特別企画

初めての写真編集PCディスプレイにぴったり!ベンキューSW240のいいところを教えてもらおう

5.5万円のハードウェアキャリブレーション対応モデルをチェック!

24インチPCディスプレイ「SW240」について語り合う片岡三果さん(左)と礒村浩一さん(右)。

デジタルカメラで撮影した写真は、正しい明るさと色味を再現できるように調整されたPCのディスプレイで確認する必要がある。最近はこのカラーマネージメントに対応したディスプレイも様々なモデルが発売されており、ベンキュージャパンから発売されているハードウェアキャリブレーション対応ディスプレイ「SW240」も、写真の表示に適した1台だ。

さてフォトグラファーの片岡三果さんが、SW240について何か相談があるとのこと。話を聞いてみると……

礒村浩一

女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。

片岡三果

北海道三笠市出身。街歩き写真を得意とする。東京デザイナー学院にて「カメラと仲良くなる」をテーマに写真実習の講師をつとめる。アルバム大使。2018年8月17日~23日に富士フォトギャラリー銀座で個展を開催。

理想の「はじめてディスプレイ」とは?

片岡三果(以下、片岡):礒村さん! お久しぶりです! ちょっとPCのディスプレイについて相談があるのですけど。

礒村浩一(以下、礒村):やぁ、片岡さん! 久しぶりに会うなりどうしたの?(笑)

片岡:実は私が使っているMacBook Airに繋いで使えるディスプレイを探しているんです。普段はディスプレイ一体型のiMacを使っているのですが、ノートPC用にもいいディスプレイを繋いで使いたいなと思って。

礒村:なるほど、そのノートPCはどのような場所で使うことが多いのかな。

片岡:そうですね。どちらかというと事務所での作業というよりも、自宅の部屋のテーブルとかベッドサイドなどかな。あと、私が講師をしている写真の教室もあるのですが、ノートPCだけだど生徒さんに画像を見てもらうには画面が小さいので、必要があれば教室に持ち込めるようなものがいいかなと思ってます。

今回のテーマとなるベンキューSW240。価格はオープン。実勢価格は税込5万5,000円前後。

礒村:なるほど。そういうことなら、あまり大きなディスプレイじゃない方が良さそうだね。いくつかオススメできそうなものもあるのだけど、片岡さんはなにか気になっているものはあるのかな。

片岡:ベンキュー(BenQ)というメーカーのディスプレイが価格も比較的手に入れやすそうなので気になっています。

礒村:ベンキューは台湾を拠点としたデジタル機器メーカーだね。日本での販売は数年前から始まっていて、その中でもPC用液晶ディスプレイには特に力を入れているんだ。カラーマネージメントに対応した液晶ディスプレイもラインナップしているので、そのなかから選ぶのもいいね。

礒村:そういえば、デジカメ Watchの記事でもベンキューのカラーマネージメント対応の液晶ディスプレイの記事が掲載されていたので、編集部にベンキューから製品を借りられないか相談してみるよ。

写真編集用として問題のない広色域ディスプレイ

ということで、デジカメ Watch編集部を通じて、ベンキュージャパンからカラーマネージメント対応の液晶ディスプレイSW240をお借りすることができた。ここからはこのSW240に片岡さんの使用するMacBook Airを接続して、その特徴について見ていくことにする。

礒村:さて、デジカメ Wath編集部にお願いしてベンキューの液晶ディスプレイSW240を用意してもらったよ。

礒村:実は僕も実際にこのディスプレイを試すのは初めてなので届くのが楽しみだったんだよね(笑)。さっそく片岡さんのMacBook Airを繋いでみようよ!

片岡:はいはい、いま繋ぎますね。ちょっと待ってください。私のMacBook Airには、Display Port兼用のThunderboltポートが装備されているので、これをSW240のDisplay Portと繋げばいいんですよね。

礒村:そうそう。Display Portはシンプルなケーブルを1本繋ぐだけの簡単接続だから便利だよね。SW240には他にもDVI、HDMIのポートも用意されているので、PC側のディスプレイポートに合わせて選べるよ。

片岡:PCとディスプレイの接続が簡単なのはポイント高いですよね。ケーブルを繋いだりするのは苦手なので助かります。

礒村:さあ、画面が表示されたよ。このSW240は24.1インチサイズの画面だからノートPCよりはかなり広い画面となるので、写真も大きく表示できるのがいいね。

片岡:やっぱり大きな画面はみやすくていいですね! この広さなら写真が縦位置で2枚ならべられます。写真を見比べたり組写真を構成するときなどに、写真を並べられるのはとてもいいですね。

礒村:お、いいところに気がついたね。SW240は解像度が1,920×1,200ピクセルで画面の比率が16:10となっているから、A4サイズに合わせた画像を、縦位置でちょうど2枚並べて確認できるんだよ。これって実際に作業進めていくにはとても便利なんだよね。

ハードウェアキャリブレーションにもしっかり対応

礒村:SW240は写真の色や明るさなどを正確に表示させるためのキャリブレーションにも対応している液晶ディスプレイなんだ。今回はキャリブレーションに使用するセンサーも用意してあるから、実際にキャリブレーションも試してみよう。

片岡:ディスプレイのキャリブレーションが写真をちゃんと見るためには必要な作業だということは知っていますが、すでにキャリブレーションを済ませているMacBook Airであっても、新たに繋いだSW240もさらにキャリブレーションした方がいいのかしら。

