時に使いますね。例えばND64000の減光フィルターを使って、5分くらい露光するといったケース。こういったときカメラやレンズの手ブレ補正機構は無力なので、三脚が必要です。
上田: あとは動画撮影の時ですね。動画のとき8〜9割は三脚を使っています。フィックス(固定撮影)で撮る画が1番安定しているので。長時間露光や動画撮影では三脚は必須ですね。
コムロ: 私は街を撮っているので、トワイライトの時間や街の流れといったものを長時間露光で撮りたい場合、三脚を必要とします。旅先での撮影もあるので、三脚のサイズ感というのは重要なポイントです。なので、大きな三脚で撮影するというよりも、バッグに入れておいて、使いたい時に取り出して、すぐにしまうといった使い方をしています。
コムロ: 動画でも三脚を使用しますね。YouTubeの撮影は1人で行うことが多いので、三脚を利用しています。
——なるほど、徒歩移動の多いスナップだとサイズ感は重要ですね。
上田: 撮影の環境にもよりますが、よく使う場合はカメラリュックの外側に取り付けて運搬します。夜景を撮る場合は、1度ホテルに置いておいて、撮影時にだけ持っていきますね。
上田: 使用する三脚には決まりがあって、機内に持ち込めるサイズ(60cm)かどうか、カメラバッグに収納できるサイズかどうかというのを重視しています。大きければ大きいほど良いといわれる三脚ですが、持ち運びを考えると、やっぱりサイズ感は重要になりますね。
2種類のbefreeの印象
——今回お2人にはそれぞれ別のbefreeを試用していいただきました。いかがでしたか?
上田: 僕はアルミ製の「befree 3ウェイライブ アドバンス」を使わせてもらいました。
上田: 小型軽量とはいえ、さすがにカーボン製のbefreeほど軽くないのですが、逆にそれが良かったです。というのも、持ち歩いた日の風が強くて……。2kgという重さのおかげで、ブレなかったのはありがたかったですね。ガタ付きも一切ありませんでした。
上田: また、151cmという全高もちょうど良かったです。自分の目線より少し下がりますが、今回の作品でいうと、港の柵をちょうど越える高さだったため使いやすかったです。
コムロ: 私が使ったのは「befree GT XPRO カーボンT三脚キット」です。高級感があって、旅に持って行ける重量感はいいですね。
コムロ: 特にナットロックの止まりや締まるまでの操作感が良い感じでした。寒い場所ではロック操作で手が痛くなりがちですが、そういったこともなかったですし、使いやすかったです。
コムロ: またこのクラスにしては珍しい、センターポールが水平になる俯瞰システムを搭載しています。俯瞰撮影はどうしてもカメラの重さで重心が変わります。しかし、この三脚だと、脚部がシッカリとした作りなので、安定した撮影が楽しめました。実際に俯瞰でテーブルフォトを撮影してみると、脚部を全部伸ばすことで、私の環境ではテーブルからちょうどいい高さになるんですね。ここまで伸びてくれれば、高さを調節できるので使いやすいです。
コムロ: 今回は小さなカメラと組み合わせて使いましたが、大きなカメラを使用した場合はどうしてもフロントヘビーになります。そういった場合でも、カメラの反対側に重りが装着できるので、安心して利用できそうです。
コムロ: あと、俯瞰撮影の時は、水平・垂直を維持するのが難しいのですが、この三脚の俯瞰は90°以外への調整ができません。これが功を奏して、テーブルに対してカメラをまっすぐ下に向けやすいです。
——少し話は変わりますが、お2人は三脚を持ち歩くとき、バックパックのサイド、センターのどちらにつけますか?
