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気軽に持ち歩ける高画質カメラでVlogに挑戦!キヤノンPowerShot G7 X Mark IIIに追加された「Video Blogモード」を試す

Vlog撮影に必要な条件とは? 露出/フォーカスの変更速度を検証

キヤノンPowerShotシリーズは、大きくプレミアムシリーズと高倍率ズームシリーズに分けられる。なかでもプレミアムシリーズは別名Gシリーズと呼ばれ、いずれも1インチもしくはAPS-Cサイズのイメージセンサーを採用するなど徹底的に画質に拘ったモデルである。

「PowerShot G7 X Mark III」はそのなかでもミドルレンジに位置付けされるカメラ。キーデバイスは1インチ有効約2,010万画素の積層型CMOSセンサーと映像エンジン「DIGIC 8」とし、レンズはフルサイズ判換算で24〜100mm相当の光学ズームを搭載。動画機能については4K30Pでの撮影を可能にするなど、普段EOSシリーズを愛用するデジタルユーザーも唸らせるスペックを誇る。

PowerShot G7 X Mark III
イメージセンサー:1.0型有効約2,010万画素CMOS(積層型)/レンズ焦点距離:24-100mm相当(35mm判換算)/光学ズーム倍率(4.2倍)/レンズ構成:9群11枚(両面非球面レンズ1枚、片面非球面UAレンズ1枚、片面非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚)/最短撮影距離:5cm(広角端)40cm(望遠端)/感度:ISO 125〜12800(拡張25600)/記録媒体:SDXC/SDHC/SDメモリーカード/液晶モニター:3.0型TFTカラー液晶(約104万ドット)/外径寸法:約105.0×約60.9×約41.4mm/質量:約304g(バッテリーおよびメモリーカード含む)

そのPowerShot G7 X Mark IIIにこの秋、ファームアップにより動画撮影モードに「Video Blogモード」が追加され、動画撮影機能をより強固なものとした。

このページではVlog撮影に必要となる機能や要素を考えながら、Video Blogモードを中心に、PowerShot G7 X Mark IIIの動画機能について解説したい。

Video Blogモード
今年秋に追加された新しい動画モード。Vlog撮影で頼もしい露出/ピントの素早い切り替えが可能になった

Vlogとは? カメラに求められることとは?

新たに搭載されたモード名のVideo Blogとは、その名の通り動画(Video)で展開するブログのことを指す。一般にはVlog(ブイログ)と呼ばれることが多く、その被写体は通常のブログ同様日常の出来事や旅行、グルメ、家族や友人、イベントなど実に様々。動画であるため撮影した雰囲気がより伝わりやすく、臨場感やリアル感あるものとなりやすい。現在人気のある表現手段と述べてよいだろう。

そのVlogを撮影するにあたって、カメラに必要なポイントとはなんだろうか。動画における一般的なスペック(4K記録など)とは別に考えてみたい。

小型軽量なボディ

まず、気軽に持ち出せる小型軽量なボディであることが重要だろう。

PowerShot G7 X Mark IIIは1インチのイメージセンサーを搭載する。いわゆるコンパクトデジタルカメラの範疇に入るカメラであり、当然ながら レンズ交換式のミラーレスカメラと異なりボディサイズはコンパクトだ 。かといってアクションカムの様に小さすぎるわけでもなく、カメラを構えたときホールド感をさほど犠牲にしておらず、頃合いのよいサイズ感である。レンズも沈胴式のため、バッグなどへの収納では邪魔になるようなこともないはずだ。

いつでもどこへでも持ち出せて、必要があればさっと取り出しVlog撮影を楽しむ、そんな使い方のできるカメラである。

テンポよく変わる露出/フォーカス

新たに搭載されたVideo Blogモードだが、その一番の特徴が テンポよくAEとAFが反応 することだろう。つまり露出とピントの切り替えが速いのだ。

通常の動画撮影モードでは被写体の明るさが変化したときや被写体の位置が変わったとき、じわじわとゆっくり状況に適したものへと切り替わっていく。これは一般的な動画撮影の場合、画面の明るさやピント位置の急激な変化は避ける傾向にあるからである。

Video Blogモードでは、それとは逆に速やかに画面の明るさが変わり、ピントの位置に同様に切り替わる。その分“尺”も短くて済むため簡潔な動画を好む傾向にあるVlogに適した映像となりやすい。

【通常モードとVideo Blogモードの露出/フォーカス比較】
撮影:大浦タケシ 編集:武石修

実際に撮影してみた限りにおいては、筆者自身がYouTubeをはじめとするVlogを日頃見慣れていることもあり、その速さに違和感などなく、むしろこちらのほうも自然に感じたほどである。

なおVideo Blogモードには、人物と風景を認識し露出もそれに応じたものにする機能も備わっている。人物に向けていたカメラをパンして遠くの風景など撮影した場合などでは心強い機能だ。顔認識の精度も高く、撮影中はフォーカスに悩まされることはなかった。

強力な手ブレ補正

手持ちで撮影することが多いVlogでは、強力な 手ブレ補正機構 にも注目したい。

PowerShot G7 X Mark IIIの光学式手ブレ補正は回転軸、水平回転軸、縦回転軸、上下、左右に対応する5軸タイプで、補正能力はかなり高い。不安定な姿勢での撮影でも手ブレを大幅に抑え、高品質の映像を得ることができる。

