【年末特別企画】2011年「私はこれを買いました」


 2011年を締めくくるにあたり、当サイトへ主にレビュー記事をご寄稿いただいている皆さんおよび弊誌編集者に、今年新品で購入した最も思い入れのあるデジタルカメラについて語ってもらいました。購入に至る経緯や使用しての感想などを寄せていただいています。(50音順、敬称略)

これは超合金の合体ロボだ


リコーGXR MOUNT A12/糸崎公明

 今年は東日本大震災とそれに伴う原発事故、またタイで発生した大洪水など、日本にとっても世界にとっても大変な年になった。このため発売延期になったデジタルカメラの新製品も少なくなかったが、それにもめげずに順次発売にこぎつけていった各メーカーのみなさんの熱意に、まずは感謝したい。

 さて、そんな2011年に発売されたデジタルカメラの中で、もっともトンガッていたのはリコーの「GXR MOUNT A12」ではないか思う。ぼくは発売直後にさっそく入手したが、GXR MOUNT A12はいわば純粋なる暗箱(カメラ・オブスキュラ)で、これだけでは写真を撮ることも画像を見ることもできない。だから正確にはカメラ(写真機)ではなく拡張ユニットで、「GXRボディ」と合体させることで“レンズ交換式デジタルカメラ”として機能する。

 GXR MOUNT A12は「ライカMマウント」を採用しているが、交換レンズは(現時点では)リコーから発売されていない、という点もまたトンガッている。ライカMマウントのレンズは、現在はライカとコシナからしか発売されていないが、その他に膨大な種類の中古レンズが存在する。そのようなレンズの装着が前提のGXR MOUNT A12は、まるで“メーカー純正の改造品”といえるような非常にマニアックな製品だ。

 こんなカメラが商売になって、実際に人気で品薄になっているというのは、まさに価値観が多様化した現代ならではの状況だろう。一昔前は“新しいものにこそ価値がある”という進歩主義一辺倒だったのが、昨今は“新しいものの良さ”と“古いものの良さ”とが同列に語られる時代へと変化してきている。そんな時代の最先端を行くのはメーカーにとっては冒険かもしれないが、その“冒険”というところにこそ、ユーザーの心も反応するのだろう。

 まぁ、有り体に言えば GXR MOUNT A12は超合金の合体ロボのようなもので、しかも何を合体させるかはユーザーのお好み次第、アイデア次第でいくらでも拡張することができる。もちろんカメラとしての性能も抜群で、ローパスフィルターを廃した撮像素子は装着レンズの性能をフルに引き出し、操作性も非常によく考えられており使いやすい。

 ぼく自身は「切り貼りデジカメ実験室」で、GXR MOUNT A12に「一眼レフユニット」を装着したり「超広角マクロ」を試したりしたが、まだいろいろアイデアがあるのでそのうちに発表できればと思う。

いとざききみお:写真家・美術家、を名乗っているが、いろいろ実験するのが美術家としてのシゴト。ある程度キャリアを積むと人間は保守的になりがちだが、それにもめげず2012年はさらなる新境地を開拓したい。

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メッチャタフなGPS内蔵デジタルギア


オリンパスTough TG-810/礒村浩一

 仕事柄デジタル一眼レフカメラを持ち歩くことが多い私にとって、コンパクトデジカメに魅力を感じることはあまりない。扱い慣れているデジタル一眼レフカメラの方が操作も早いし、望んだ通りの撮影ができる。なにより画質は圧倒的にデジタル一眼レフカメラの方が良いのだ。

 しかし今年購入したオリンパス「Tough TG-810」はちょっと事情が違う。かねてからToughシリーズの防水・耐ショックボディには興味をもっていたのだが、ついにGPSまでも内蔵したというではないか。そこで北海道ロケの折に購入して以来、フィールドでの撮影時には必ず携帯している。購入の決め手は、やはり内蔵GPSによる撮影地情報の取得だ。このTG-810では撮影画像のExif内に撮影地情報を書き込むことができる。

