特別企画
Profoto C1 Plusはどこまで活躍できる? 料理写真で試してみた
ひと手間かけて見た目をアップ!! 一眼レフ&スマホで挑戦
2019年12月27日 07:00
スマホでもプロフェッショナルな写真が撮れるようになると話題の「Profoto C1 Plus」(以下C1 Plus)は、スマートフォン用のコンパクトなライティング製品だ。気軽に持ち運べ機動性が良く、Profotoならではの上質な光を放つのが特徴。
私はデジカメ Watchで「料理写真」をワンランクアップ!というのんべえ企画を連載しているが、実は重い機材を持って飲み屋に入る機会はなかなかない。撮影するスペースや条件が限られているからこそ、スマホなどのフットワークの軽いシステムで質の良い写真が撮れることはとても大切なことなのだ。
その点でC1 Plusの期待度は十分。実際の実力はどれ程のものか、料理写真で試してみることにした。
Profoto C1との違い
C1 Plusの下位モデルとして、「Profoto C1」(以下C1)がラインナップしている。両者の違いは、C1 Plusの方が多機能で光量が明るいということ。C1 Plusは「Profoto Connect」を使用すればレンズ交換式カメラと連携できる。また、三脚ネジ穴を持つのもC1 Plusのみだ。
また、C1はドームディフューザーが着脱できないのでライトシェーピングツールを使用することができないが、機能が省略されている分C1 Plusより一回りコンパクトになっている。スマートフォン単体との組み合わせであれば、C1でもこの記事で紹介するテクニックのほとんどを実践することができる。
まずは撮影の準備
撮影に入る前に、まずは店内の照明とC1 Plusの色温度を合わせよう。アプリ「Profoto Camera」を使用すると3000K~6500Kの範囲で色温度を調節できる。アプリの画面はシンプルで直感的な操作が可能だ。今回は店内の白熱灯に合わせ、低めの色温度に設定した。
実践その1;ビールの透明感を出す
料理を注文する前に、まずは大事な一杯! グラスに入ったビールをC1 Plusで照らし、印象的な一枚に仕上げよう。
C1 Plusなし
まずは地明かりで撮影してみた。これはこれで美味しそうだが、立体感がなく、ビールの色も店内の明かりに影響されてくすんで見える。写真にメリハリがない印象だ。普通に撮るとこんな風になる。
裏側から照射
次はC1 Plusをビールの裏側から照射してみた。
カウンターの段差を上手く利用し、正面から見えない位置にC1 Plusを置いて撮影。逆光になるためビールの透き通った黄金色と立ち上る泡が強調され、注ぎたての臨場感が伝わってくる。
実践その2:スープにも立体感を
ここからは実際に料理を注文し、それぞれの料理ごとの特徴を生かせるようなライティングを探っていく。まず一品目はトリッパだ。
C1 Plusなし
C1 Plusを使わず店内の明かりのみで撮影。真上から強めの白熱灯が当たっている状態で、立体感がなくのっぺりしている印象だ。
斜め上から照射
お皿の左斜め上からC1 Plusを照射。
お皿の内側にもライトが当たって明るくなり、深さがあるのがわかるようになった。陰影が付き、スープの中の具材やパンのエッジが際立ち形がよりはっきりするし、スープそのものの色の再現性も高い。
お皿、パン、テーブル、店のライトが全て暖色の同系色のため、自然光で撮るとどうしてもメリハリがない写真になりがちだ。C1 Plusを当てて撮影するとそれぞれの色と形がはっきりし、シズル感も出る。一手間で印象を大きく変えることができ、しかも片手で持てるので非常にトライしやすい。
実践その3:お肉は色が大切!