さらに電子手ブレ補正の「ダイナミックIS」では、より強力に手ブレを抑えることも可能。画面がクロップされてしまうものの、歩き撮りなどできるだけブレを抑えたい撮影では積極的に活用したい機能と言える。このページの最後にダイナミックISを活用した作品を掲載しているので、ぜひ確認して欲しい。

ダイナミックIS
撮影画角は狭くなるが、その代わり強力な手ブレ補正が得られる。Vlogでは動きを伴うシーンが多くなるのでうまく活用したい。弱・中・強の3段階から選べる

動画撮影をアシストする機能

PowerShot G7 X Mark IIIは、Vlog撮影をサポートするインターフェースを搭載しているのもポイント。これらもこの秋、Video Blogモードと一緒に追加された機能になる。

まずのそのひとつが、録画中の画面に1:1や9:16などのガイド線を表示する「 アスペクトマーカー表示 」だ。InstagramやTikTokなど動画投稿サイトのアスペクト比に合わせた動画作成をアシストする機能である。トリミングを事前に考慮したアングルでの撮影を可能とするので、意図とせずに被写体が画面からはみ出したりするようなことはなくなるはずだ。

アスペクトマーカー表示
16:9など動画撮影時における記録領域を緑の太い実線で示してくれる

動画撮影時に何気に多いトラブルと言えば、録画ボタンを押したつもりで押してないことだろう。「 動画記録中の強調表示 」はそのようなことを事前に防ぐために、赤枠を画面の隅に沿って表示。一目で録画中であるかどうか確認でき、録画ボタンの押し忘れを抑えるものである。特に動画撮影に慣れてないユーザーは便利に思えるはずだ。

動画記録中の強調表示
動画記録時は背面モニターの枠が赤く点滅。さらに右上の赤いREC表記も点滅して、動画の記録中であることを知らせる

自動水平補正 」は、ベテランの写真愛好家でもついついやってしまいがちな撮影時のカメラの傾きをカメラが自動的に補正する機能。歩き撮りやロー&ハイアングル撮影、あるいは垂直線が見当たらないような被写体の撮影では特に重宝するはずだ。

動画記録中の自動水平補正
カメラ内蔵の傾き補正を利用し、記録中の水平を維持してくれる

また、Video Blogモードでは表示されないが、画面上の白トビしている部分を白と黒の縞模様で表示する「 ゼブラ表示 」を搭載するなど通常の動画撮影でも万全を期している。

ゼブラ表示
レベル70±5%に設定。逆光での白とびをある程度許容し、白とびの範囲とその周囲65%〜75%を確認している

動画カメラとしての基本性能も充実

今回は主に新しく追加されたVideo Blogモードについてみてきたが、動画における基本性能ももちろん充実している。

4K30P での撮影は当然のことながら フルHD120Pでのスローモーション撮影 も可能。被写体の動きを高画質でじっくりと見せたいときなど活躍しそうである。

絞りとシャッタースピードを撮影意図に応じて自由に決めることのできる 動画マニュアル露出モード は、本格的な動画撮影向き。絞りやシャッタースピード、ISO感度など任意で設定ができ、思い通りの仕上がりの動画を得ることができる。映像の明るさなど凝った演出も可能である。

動画マニュアル露出モード
動画はシャッター速度の調整が必須なため、複雑な条件下ではこのモードの存在が頼もしい

また オートNDフィルター も搭載し、動画では露出の調整の難しい明るい屋外での撮影をサポート。3型の液晶モニターは 前方に展開して自分撮りが容易にできる など、動画を本格的かつ気軽に撮影できる機能が揃っている。

自分撮りのときはボディ上部に跳ね上がるタイプの液晶モニターが便利

Vlog入門、または気軽に持ち出せる動画カメラとして

従来よりPowerShot G7 X Mark IIIは静止画撮影を楽しむ写真愛好家から絶大な人気を誇るコンパクトデジタルカメラであるが、新たに追加されたVideo BlogモードによりVloggerにも強く訴求するカメラへと進化した。

動画撮影に最適なトライポッドグリップ「HG-100TBR」や、外付けのステレオマイクロホン「DM-E100」など以前からオプションとして用意されていたが、本モードの搭載で動画撮影に関し、より隙のないものになったと述べてよいだろう。

トライポッドグリップ「HG-100TBR」
一定時間、同じフレーミングをおこなう動画撮影では必須とも言えるアイテム。親指の位置にレリーズスイッチを備えており、スムーズな撮影開始/終了にもつながる
ステレオマイクロホン「DM-E100」
前方120°の指向性を持つコンパクトなステレオマイク。プラグイン・パワーに対応し、PowerShot G7 X Mark IIIからの電源供給が可能

買って即Vloggerの仲間入りが可能なPowerShot G7 X Mark III。自分のホームページやチャンネルを持っているVloggerは当然のことながら、これまで動画に無縁だった写真愛好家もこの機会にVlogに挑戦してみるのはいかがだろうか。また、すでにミラーレスカメラで動画撮影を楽しんでいるユーザーが、日常的に持ち出すVlogカメラとして利用するのもよいだろう。

下の動画は、PowerShot G7 X Mark IIIのVideo Blogモードを利用して撮影した作品になる。パンしたときの露出/フォーカスの切り替わり、動きながら撮影しているときの手ブレ補正、逆光に対するレンズ性能、屋外・屋外で変わらない画質の良さなどをぜひ確認していただきたい。

【Video Blogモードで制作した作品】
撮影:大浦タケシ 編集:武石修

モデル:EVA
制作協力:キヤノンマーケティングジャパン