 私は作品公開時には撮影地の情報も同時に公開するようにしており、これまでは単体のGPSロガーを携帯することで位置情報を取得していた。ただ画像に情報を埋め込むにはパソコンに一旦GPSログを取り込んだ後に専用アプリで画像に情報を付与する必要がある。しかし私は主にMac環境なので、Windows用となるアプリを使用するには何かと面倒が多い。

 そこで考えたのが、作品撮影用カメラと同時にGPS内蔵カメラでも撮影しておく方法だ。作品画像に位置情報を埋め込むことはできないが、同時に撮影した位置情報付き画像を参照することで撮影地がわかればよいわけだ。つまりTG-810は画像が記録できるGPSロガーとして使用していることになる。しかも、フィールド撮影には心強い防塵防水耐寒耐ショックと文字通りタフな奴。さらに、普段使いでもカメラとして使えるというお得感いっぱいなアイテムなのだ!

 もっとも実際に使用すると不満もある。GPS電波を補足するのにやたら時間がかかるし電池の持ちも良くない。なにより撮影画像の画質は改善の余地ありだ。しかし星の撮影時に便利な電子コンパスの内蔵など撮影アイテムとして非常に心強いデジタルギアとして重宝している。

いそむらこういち:写真家。2011年は各地にて写真展とワークショップ/セミナーを開催。毎年恒例の北海道撮影では大雪山にて星の撮影中にヒグマに遭遇するも無事生還。みんなに「写真撮ったか?」と訊かれるがそんな余裕ありませんってば。

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街スナップがしやすくなった新ボディ


ライカM9-P/上田晃司

 今年は気づけば月の半分は自宅にいないというくらい海外、国内さまざまな所行っていた。旅には去年購入したライカ「M9」をいつも持って行き、様々な被写体を撮影した。いつの間にかM9の無い日常は考えられないほど重要なカメラになっていた。

 今年の6月に「M9-P」が発売され「MP」によく似たフォルムはかなり筆者の物欲心を揺さぶられたが、値段が値段な上、在庫もほとんど無いのであきらめていた。また、M9アップグレードサービスが始まりアップグレードも考えたが、長期間M9が手元に無いのは寂しいのでこちらも見送った。

 その後、ドイツのカメラ屋のウェブショップでオールドレンズ購入したついでに、M9-Pの予約はできるかと聞いてみたところ、「できる」とのことだったので「入荷したら教えて」とメールしておいた。そのメールから、3カ月くらいしたある日、そのカメラ屋からメールが届いた。M9-Pを買うかどうかの確認では無く「M9-Pを発送した」というメールだった。

 M9-Pが手に入るといううれしさの反面、急にそんな高価なものを送られても困る……。まぁ予約したいと言った私も悪いが、買うかどうか聞いてくれればいいのに。翌日カードの明細をWebで見たらしっかり引き落とされていた。お陰で、愛用していたM9は下取りに出すことになった。

 M9-Pは、外観と液晶モニターのカバーくらいしか変わっていないので使用感に新鮮味はないが、より目立たなくなったので街スナップは気持ちしやすくなった。これまではM9の文字と赤丸のロゴが目立ってしまい、香港で撮影していると多い日で1日2~3人に声を掛けられていたが、M9-Pになって気づかれなくなったのは安全上でも安心だ。M9-Pの不満はほとんどないが、サファイアガラスにしたついでに、液晶モニターをもう少し高解像度のものにしてくれればよかったと思う。欲を言えば有機ELなんかが希望だ。来年もM9-Pといろんな所へ撮影に行きたいと思う。

うえだこうじ:フォトグラファー。今年はインド、香港、パリ、ニューヨーク、中国、シンガポールなど様々な所へ行きましたが、ほとんどマイルと格安チケットを買ったためスターアライアンスの飛行機に乗れず、目標の5万ポイントは達成できず……。来年は長距離狙いで、ANAのプラチナ復帰を目指す(笑)。

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触るにつれて心を揺り動かされ……


FUJIFILM X100/大浦タケシ

 2011年、私が手に入れたデジタルカメラといえば「OLYMPUS PEN E-P3」と「FUJIFILM X100」の2台となる。両モデルも気に入っており、主にプラベートな撮影で活躍している。今回はそのなかでもX100について話をすすめたいと思う。

