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想像を超える規模のDJI本社「Sky City」にお邪魔しました

フラッグシップストアには歴代Hasselbladも

DJI本社「Sky City」はイルミネーションにも凝っているとのことで、全体が見える公園を案内された。夜に見てもひときわ目立つ外観

DJIの中国本社を見学するメディアツアーが6月9日に開催され、当サイト「デジカメ Watch」も招待を受けて参加した。一般入場できない社屋内の様子をはじめ、ショップやそこに展示されているハッセルブラッドのコレクションなどを紹介する。

なお、正式発表前ながら同ツアーで披露されたデュアルカメラ搭載のジンバルカメラ「DJI Osmo Pocket 4P」のハンズオンレビューについては下記を参照されたい。

地上105m! ツインタワーの吊り橋を渡る

DJIといえばドローンの世界最大手であり、カメラ用のジンバル「Ronin」シリーズのほか、ジンバル一体型カメラ「Osmo Pocket」シリーズでも有名。日本でも同社製品のユーザーは多いのではないだろうか?

そんなDJIだが創業は2006年。わずか20年ほどで中国を代表するテック企業の1つになった。初の製品となる「XP3.1フライトコントローラーシステム」を2009年にリリース。その後はドローン関連を皮切りに製品ジャンルを広げ、ドローン技術を用いたハンドヘルドのジンバルカメラでも成功を収めている。

そうした製品を生み出す研究開発の中心となっているのが、深圳のDJIグローバル本社「DJI Sky City」だ。44階と40階という超高層のツインタワーで構成され、高さは200mを超える。2022年に完成したばかりだ。

道を挟んで建つ2つのタワーがDJI Sky City
石垣を思わせるような壁にも圧倒される

会社の急成長に伴い、それまで分散していた拠点を集約することを目的に6年をかけて建設されたという。中心部分から複数の箱が突き出した奇抜なデザインで、近未来的な印象を受ける。

設計は米アップル本社(Apple Park)も手掛けた建築家チーム「Foster+Partners」が担当。今では深圳のランドマークの1つになっているとのことだ。

2つのタワーはそれぞれT1、T2と呼ばれており、T2には研究開発部門があり、T1にはそれ以外のマーケティングやセールスなどが入っているそう。ここに勤務する社員は6,000人以上という。

筆者らはまずT1から見学することになった。タワーを囲む石垣のような壁やガラス張りのエントランスも相当なスケールで、まさに巨大建造物といった言葉がしっくりくる。

T1のエントランス

社員も出入りするエントランスでは枯山水が迎えてくれる。樹齢100年を超える黒松を植えたという本格的なものだ。中国、そしてテック企業と聞いて意外な組み合わせに思ったが、創業者のフランク・ワン氏が「無機質になりがちな建築物に自然を融合させよう」と置いたものだそう。一期一会を大切にしたいという思いも込めたという。ちなみにT2のエントランスにも同様の石庭があった。

松の木の根元には温湿度計を置き、管理には気を遣っているそうだ

最初に向かったのは18階にあるスカイガーデン。多くの植栽のあるスペースで、社員の休憩所にもなっている。社屋にはこうしたスカイガーデンが11もあり、「天空の城ラピュタ」にインスピレーションを得て作ったとのこと。

エレベーターは独ThyssenKrupp AG(ティッセンクルップ、現TK Elevator)製で、効率的な輸送ができるタイプだそう。中のサイネージでは自社製品の動画が流れていた
スカイガーデンは見晴らしもよく、まさに空中庭園だ
スカイガーデンからの眺め。高層ビルの数々が街の発展ぶり感じさせる。大都市でありながら緑が多いのも深圳の特徴になる
スカイガーデンからは社員の子供が利用する遊び場も見えた

続いては24階にあるスカイブリッジに向かった。T1とT2を結ぶ吊り橋で、一般的なビル間の渡り廊下のような壁や天井は無い。地上からは105mあり、高いところが苦手な人は渡れないのではと思うほどだ。筆者も渡ってT2側に行ったが、真下を見るのは憚られた。とはいえ眺望は素晴らしく、開放感に溢れる設備だった。

渡り廊下ではなく、吊り橋そのもの
ケーブルを固定する部材はこの大きさ
T1から見た吊り橋。長さは90mある
吊り橋中央部からの眺め
見上げるとツインタワーの形がきれいに見える

T2では画質評価のラボ、無響室、電波暗室、ブレ補正評価のラボを見学した。これらの開発施設を外部に見せるのは今回招待した日本メディアが初めてとのこと。ただし詳細は企業秘密ということで、残念ながら撮影や内容の公開は叶わなかった。

本社のショップでしか買えないアイテムも

その後は社屋1階にあるブランドグッズショップを訪れた。このショップは誰でも利用でき、DJIの様々なアイテムをその場で購入できる。

ブランドグッズショップの入口。分解した産業用ドローンが飾られていた
ショップ入口の天井には凧をイメージしたオブジェがあった。ドローンが活躍する空にちなんだそうだ

人気のDJI製品に混じって、ここでしか買えないグッズも充実していた。本社を訪問した人のお土産といったアイテムが多く、プリントTシャツ、ブロックのドローン、ピンバッジ、オリジナルキャラクターのぬいぐるみなどがあった。