上田: 重い三脚であれば、真ん中に装着した方が重心が崩れないので良いと思います。でも「befree 3ウェイライブ アドバンス」くらいの重さであれば、サイドでも変わりはないですね。
コムロ: バッグによっては、底部に固定するモデルもありますが、縮長が短いのでその場合でも問題なく持ち歩けます。車で移動して撮影することも多いのですが、車に入れっぱなしでも問題ないサイズ。使いたい時にすぐ出せるというのも便利ですね。
上田: 畳んだ時に安定感があるので、車内でも転がらないのは良いですね。
——全体的な剛性感や脚ロックの操作性などついてはどうでしょう。
上田: 重要な位置にはシッカリとした部材が使われていますし、プラスチック素材が使われているところも、ねじ切りに角度が付いていたりと、力が入りやすい構造になっています。さすがManfrottoですね。脚部の角度調節も、ほとんど力を必要としないので、女性でも扱いやすいのではないでしょうか。
コムロ: 旅先で三脚を使う場合は、最伸高で柵越しに風景を撮ったり、ローポジションでの撮影が多いです。今回使った「befree GT XPRO カーボンT三脚キット」は、そうしたポジションを変えるときの操作性が良く、撮影が簡単にできたのは良いですね。
機能性の高い雲台も
——お使いいただいた2製品とも、特徴的な雲台がセットになっています。それらについてはどうでしょうか。
上田: 「befree 3ウェイライブ アドバンス」に含まれる「befree 3ウェイライブ雲台 MH01HY-3W」は、3ウェイ式なのにフルードタイプという、ちょっと珍しいタイプの雲台です。動画と静止画を兼用するのが狙いなのでしょう。Manfrotto製品の中でも動画用を謳う本格的な雲台はありますが、静止画がメインでかつ動画を少し撮るような使い方をするなら、すごくフィットする雲台だと思います。
上田: 静止画用の雲台は、基本的に止めることが役割です。ですから、パン・ティルトの操作でも、動かしているときよりすぐに固定できることが重要。ですがこの雲台の場合は、フルードドラッグシステムにより滑らかに動く。特に、ティルトアップ/ティルトダウンの操作が滑らかです。パン操作も速い被写体を追うときはスムーズ。流し撮りを撮るなら特にオススメできますね。ゆっくりとした操作は少し苦手な印象ですが、ある程度テンションをかけながら操作することで対応できました。
上田: あとは、水平をとる際、パン・ティルトの両方で確認ができるのは便利ですね。特にパンは、動かした時に傾きがないというのを、水準器を確認しながら行うというのが大切です。
上田: そしてビデオ雲台と違い、横位置だけでなく縦位置にも素早く切り替えられる。これが静止画撮影で役立ちます。それに動画でも、流行の縦位置動画が簡単に撮れるのも良いと思います。パン棒が折り畳めるのもよくできていると思いました。
コムロ: この自由雲台(MH496-BHセンターボール雲台)の最大の特徴は、止まりが良いこと。俯瞰撮影の場合、重心が真上ではないので、構図を決めた後に動いてずれたりしないのはありがたいです。雲台の機構がシンプルなので、夜景撮影などの暗い環境でも扱いやすいです。
単なる自由雲台ではなく、フリクションコントロール機構がついているのも特徴。ボールのテンションが調節できるのです。重い機材を搭載したときに実力を発揮しそうですね。
ブラック仕様・アルカスイス互換形状の新モデルも
——ここでちょっとお2人に見てほしいのが、新製品の「befree アドバンス AS」です。Manfrottoといえば独自サイズのシュープレートを雲台に採用してきましたが、ついにこの製品でアルカスイス互換形状のシュープレートを取り入れました。
上田: 他社のアクセサリーがほとんどアルカスイス互換形状になっている以上、今回の対応は歓迎ですよね。あと、今まではスポーティなイメージでしたが、新製品はほとんどブラックになり、イメージが一新された印象です。
コムロ: シンプルですね。格好いい。
上田: ガラス越しの撮影だと、三脚のロゴなどが反射してガラスに写る可能性があるので、真っ黒の方が助かるところがありますね。
コムロ: 内側にマンフロットのロゴと赤いラインが隠れているんですよね。可愛い。やっぱり、赤の使い方が、すごくうまい。さすがイタリアンデザイン。無駄のないデザインですよね。
三脚はやっぱり必要? befreeはどんな人におすすめ?