 このカメラが発表された当初、購入する気はまったく持ち合わせていなかった。というのも、今年はキヤノン「EOS 5D Mark II」やニコン「D700」、同「D300S」などの後継モデルがリリースされそうに思えたからである(実際には2011年はいずれの後継モデルも出ることはなかったが)。自分にとって趣味的な要素の強いX100は、仕事で使うことの多いデジタル一眼レフカメラにくらべ、購入を考えたときそのプライオリティははるかに低かったのである。

 しかし、カメラ誌などのレビュー記事や取材記事などで幾度となくX100に触る機会を得るに従い、光学ファインダーで撮る楽しさや、アナログチックで直感的な操作性などに心を揺り動かされることになる。決定的だったのが、単焦点レンズの描写。画面周辺部までしっかりと解像し、色のにじみや像の流れのようなものがほとんどかったのである。そして発売直前、日頃お世話になっている中野のカメラ店に意を決して予約。発売開始日の3月5日には手にしてしまったのだ。

 期待して使い始めたX100であったが、当初は正直扱いにくい部分の多いカメラであった。なかでも連続撮影やオートブラケットの設定を行うドライブモードについては、画像の再生や電源をOFFにするとデフォルトの1枚撮影モードに戻ってしまうことには大いに閉口した。他にも使いづらく感じるところがいくつかあり、ときによっては購入したことを後悔してしまうこともあった。それが大きく改善されたのが2回目のファームアップ(Ver.1.10)である。ドライブモードなどが改善されるなど、やっと他のカメラ並みの扱いやすさとなったのである。

 このところ持ち出す機会のグッと増えたX100。連写モードに設定するとファイル名が変わってしまうことや、その再生もパラパラ漫画のような表示となってしまうことなど、まだ使い勝手が悪い部分もいくつか残ってはいるが、それ以外は自分にとって概ね不足のないカメラである。何より絞りリングやダイヤル類によるアナログ操作は、心安らぐものといってよい。富士フイルムはミラーレスモデルのリリースも公式に予定しているが、それでもこのカメラは使い続けることになると思う。

おおうらたけし:今年、デジタルカメラは本文のとおり2モデルしか手に入れなかったけど、フィルムの中古カメラは自分なりに散財した。キヤノン「IVsb」やレオタックなどのほか、長年探していたチノン「ベラミ」やオリンパス「XA4」も手に入れることができた。もちろんすべて安いものであるが、それ故この病気は来年も続きそうに思えて、ちょっと恐い。

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カシオならではの個性の塊のような1台


カシオEXILIM EX-TR100/河田一規

 カシオ「EXILIM EX-TR100」をごく最近購入した。EX-TR100といえば2月に行われたCP+2011で大々的に発表されながらも発売が遅れ、やっと7月に発売されたコンパクトデジタルカメラである。

 独特のレンズ回転式構造にスタンドやハンガー、グリップ代わりにもなる可動フレームを持ったEX-TR100はカシオならではの個性の塊のような1台で、とにかく面白い。レンズはズームではなく単焦点。しかも35mm判換算で21mm相当の超広角。メカボタンは電源とシャッターの2つだけ。電池はiPhoneのように内蔵式でユーザー交換不可。内蔵ストロボ無し。三脚穴なし。といったこのカメラの尖った仕様は、カシオだからこそ実現できた思い切ったもの。

 コンパクトデジタルカメラの多くが似たようなコンサバスタイルに収束しつつある今、これだけ濃い個性の製品は超貴重だし、既存コンデジに対するアンチテーゼとしてもその存在感は自分の中でかなり大きい。別にコンサバなコンデジを否定するわけじゃないが、EX-TR100みたいな個性的なカメラも世の中に少しは必要だと思う。発売されたらスグに入手せねばと思いつつ買い忘れていた筆者がとやかく言える立場ではないけれど、こんな素敵なカメラがあまり注目されていないのは実に惜しい。