ドローンやジンバルなどおなじみの製品も展示
中央にはSky Cityの模型も
プロ向けドローンやロボット掃除機も展示されていた
オリジナルのバッグ類
帽子や傘などもある
DJIのキャラクターぬいぐるみも購入できる。左は干支バージョン(馬)
ここでしか買えないアパレルのコーナー。様々な柄が用意されている
こちらはRonin 4DのTシャツ
ピンバッジやマグネットも用意されている
非売品だが創業5周年のコインが展示されていた

また、訪問者が利用できる休憩スペースがショップに併設されている。本や雑誌がたくさん置いてあり、お茶を飲みながらゆっくりできる。さすが本社というべきか、ホスピタリティのある空間が広がっていた。

訪問客はソファーでくつろげる
本は写真や建築関係のものが多かった
ロゴ入りのカップでお茶が提供される

フラッグシップストアには歴代Hasselbladも

次いで向かったのは、本社からクルマで30分ほどの場所にあるDJIのフラッグシップストア。さまざまなショップやレストラン、エンターテイメントが集まったもので、深圳湾に隣接する複合施設「OCT Harbour」の中にある。

OCT Harbourの入口。左の建物がDJIのフラッグシップストア

本社に負けずユニークな外観の建物全部がDJIのショップとなっている。4階建てで広さは4,000㎡超。世界最大級のDJI店舗で、同社の全カテゴリーの製品を見ることができる。

存在感のある外観でハッセルブラッドのロゴもあった

普段なかなか目にできないプロ向けの撮影機材や大型のドローンも間近で見られる。また、分解モデルや技術展示も興味をそそられた。

天井がかなり高く、広々とした店内
フロア構成
Osmo Pocketシリーズなどのコンシューマー製品ももちろん展示
こちらはRoninシリーズのジンバル
あまり見る機会のないプロ向け映像機材のコーナー。中央はジンバルの精密コントローラーで100万円以上するアイテムだ
ドローンを自動運用できるドックもあった
これは荷物輸送用のドローンで30kgまで運べる。最近は200kg対応のモデルも登場したそうだ
農薬散布などに使われる大型ドローン。右の装置はドローンを充電する発電機で、これもDJI製となっている
キーコンポーネントの技術展示もあった
こちらは撮像素子や内蔵NDフィルターの展示

2階にはドローンの飛行体験ができるスペースが用意されていて、本格的な飛行体験が可能になっていた。

離着陸スペースからドローンを飛ばした。機体は「Mavic 4 Pro」
初心者でも操縦できるようにショップのスタッフがレクチャーしてくれる

3階には「ハッセルブラッド・エクスペリエンス・ステーション」がある。HasselbladがDJI傘下ということで、製品のPRや販売にも力が入っているようだ。

Hasselbladの展示コーナー

現行製品のカメラやレンズを体験できるほか、歴代のハッセルブラッドカメラがずらりと展示してあり、訪れた際には一見の価値ありと言えそうだ。

創業者ヴィクター・ハッセルブラッド氏にまつわる写真も
初の民間向けカメラとして「1600F」を紹介
初期の製品として展示されていたのは、1600Fの改良版に当たる「1000F」(1953年登場)
超広角レンズが一体となった「SWC」。そのレンズ「ビオゴン」とともにカメラ史に残る名機の1つといわれる(1954年登場)
Hasselbladと聞いて多くの人がイメージするのはこの「500C」ではないだろうか。1957年に登場し、多くの写真作品を生んだ
500シリーズはビートルズをはじめ、20世紀後半の音楽界や映画界のスターの撮影でも活躍した
Hasselbladはアポロ計画のカメラとしても有名
「500EL」をベースにアポロ計画向けに作られたカメラ「HDC」
記念モデルも展示されていた
デジタルバックを付けた現行モデル「907X & CFV100C」も
こちらも現行モデルの「X2D II 100C」
リクエストするとレンズも含めてケースから出して体験できる
Hasselbladのカメラによるギャラリーも
フラッグシップストア4階で行われたプレゼンでは、「ユーザーファーストを掲げ、人類の発展に貢献していく」というDJIの理念が語られた

社員の若さも勢いの秘密かも

DJIが最初の製品をリリースしてからまだ17年。創業者が1代で築いたとは思えない社屋の規模や設備に驚きの連続だった。

空港で見た土産品にはドローンモチーフのデザインも。深圳におけるDJIの躍進を感じるものだ

ラボも洗練されたもので、技術オリエンテッドな社風も見て取れた。聞けば本社の設計にはDJIのエンジニアも参加しているそうで、曰く「社屋そのものがDJIのテクノロジー製品」というコンセプトで作ったとのことだ。

そして、社内を歩いていると社員の多くが若手だったのも印象に残った。若手ならではの着想もヒットする製品を生む1つの要因かもしれない。

一方リーディングカンパニーであるDJIは、ライバル企業の猛追を受ける立場でもある。高度な技術をベースにしながら、新しいアイデアでユーザー体験をどれだけ高められるかに期待がかかる。我々や競合メーカーをあっと言わせる製品が登場することを楽しみにしつつ、深圳を後にした。

離陸直前の機内から見た深圳宝安国際空港の様子

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。