次にトライするのは牛肉のタリアータ。赤みが残る肉料理の場合は特に、肉の赤色を正確に出せるかどうかが撮影のポイントとなる。
C1 Plusなし
店内の明かりのみで撮影。全体的に暗く、肉に光が当たっていないので色がくすんでいる。
上から照射(温白色)
温白色に設定してC1 Plusを照射。肉の断面に光が当たって赤身の色がはっきりと出て、肉の筋の部分などのディテールも見やすくなった。温かさも伝わってきてグッと食欲をそそる1枚に。
照明を当てて環境光をとばして色を出す場合、光が弱いと店内の照明に負けてミックス光になってしまう可能性があるが、高出力で質の高い光を当てられるC1 Plusなら安心だ。
実践その4:デザートはドラマチックに
C1 Plusはカラーフィルター、グリッドなど、「Profoto A1」「同A1X」用のライトシェービングツールと組み合わせて使用することもできる。マグネット式のマウントになっているため、ワンタッチで簡単に装着可能だ。
ここでは10°のグリッドを使用し、食後のデザートをドラマチックに撮影してみよう。
C1 Plusなし
店内の明かりのみで撮影。カウンターの隅なので暗めの場所で、真上から白熱灯が当たっている状況だ。これはこれで悪くないが、ありきたりな表現でもある。
実践その5:一眼レフカメラと連携(その1)
Profoto Connectを一眼レフカメラのホットシューにつけることで、一眼レフカメラとC1 Plusを連動させることができる。さらにC1 Plusの発光を定常光ではなく瞬間光にすることで、一般的なカメラ用のオフカメラストロボのような使い方が可能になるのだ。
ちなみに瞬間光にすることで、明るさも140lxから最大1,700lxへと大きくなる。
ここではC1 Plusと一眼レフカメラを連動させて撮影し、C1 Plusの表現をより高画質で試してみたい。
C1 Plusなし
トマトソースの赤色に白熱灯のオレンジが影響して、色被りが激しくなってしまっている。これではピザそのものの色が判別できない。立体感もなくのっぺりとした印象だ。
バウンス
ピザが大きかったこともあり、瞬間光を最大光量にしてバウンス発光させてみることにした。こういうときは天井バウンスが考えられるが、店内の天井が黒色だったため、急遽A4サイズのノートをレフ板代わりに使用した。モッツァレラチーズやプチトマトの色がはっきり描写されたことに加え、ピザの耳の質感やソースのテカリなども表現された。
最初は一般的なレフ板を使用したが、大きくてお店の邪魔になってしまうのでノートで代用した次第。一人がレフ板を持ち、レフ板に近い位置でC1 Plusを構える。レフ板の位置を被写体に近づけると光は強くなり、遠ざけると柔らかい光になる。
実践その6:一眼レフカメラと連携(その2)
高さのある料理を逆光の状態で撮ると、手前の断面に光が当たらず暗くなりがち。そこに光を当てることで、料理をしっかり見せることができる。
ここでもC1 PlusをProfoto Connect経由で発光させた。クリップオンストロボを常に持ち歩くのが億劫でも、C1 Plusならカメラバッグの片隅に忍ばせておけば、こうした使い方が可能になる。
C1 Plusなし
ティラミスの後ろから光が当たっているため、お皿にも濃い影を作り出してしまっている。
まとめ
様々な料理でC1 Plusを使用してみたがいかがだっただろうか。
C1 Plusで一手間加えるだけでスマホでも高画質・高品質な料理写真が撮れるし、料理自体も生き生きとした描写で記録される。また、スマホで撮影ができればその場でSNSにアップすることもできる。Instagramのストーリーなどリアルタイムで投稿する写真の質も高くできるのは心強い。
ちょうど手のひらに収まるコンパクトなサイズなので狭い店内でも撮影がしやすい。手持ちしてアングルを自由に変えながら撮影できる柔軟さも強みだ。
Profotoということで、光の質も問題ない。色温度を直感的に変えられるのもポイントだろう。さらに、一眼レフカメラやミラーレスカメラの光源としても使えるのも大きい。
美味しい料理をより美味しそうに撮るためにも、持ち歩けるスタジオライトProfoto C1 Plusを活用してみよう。
制作協力:プロフォト株式会社
撮影協力:EL PORTEGO