かわだかずのり:カメラマン/ライター。最近は自転車にハマりまくりで、三脚とカメラを背負ってチャリで撮影に出かける今日この頃。3段三脚は縮長が大きいのでチャリ移動用に4段三脚を購入しようか検討中。

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快適なミラーレスカメラライフを送れる1台


OLYMPUS PEN E-P3/北村智史

 2011年1月に「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」を買ってそれなりに満足していたのに、どういうわけか6月にはもうモデルチェンジが発表されてしまった(発売は秋だというのに、である)。液晶モニターが可動式になったのはよかったものの、ワイド仕様になったのと、マウント部が出っ張ったデザインになったのもいまいち気に染まない。そういうわけで、「OLYMPUS PEN Lite E-PL3」に買い替えるのは止めて、上位の「OLYMPUS PEN E-P3」にステップアップした次第である。

 E-PL2もそこそこローパスフィルターが弱めだったようで、E-P3の売りの「ファインディテール処理」の凄みはそれほどありがたくは感じられなかったけれど、ピクセルレベルのブレが見分けられるほどの解像のよさは、ほんと、気持ちがいい。AFもぐっと速くなった。AFの遅さはミラーレスカメラの泣きどころのひとつなので、ちょっと速くなるだけでもストレスが格段に減る。

 それに、タッチ操作で測距点の移動がパパッとやれるようになったところも見逃せない。タッチパネルに頼り切った操作系は大嫌いだが、タッチパネルの便利さだけをうまく取り入れてくれるなら大歓迎だ。もちろん、アートフィルターの表示が高速化されたのもうれしかった点。これまでのまどろっこしさから考えたら、まさに感動的と言っていいと思う。E-PL2と比べて、ダイヤルが2つになって操作性が大幅にアップしたこともある。それから水準器があるのも個人的にありがたく思えたところだ。

 とまあ、下のクラスから上のクラスにステップアップしたのだから当然と言えば当然な部分もあるのだが、その分快適なミラーレスカメラライフを送れている。

きたむらさとし:フリーライター。2011年はいろんなことがあったうえに、引越したりもしたおかげでずいぶん我慢の多い年になりました。それがなければ発売されていたはずのあのカメラとかを手に入れるチャンスを、来年はこっそり狙っていこうかなぁと考えております。

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高性能単焦点レンズの登場を望む


PENTAX Q/澤村徹

 「PENTAX Q」が発表になるや否や、オールドレンズファンはにわかに色めき立った。ペンタックスQはフランジバックが9.2mmと短い上に、1/2.3型イメージセンサーは8mmフィルムよりもわずかに大きい程度だ。つまり、マウントアダプターを用意すれば、8mmフィルムムービーカメラ用のDマウントレンズ群が、レンズ本来の画角に近い環境で使えるようになる。Dマウントレンズを使うためのベースボディ。本機を購入した理由はこの点に尽きる。

 DマウントレンズはCマウントレンズよりもひとまわり以上小さいが、スイターならスイター、アンジェニューならアンジェニューといった具合に、レンズブランドのテイストをしっかりと受け継いでいる。Cマウントレンズよりも格安で、さらに数千円で買える国産レンズが豊富だ。8mm用レンズなので解像感不足は否めないが、そのローファイさも含めて手軽に楽しめるシネレンズである。

 PENTAX Qは超小型レンズ交換式カメラだが、見た目以上のすぐれた操作感が気に入っている。背面ボタンは適度な重みがあり、男性の指でも誤操作が少ない。軍艦部のダイヤル類もヌッとしたトルク感があり、実にていねいな作りのカメラだ。来年あたり高性能単焦点レンズが登場してくれると、さらに活用の幅が広がりそうだ。

さわむらてつ:写真家・ライター。今年はオールドレンズ本を2冊出版したせいか、各方面から「オールドレンズで写真展をやりなさい」と助言をいただいた。オールドレンズはほとんどが自腹購入なので、本を出すたびに赤字が膨らみ、写真展開催でさらに膨らみ、いったいどこで稼げばいいんだろう。

