特別企画

飛行機撮影と鉄道撮影におすすめのPICK UP LENS(キヤノン編)

最新高性能ズームレンズで表現力と撮れ高をアップ…RF70-200mm F2.8 L IS USM & RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

撮影:チャーリィ古庄(左上・左下)長根広和(右上・右下)

飛行機と鉄道は動体であり、難易度の高い撮影ジャンルでありながら、人気の被写体でもある。技術もさることながら、限られたシャッターチャンスをモノにできた1枚は高画質で残したい。そんなユーザーの欲望を叶える機動力と画質の面でプロを満足させるレンズとは?

キヤノンユーザーの2人(チャーリィ古庄さん、長根広和さん)に、おすすめのレンズをうかがった。

※本企画はデジタルカメラマガジン2022年5月号より転載・加筆したものです。

<飛行機編>RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM——チャーリィ古庄

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
EOS R3装着例
付属フードET-83F(W III)

SPECIFICATION
レンズ構成:14群20枚 絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最小絞り:F32(100mm時)、F51(500mm時)
最短撮影距離:0.9m(100mm時)
最大撮影倍率:0.33倍(500mm時)
フィルター径:77mm
外径寸法(最大径×全長):約93.8×207.6mm
質量:約1,370g(三脚座含まず)

発売日:2020年8月27日
実勢価格:40万7,000円(税込)

5倍ズームの利便性、この1本で自由自在

飛行機写真は撮影ポイントが限られる上、旅客機の場合でも機体のサイズが全長20~70mを超えるものなどさまざま。そのためズームレンズが必須。

中でも僕が最も使用するのが100-500mmというレンジ。500mmまであればほとんどの撮影で不足はないが、EOS R3のクロップを使用すれば800mm相当の超望遠にもなるので、かなりアップの迫力カットを狙うことも可能だ。

現在、僕の撮影において80%以上はこのレンズ1本だけで撮影をしている。なくてはならないメインレンズとなった。


頭上を駆け抜けて行く姿を大胆に500mm側で切り取った。翼の下のシャドウ部の色再現は良く、ボディの金属の質感や反射も美しい。

撮影:チャーリィ古庄
EOS R3/500mm/シャッター優先AE(F7.1、1/1,250秒、±0EV)/ISO 200/WB:オート

手ブレ補正モードを2(流し撮りに対応したモード)に設定し、1/6秒で軽く流し撮り。機体はぴったりと止まってくれた。

撮影:チャーリィ古庄
EOS R3/343mm/シャッター優先AE(F5.6、1/6秒、±0EV)/ISO 25600/WB:オート

6段の手ブレ補正機構が描き出すシャープな絵

500mmレンズと言えば、高価な単焦点レンズでないと、手に入れることができないものであった。しかし、便利なズームレンズでありながら、画質のクオリティーも申し分のないレンズが登場したのである。

本レンズは6段分の手ブレ補正機構を備え、超望遠の撮影をサポートしてくれる。カメラとのバランスも良好。500mm側にズームした際のホールド感も良い。中には500mm側の開放F値を気にする人もいるが、日中に撮影する分には全く問題ない。

POINT 1: 100-400mmに+100mmの望遠効果

これまで飛行機撮影の標準レンズと言われていたのは100-400mmだった。望遠端が500mmまで広がると、これまでよりもさらに迫力のある表現が可能になる。

400mm
500mm

POINT 2: 1機で複数のチャンスをモノに!

到着機は斜め前から望遠側で狙い、ゆっくりと広角側にシフトしながら去っていく姿を狙う。本レンズは500mm側で迫力カット、100mm側で型式写真の複数のカットが撮影できる。

500mm
100mm



<鉄道編>70-200mm F2.8 L IS USM——長根広和

70-200mm F2.8 L IS USM
EOS R5装着例
付属フードET-83F(WIII)

SPECIFICATION
レンズ構成:13群17枚
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り) 最小絞り:F32
最短撮影距離:0.7m 最大撮影倍率:0.23倍(200mm時)
フィルター径:77mm
外径寸法(最大径×全長):約89.9×146.0mm
質量:約1,070g(三脚座含まず)

発売日:2019年11月21日
実勢価格:379,500円(税別)

硬さと柔らかさの2面性を表現できる

私が鉄道撮影で一番使うレンズは70-200mmである。100-500mmという選択肢もあるが、車両メイン、風景メインの写真ともに85~150mm位の焦点距離で撮ることが多く、70-200mmのズームレンズがベストなのだ。

本レンズはプロが求める厳しい条件を満たしてくれるLレンズゆえ、描写力には絶大な信頼がある。ボケの表現がしやすいということもあるが、シャッター速度が重要な鉄道撮影では「F2.8のおかげでなんとか撮れた!」という暗所のシーンも多い。そのため全域F2.8も欠かせない。


EOS R5の高精細な描写力とともに、繊細な川霧をそのまま写し止めてくれた。「空気感」を表現してくれることがレンズの信頼につながっている。

撮影:長根広和
EOS R5/128mm/マニュアル露出(F8、1/400秒)/ISO 800/WB:太陽光

夕日にギラリと輝く「SL銀河」は列車のディテールをカッチリと表現したい。車両の細部まで明確で文句なしの描写力。

撮影:長根広和
EOS R5/135mm/マニュアル露出(F11、1/1,250秒)/ISO 400/WB:太陽光

緻密な描写を実現した小型・軽量F2.8レンズ

このレンズを初めて手にしたとき、一番に驚いたのはコンパクトなボディサイズ。まさかRF24-105mm F4 L IS USMとほぼ同じ大きさだとは予想だにしなかった。

繰り出し式のズームなので堅牢性に関して心配する声を耳にしたが、一度手にすればその心配はなくなるだろう。

ズームレンズでありながら描写力はとても緻密で、にじみのないすっきりとした印象。高価なレンズであるが、購入して後悔することはない1本だ。

POINT 1: 愛用のカメラバッグに プラス1本の余裕

従来のEF70-200mmの大きさであったら、RF100-500mmと一緒に私のカメラバックには入れられなかった。全長14.6cmというコンパクトさゆえにそれが可能になったわけだが、この優位性はEOS Rシステムの特権のようなものだ。

POINT 2: 開放F2.8ならではのボケを活用した表現

画面いっぱいに八重桜を入れて開放絞りで撮影。鉄道撮影では多用する技法ではないが、F2.8ならではの表現方法だ。美しいボケとともに、ピントを合わせた列車をシャープに描写してくれる。やはり、開放F2.8レンズは魅力的だと再認識する。

EOS R5/177mm/マニュアル露出(F2.8、1/400秒)/ISO 800

制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

デジカメ Watch編集部