トピック

ねじ込み式とマグネット式の2つに対応した「EVO-Series Natural CPLフィルター」

革新的なフィルターシステムがH&Yから登場した。レンズ前面に装着する丸型のフィルターは近年、取り外しが容易なマグネット式が人気となっている。ただ、装着に不安を覚える人は従来のねじ込み式を利用していた。EVO-Seriesはその2つの装着方法を選択できるフィルターだ。

マグネット式はアダプターリングをレンズに装着し、フィルターを近づけるとマグネットの力で吸着する。EVO-Seriesのマグネットは非常に強力で軽い振動では脱落の心配はないが、登山などのハードな環境での移動時にレンズをぶつけるとフィルターが外れる可能性があった。

ねじ込み式は、フィルター本体をネジで回して直接レンズに取り付けることで、簡単には外れない構造になっている。撮影状況に合わせて、取り付け方法を選択できるのは便利だ。

EVO-Seriesのこのフィルターは低反射コーティングを施したCPLフィルター。反射率は0.2%なので逆光に強く、フレアやゴーストが出にくい。H&Yフィルターらしく丈夫な防傷仕様で、防汚・撥水も施してあるため、ハードな撮影環境でも汚れにくく、メンテナンスがしやすいのも魅力だ。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年7月号』より転載・加筆したものです。

マグネット装着

先にねじ込み式のアダプターリングを装着する。マグネットは非常に強力で落ちる心配はほとんどない。

ねじ込み装着

フィルターからアダプターリングを外す。フィルターにネジ径があるため、レンズに直接装着が可能だ。

偏光度が99%と高く、色みの変化も少ない

フィルター適用前|フィルター適用後
フィルターを使って画面右上の水の反射を取り除いている。フィルター適用後も雪原の色みに変化がないのが分かる
FUJIFILM X-H2/XF16-55mmF2.8 R LM WR/50mm(75mm相当)/絞り優先AE(F11、1/100秒、+0.7EV)/ISO 250/WB:晴れ

EVO-Series Natural CPLフィルターの魅力の1つは、高透過で偏光度も高い偏光膜を採用していながらも色調の変化が少ない点だ。一般的には偏光度の高いCPLフィルターは装着すると全体に黄色がかって見えることがあり、葉の緑色などの印象が変わることがあった。特に雪原や水流など白色の被写体の変化は顕著で、透明感や立体感のある青みが失われるように感じていた。

EVO-Series Natural CPLフィルターは繊細な色調を保ちつつ、偏光度99%でしっかりと反射光を除去する。雪原の美しい白色はそのまま保たれ、湖面の反射を抑えて深い青色を再現できた。

マグネットの着脱は実に便利で素早く交換できる

反射率0.2%の超低反射で、フレアやゴーストを抑制

フィルター適用前|フィルター適用後
PLフィルターの効果を適用しても露出値の変化は少ない
ソニー α7R V/FE 24-70mm F2.8 GM II/36mm/絞り優先AE(F8、1/160秒、-1.3EV)/ISO 100/WB:太陽光

反射率とは光がフィルターを透過せずに反射する割合のことで、反射率が低いほどゴーストやフレアが発生しにくいという利点がある。EVO-Series Natural CPLフィルターは反射率0.2%を実現しており、とても高品質な作りだ。

撮影時は左上から強い光が差していたが、光害が出ることはなく、水面や青空の光の反射をしっかりと抑えている。高透過な偏光膜採用により、高速シャッターでも撮影可能で、ぶらさずに水面の表情を捉えられた。

REVORINGと組み合わせる

可変式ステップリングREVORINGと組み合わせると、1つのフィルターで対応できて便利だ

ガラスの平面度が高いので望遠でも画質が落ちない

フィルター適用前|フィルター適用後
フィルターを使っても解像感の変化は少ない
ソニー α7R V/FE 70-200mm F2.8 GM OSS II/90mm/絞り優先AE(F8、1/100秒、-1.0EV)/ISO 100/WB:太陽光

フィルターを装着すると、解像感が低下するのではないかと心配する人も多いだろう。EVO-Series Natural CPLフィルターはガラスの平面度が高いため、フィルターを装着しても解像感の劣化が少ない。

写真は湖面の反射を取り除き、遠くの山肌を望遠レンズで切り取るというフィルターにとって難易度の高いシーンだが、新緑の葉などの繊細な形状を見事に捉えている。光の反射を抑えているため、フィルターを装着しないときよりもコントラストが高く、細部まで見える。高解像カメラの描写力を損なうことなく、安心して撮影ができる。

着脱を簡単にするREVORING装着状態で使用してもそのままケースに収納できて便利

萩原れいこ

沖縄県出身、群馬県嬬恋村在住。カメラ片手に海外を放浪した後、日本の風景写真に魅了される。隔月刊 「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、志賀高原での写真修行を経て独立。上信越高原国 立公園を拠点に、自然の営みを見つめ続けている。個展「Heart of Nature」、「地獄」等を開催。著書は写 真集「Heart of Nature」(風景写真出版)、「風景写真まるわかり教室」(玄光社)等。石の湯ロッジ写真教 室講師、アカデミーX講師、嬬恋村キャベツ大使(観光大使)。