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両手指に余るDマウントレンズが……


PENTAX Q/中村文夫

 パナソニック「LUMIX DMC-G1」、ソニー「NEX-3」、サムスン「NX100」に次いで、「PENTAX Q」は、私にとって4台めのミラーレス機。どのカメラもマウントアダプター遊びを目的に購入したが、初志貫徹しているのはNEXとPENTAX Qの2台だけ。

 最近ではNEXが35mmレンズ用でPENTAX Qがムービーレンズ用という使い方がすっかり定着した。要するに、最大と最小、両極端のサイズがいちばん便利という結論に達したのだ。これまで、マイクロフォーサーズマウントをコンプリートしてきたが、センサーサイズが中途半端な「Nikon 1」にはたぶん手を出さないと思う。

 PENTAX Qと35mm一眼レフカメラ用レンズの組み合わせは12月10日の皆既月食で活躍したが、それ以外、有効な使い道は見つからない。これに対しムービー用レンズは焦点距離が短く広角や標準レンズとして使用できるほか、名(迷?)レンズも多く、純正レンズにない楽しみ方ができる。さらにPENTAX Qはフランジバックが極端に短いのでマイクロフォーサーズやNEXで使えなかったCマウントレンズのほか8mm用Dマウントレンズが使用可能だ。

 Cマウントレンズは、マイクロフォーサーズ登場を機に中古価格が一気に高騰した。Dマウントレンズもこれに続くかと思われたが、いざふたを開けてみると、一部の外国製レンズを除けば意外と値段は落ち着いている。そのお陰で、気が付けば両手指に余るDマウントレンズが……。

 Dマウントレンズは8ミリカメラに付いた状態で売りに出ることが多い。要するにDマウントレンズを買うと、もれなく8ミリカメラ本体が付いて来るということ。モノを捨てられない性分なので、今、5台の8ミリカメラが手元にある。何か有効な使い道はないものか?

なかむらふみお:今年は遂にフィルムを1本も使わなかった。冷凍庫には、期限切れのフィルムが大量に眠ったまま。原点回帰の意味で、来年はフィルムを復活させようかと目論んでいる。

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テンポよく撮影できるカメラ


D7000/塙真一

 実はこの数年間、APS-Cサイズのセンサーのカメラを購入することはなかった。仕事の撮影で使うのはもっぱら35mmフルサイズセンサー以上のカメラだったからだ。また日頃のスナップや旅ではミラーレスカメラを使うことがほとんどだったし、APS-Cサイズというセンサーがどうも中途半端であまり必要性を感じていなかった。

 そんな折、ニコンの「AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VR」を使う機会があり、その良さにびっくり。このレンズがあるなら、APS-Cサイズのカメラもいいかもと思って「D7000」の購入に踏み切った。

 D7000の良さは一眼レフカメラとしては手頃なボディサイズに、中級機ながら視野率100%のファインダー、防塵防滴機能などを搭載している点。エントリーモデルにありがちな頼りなさや、操作のしにくさというものは一切ない。予想通り、16-85mmとの相性もバッチリで、ちょっとした仕事の撮影ならこれで十分。カメラのデフォルト設定では少しシャープネスが甘めに感じるが、これも必要に応じてパラメーターを変更してやればいい。ライブビュー撮影への切り替えも楽で、ファインダーを覗くことが厳しいアングルでも素早くライブビューで撮影を継続できるのもいい。

 ただし、ミラーレスカメラと比べるとコントラストAFがもっさりとしているため、やはり基本的な撮影はファインダーを覗きながらということになる。それだけにファインダーの見えやすさ、ピントの山のつかみやすさがとてもありがたい。

 35mmフルサイズセンサーのカメラや中判カメラのデジタルバック、そして小型のミラーレスカメラの間を埋めてくれる頼りになる存在としてD7000がぴったりとはまってくれているという感じだ。ボケを意識する単焦点レンズでの撮影は35mmフルサイズセンサーのカメラのほうが感覚にマッチするが、出来のよいズームレンズを使ったテンポのよい撮影ができるのがD7000の魅力なのだと感じている。