——いまやカメラの高感度性能は上がり、手ブレ補正も強化されています。そうした中、三脚の重要性はどんなところにあるのでしょうか。
上田: 僕の場合、背景を決めて撮る撮影が多いです。なので、三脚にカメラを載せてタイミングみながら撮る。カメラを持ちながら撮影するよりも、三脚を利用した方が体力的にも長く撮影できます。それに三脚を利用することで構図をシッカリ決められる。そうすることで、無駄うちは絶対に減ります。
コムロ: 適切な構図がとりやすいというか、しっかりと考えて構図が決められるというのはメリットですよね。どこまで入れて、どこを削るか。構図を突き詰めるのであれば、やっぱ三脚を利用して、しっかりと見た方がいいと思います。広角レンズを使う場合なども、端に不要なモノが入り込んだりするので、そういうのも考えながら撮影できます。
上田: それに、三脚を使っているときは、1回カメラを置いたまま別の方向から被写体を見ることができますよね。自分が動いて、その場をちょっと離れて観察したりもできるので、情景をちゃんと把握しながら作り込んでいけます。
上田: 手ブレ補正は進化しているのですが、三脚を利用するとそこまで気にしなくてもいいのは大きい。F5.6とかF8などに絞って撮る際、高感度が良くなっているとはいえ、不必要に高感度で撮影しなくてすむならいいですよね。
後は、手ブレ補正でもカバーできない領域の撮影もあります。写真ならではの表現だと思うのですが、スローシャッターで大きくブラすとか、街から人を消すとか。そういった撮影にも利用できるので、カメラだけよりも、三脚があった方が表現の幅は広がりますね。
コムロ: シャッター速度が違うと、1秒だったとしても街の動きとか見方がだいぶ変わりますね。1秒間は手持ちだとちょっと難しい。頑張ればできるかもしれないけど、でもちょっとブレてしまうかもしれない。そういった状況なら、三脚を使った方が安心だし、撮影自体が楽しめるかなと思います。
コムロ: あと、テーブルフォトは三脚があると凄く簡単になります。三脚を使わないと、被写体の位置を調整するたびにカメラから手を離す必要があり、そのたびにさっきの構図を再現しなくてはいけません。三脚があるだけで、工数がだいぶ減るので楽になりますね。しかも今のカメラは背面モニターが可動式ですし、それを見ながら被写体を動かすとさらに効率的です。
コムロ: 今回、至近距離での撮影も行いましたが、ピントの位置は手持ちだと、ちょっとの動きでズレてしまう。せっかく構図を決めても、ピントがズレてしまうので、距離を固定しながら撮影できるというのは大きなメリットでしょう。
三脚の選び方は?
——自分に合った三脚を選ぶコツなどあれば教えてもらえますか?
上田: 大きすぎる三脚だと脚部が広がりすぎて、街だと邪魔になってしまう。自分の前に置いて収まるサイズ感が大事ですね。人の邪魔にならずに撮影できる。要するに、開き具合が重要です。
上田: もちろん、大きく開いた方が安定はしますが、その分場所もとりますから。今回試用した「befree 3ウェイライブ アドバンス」は、脚の開きが浅いところが良かったですね。
コムロ: 多分、三脚選びの中でも難しいのが小型の三脚だと思います。大きい三脚は重くて大きい分、当然安定するじゃないですか。
上田: 小型の三脚は持ち運ぶため、軽くて小さい方がいい。でも、バランスですよね。軽ければ軽いほどいいのかというと、確かに持ち運びには良いのですが、カメラを載せた時にたわんでしまうとか、風の影響が受けやすいとか。そうなると、使う意味がなくなるので、そこのバランスがすごく難しい。
上田: あと、動画を撮るなら、三脚は必須です。ブレてる映像はみていられない(笑)。かといって、ずっとジンバルの映像を見せられても飽きてしまう。ジンバルの映像は、ポイントで入れるべきだと思うので。となると、何が1番キレイなのかというと、フィックスや多少のパン、部分をチルトアップで見せるといった、シンプルな動きになると思います。それをやるには手持ちだと精度が悪いので、三脚を使うことをおすすめします。例えば、ちょっと空を見上げるようなショットを撮ってみるというのも、三脚ならきれいにできますし。
コムロ: 自分のYouTube撮影は、フィックスしか撮らないので三脚を使っていますね。例えば「こんなカメラが出ました」といった話をする時に、ずっと絵が動いてるとそっちに集中してしまって、話が入ってこない。だから、固定撮影で情報を発信しています。
コムロ: 俯瞰撮影に対応していれば、商品を見せながらの話もできたりするので、「befree GT XPRO カーボンT三脚キット」のように、これ1台で俯瞰撮影もできて、フィックスも撮れるというのはありがたい存在です。
上田: 三脚を買ったのはいいけど、大きい三脚を買ったため、持ち歩かなくなるという話は結構あるんですよ。なので、そういった面でいうと、最初に買うのはトラベル三脚がオススメですね。素材が良くなっていますし、堅牢性も上がりました。
コムロ: カメラサイズに合わせた三脚選びも重要です。カメラが小さいのに、オーバースペックな大型の三脚を使っても扱いにくいですから。三脚を使った授業を行う際は、必ず上から少し体重をかけて、脚部がロックされているかを確認してください、って言っています。案外、止まっていない人が多いんですよ。で、そうなると、カメラの落下などの事故につながってしまうので。
コムロ: そういった意味でも、シンプルな三脚の方が初めての1本としては使いやすいと思います。