はなわしんいち:コンパクトデジカメからデジタルバックまで、気がついたら各種フォーマットを使い分けるのが当たり前になってしまった今日この頃。年明けには恒例のN.Yに行こうと思っているが、さて何のカメラを持って行こうかと思案中。そういう悩みもまた旅の楽しみのひとつです。

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あっという間にメインカメラに


D7000/藤井智弘

 昨年購入したキヤノン「EOS 7D」は高性能で満足している。しかし、手に入れてからすぐに気になるデジタル一眼レフカメラも登場した。それがニコン「D7000」だ。もともとニコンはフィルムの「F2」、「F3」、「F4」、「FE」を所有しているものの、AFレンズは1本もなし。最近はフィルムによる作品撮りに登場するくらいだった。実は「D300」が発売されたときも欲しいと思ったが、結局新たにシステムを組むことになるため、効率が悪いと諦めていた。

 D7000が発表されても、最初は「良さそうなカメラだな」という印象。ニコンのデジタル一眼レフカメラは手にしないだろうと思っていたので、積極的な気持ちにはならなかった。だが実際に手にすると、小型軽量でキビキビした動き。しかもファインダーの視野率は100%で防塵・防滴構造。「D300S」を上回るほどの性能を持っている。かつてのD300が欲しかったのと同じ気持ちが再び沸いてきた。とはいえレンズも新たに購入しなくてはならない。すでにキヤノン、オリンパス、ソニーのデジタル一眼レフカメラを所有していて、さらにシステムを加える必要があるのか悩んだ。インターネットでD7000の価格を眺める日々が続いた。

 春が近くなると、D7000の価格が下がっていることに気づいた。1万円のキャッシュバックキャンペーンも始まった。手に入れやすくなったD7000。購入するなら今しかない、と思い切って決断。4月にオーナーになった。

 翌月には早速D7000とライカ「M9」を持って、フランスのパリへ。小型軽量のD7000は、海外の街歩きに威力を発揮した。すっかり気に入ってしまい、今年はD7000を購入してから、海外も国内も、旅の撮影はすべてD7000とライカM9の組み合わせ。もちろん依頼仕事でもD7000は活躍している。撮影の内容によっては、EOS 7Dをはじめ他のデジタル一眼レフカメラも使用しているが、あっという間にD7000はメインカメラになってしまった。レンズは「AF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VR」とトキナー「AT-X 12-24mm F4 DX」がメイン。次に狙うのは、「D700」の後継機だろうか。早めに予算を確保しなくては。

ふじいともひろ:写真家。今年は仕事も含め、フランスに3回とベトナム、香港と海外を訪れた。しかもD7000以外にも、ライカのズミルックス「M 50mm F1.4 ASPH.」も購入するなど、散在した1年。来年は貯めたマイルを有効活用して、出費を抑える努力をしよう。

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コレでできることを楽しむカメラ


PENTAX Q/水咲奈々

 6月の発表会が終わってすぐ予約をしてしまった程の私の惚れ込み機種は、ペンタックス初のミラーレス機「PENTAX Q」です。ステージ上では遠くてわからなかったこのミニミニさは、タッチ&トライコーナーで実機を手にとって度肝を抜かれました。まさに手のひらサイズの小ささと交換レンズの面白いラインナップに遊び心が刺激されて、帰り道ではまずはどのレンズから揃えようか……なんて、まだ発売日も決まっていないのに悩んでいました。

 巷では発売前からこのセンサーサイズでボケるのか? とか、画質的にどうなんだ? などとスペック面の問題が話題になっていましたが、この機種はそう言う数字を気にしないで「コレでできること」をして楽しむカメラだと思っています。いつでもどこにでも持って行ける小ささ、女性が首から提げても不恰好にならないデザイン、デジタル一眼レフカメラでできるほとんどのことができるので、久し振りにコンパクトデジタルカメラを持ってマニュアル撮影ができなくてイライラする……なんてこともなく、お手頃価格のユニークレンズで自分なりに工夫した撮り方で遊ぶこともできる。ほら、遊べるカメラとしてはもう十分でしょう。

 普段は昨年購入したキヤノン「EOS 7D」をメイン機種として使っているのですが、何しろ重い! 操作性はいいし撮れる画も申し分ないのだけど、一日中コレを担いでロケで歩いていると次の日は絶対に整体へ行く破目に……。しかも撮っている状況を撮らなくちゃいけないような仕事だともう1台カメラを持ち歩かないといけない! もう、肩が死んじゃいます!! そんなときに出会ってしまったのです、このQに。

 今は「PENTAX-01 STANDARD PRIME」と「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」、「PENTAX-03 FISH EYE」の3本を所持していますがこれらと本体を併せても女子的な小さいバッグにポイッと入ってしまうので、バッグの容量と持って行くレンズの選択で悩むことがなくなりました。来年はマウントアダプターに手を出して色々なレンズを試したいのですが、コレをし出すと更なるレンズ沼にずぶずぶとハマってしまいそうで恐ろしくもありますね(笑)。

みさきなな:フォトライター。フリーになって2年目に入った今年は今までで一番撮影をした年になりました。今年は“ホップ”ができたと思うので来年は“ステップ”を目指して頑張ります! 妹分サイトの「女子カメWatch」の連載「女子カメレッスン」にも遊びに来てくださいね。

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子どもの成長記録に「ファンタジックフォーカス」を


OLYMPUS PEN E-P3/吉住志穂

 オリンパスのPENシリーズは歴代愛用しているけど、アートフィルターが10種類すべて搭載されたPENはこの「OLYMPUS PEN E-P3」のみ。特に「ファンタジックフォーカス」と呼ばれるアートフィルターがお気に入りで、ソフトフィルターをかけたような仕上がりになるから、花や小物、スナップの撮影によく使っている。

 さらに新機能の「アートエフェクト」のホワイトエッジ効果を重ねて使えば、四隅が白くぼやけたようになって、さらに優しい雰囲気の写真を作り上げることができる。被写体の雰囲気に合ったアートフィルターを選ぶという楽しさに、アートエフェクトが加わることで、何をどう組み合わせるかという嬉しい悩みが増えた。

 私、個人の2011年のビッグニュースと言えば妊娠したことかな。来年の2月に第一子を出産する予定で、性別は女子。今からドキドキ、わくわく!

 E-P3はメインテーマである花の撮影に使用しているけど、子どもの成長記録用として「ファンタジックフォーカス&ホワイトエッジ」を使おうと思っています。もともとかわいい赤ちゃんの撮影に、こんなステキな効果をかけちゃったら、どんなにかわいく撮れちゃうの? という生まれる前からの親バカぶり。これから出産、育児用品を買いそろえなくてはいけないけど、そのスタートとして、カメラを購入したと言うわけ。周囲の写真家仲間たちからは、出産シーンを自分で撮れ! と言われていけれど、さすがにそれは無理っぽい……。

 カメラに合わせて「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」の購入を検討中。「ママのためのファミリーポートレートレンズ」というコピーが付いていて、シャープさの中に美しいボケ具合が得られるレンズ。最短撮影距離が0.5mなので、子どものポートレート撮影にはぴったりかもしれないけれど、もしかしたら小さな赤ちゃんの撮影には少し撮影倍率が足りないかも。花写真家としても、ママとしても、PEN用のマクロレンズが発売されれば、すぐにでも飛びつきたいのに……今のところはマウントアダプターをかませて「ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2」になるのかな? 早くPEN用のマクロレンズが出てほしいな!

よしずみしほ:写真家。2011年は個展「Yin&Yang」を開催。さらには入籍と妊娠というイベント続きの一年だった。年末から年明けにかけては出産のため仕事はお休み。元気な子を産んで、また写真家として復帰したい。

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写真と動画の両撮りに満足できるモデル


サイバーショットDSC-HX9V/吉森信哉

 昨年の春に登場したソニー「サイバーショットDSC-HX5V」のフルHD動画は、それまでの“コンデジのHD動画”とは一線を画するモノだった。カメラの液晶モニターはもちろん、家庭用の液晶テレビで観賞しても、HDビデオカメラと遜色のないクォリティだったんだよね。

 だけどこのDSC-HX5Vは、ズームレンズのカバー域(25-250mm相当の光学10倍)や、画質調節機能の貧弱さなどが気になって購入しなかった。でも、このモデルを使ったことが契機で“コンデジでHD動画を録るならサイバーショットがイイかも”と、思うようになった。

 その後、サイバーショットDSC-TXシリーズのモデルでフルHD動画を録る機会も何度かあった。しかし、光学ズームの望遠域が物足りなかったり、動画撮影中のブレを補正する「アクティブモード」がなかったり……と、DSC-HX5Vの動画撮影を超えるモデルではなかった。

 それらの不満を解消してくれるモデルが、後継モデル「サイバーショットDSC-HX7V」の上位機「サイバーショットDSC-HX9V」である。ズームレンズは「24-384mm相当の光学16倍」と大幅にパワーアップされ、画質調節機能も「カラーモード」、「彩度」、「コントラスト」、「シャープネス」と、欲しいと思っていた基本的な機能をバッチリ搭載! また、各種の機能や設定を登録(3パターン)しておいて、簡単に呼び出せる「メモリーリコールモード」もかなり便利。機能や設定だけでなく、ズーム位置(画角)とかも記憶させられるからね。……ということで、このモデルは発表時に購入しようと決めていた。

 レンズ交換式デジタルカメラやビデオカメラを持ち出すような“本格的な気分”ではない。だけど、そこに行ったら写真と動画の両方を撮り(録り)たくなるだろうなぁ……と、そんな狙いが定まらない撮影姿勢でも、かなり高い満足度が得られるのが、このサイバーショットDSC-HX9Vの魅力かも。

よしもりしんや:フォトグラファー。デジカメWatchではコンデジの新製品レビューを担当する事が多かった。しかし、「オールドデジカメの凱旋」の連載開始以降は、懐かしいデジカメを求めて中古店行脚が続く……。

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公私ともに頼れる1台


キヤノンPowerShot S100/鈴木誠

 2010年はミラーレス機のサイズ感と画質のバランスに夢中だったが、今年は好みがより小型軽量な方面にシフト。いわゆる高級コンパクトと呼ばれるカメラに惹かれた。私にとってミラーレスは状況に応じてメインのデジタル一眼レフに代わるカメラで、コンピューターに例えるならタブレット端末のような存在。作業効率を考えればやはりパソコンのほうがいいし、いつでも持ち歩くならポケットに入るスマートフォンのほうがいい。そんな具合に、カメラについても選択が二極化してきた。

 そこで、いつでも持ち歩けるカメラとして選んだのが本機だ。高級コンパクトの中でもズームレンズ搭載の汎用性と、ポケットに収まる小ささを兼ね備えているからだ。これに取材用のデジタル一眼レフカメラや、休日の趣味カメラを組み合わせる。どちらもカメラが2台あれば、私にとっては安心できる備えだ。普段はストラップなしでバッグのポケットに放り込んでいるが、旅に備えて両吊りストラップを通すと気分が盛り上がる。帰ってきてから撮影画像をiPhoneで地図上に並べるのも楽しい。

 また、こうしたサブ機に“コンパクトデジカメ”を選ぶ効用として、集合写真や記念写真を誰かに頼みやすいというのもある。見た目にゴツいカメラは預かる方も気が引けるだろうし、扱い方などいろいろと手間もかけてしまう。その点、コンパクトデジカメならオートモードで渡せば撮影に戸惑う人はまずいないだろう。本機のオートは絞りを開けがちなので多少ピントが心配になるが、かしこい各種機能のおかげか今のところ大ハズレはない。年末年始のイベント記録にも活躍してくれそうだ。

すずきまこと:Web編集者。今年はほかにもブラックペイントのライカ「M8.2」やGibsonレスポール(58年仕様のヒスコレ)などを購入。夏頃から腕時計にも興味を示し、年末に向け危険な状態が続く。

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2011/12/22 16:06