礒村:ディスプレイのキャリブレーションは、使用するディスプレイそれぞれで行う必要があるんだよ。ディスプレイは1台1台でその設定が異なっているので、そのままでは使用するディスプレイごとに色も明るさも違いが出てしまう。そんな状態のまま写真を表示させても正しい評価ができないよね。自分の使っているディスプレイではちょうどよく見えたとしても、そのデータを渡した相手が使用するディスプレイで表示させると、明るかったりくらかったり、赤が強かったり青が強かったりなどしてしまう。

礒村:キャリブレーションは、この誤差を一定の基準に合わせて補正することで正しい明るさや色で画像を表示できるようにするために必要な作業なんだね。

片岡:なるほど! 私のMacBook Airにはいつも使っているキャリブレーションのソフトが入っているから、それを使えばいいのですよね?

礒村:えっと、実は同じソフトではなくベンキューディスプレイ専用のソフトを使う必要があるんだ。ソフトはベンキューのホームページから無料でダウンロードできる「Palette Master Element」を使う。

片岡;そうなんですか。私がいつも使っているソフトとどこが違うのですか?

礒村:片岡さんが普段使っているソフトは、ソフトウェアキャリブレーションといって、PCから出力するディスプレイ信号をソフトで調整するものだね。一方、SW240ではPCからのディスプレイ信号は一定のままディスプレイに送り、ディスプレイの内部で色や明るさの補正を行うハードウェアキャリブレーションというものなんだ。

片岡:ハードウェアキャリブレーションですか。なるほど。でもソフトウエアキャリブレーションとはどちらがいいのかしら。

礒村:ソフトウェアキャリブレーションでは白色点のバランスを取るために、RGBの出力をそれぞれ下げていくことで調整するため、キャリブレーション後の画像では、わずかではあるものの階調が損なわれてしまう恐れがあるんだ。その点、PCからのRGB出力は変えることなく、ディスプレイ内のみで調整をおこなうハードウェアキャリブレーションは、常にディスプレイが持つ階調を最大限に生かすことができるんだ。そのうえSW240は10億色以上の色を映し出すことができる10-bitカラーディスプレイなので、色のグラデーションの滑らかさも期待できるよね。

片岡:そうなんですね。ということはハードウェアキャリブレーションに対応しているSW240は、より階調も豊かに表現できるということになりますね。ベンキューのディスプレイ、なかなか良さそうですね!

編集部注:キャリブレーションに使うセンサーは別売です。

ホットキーでモノクロ表示に

礒村:どうやらかなり気に入った様子だね。そういえば、片岡さんの作品にはモノクロ作品も多いよね。SW240には画面をモノクロ表示にすることができるモノクロモードも搭載されているんだよ。

片岡:私、モノクロも大好きなんですよ。モノクロ作品を創るときは撮影時にカメラをモノクロモードにすることが多いのですが、ときにはカラーで撮影した画像をRAW現像などでモノクロに仕上げることもあります。

礒村:SW240のモノクロモードは、元の画像の色を変えることなく、画面だけをモノクロに切り替えて表示するモードなんだよね。たとえばカラーの画像をモノクロに変換する前に、シミュレーションとしてモノクロ表示にすることができるんだ。

礒村:他にもAdobeRGBモードからsRGBモードへ切り替えることで、sRGBしか表示できないWebブラウザにて表示した際の見え方をシミュレーションすることができる。切り替えも専用のホットキーが用意されているので、ワンタッチで切り替えることができることができるんだ。これなかなか面白い機能だよね。

この品質で5万5,000円!初めの外付けディスプレイにぴったり

片岡:こうやってみていくと自分が求めていたものにとても近くていいなと思うようになりました。でもハードウェアキャリブレーションに対応しているディスプレイって、価格も高くなっちゃうのでは?

礒村:たしかにハードウェアキャリブレーション対応ディスプレイは、そうでないものと比べると高くなる傾向があるね。そこでさっき価格を調べてみたところ、国産のハードウェアキャリブレーション対応ディスプレイと比べると、かなりお買い得な価格だったのに驚いたんだよね(編集部注:価格はオープン。実勢価格は税込5万5,000円前後)。

礒村:もっとも国産のディスプレイはキャリブレーション用のセンサーが内蔵されていたりするけど、こうやって実際に画像を表示してみたところ、画質の点では国産に匹敵するほどの性能のようだし、表示できる色域もAdobeRGBカバー率99%と、プリント作業で色の発色を重視する人にとっても十分な性能と言えそうだね。その点からも導入時の初期コストを抑えたい人にとって、SW240はかなり魅力的なんじゃないかな。

礒村:27インチの上位モデル「SW271」と違い、遮光フードは別売なのか。ただ、国産のディスプレイも別売がほとんどだし、プロのセカンドモニターとして導入するなら別売というのも悪くないね。

ベゼルが細いのでサブディスプレイとして別のディスプレイと並べる時もスペース効率が良い。

片岡:私のようにノートPCを接続するために、ディスプレイを追加したいと考えている人にはちょうど良さそうですね。それに普段使っているiMacの大きなサイズに比べて、SW240のサイズであれば、たとえば写真教室へディスプレイを持ち込みたい場合などでも、ぎりぎり持ち運べるサイズですしね。

礒村:もうすっかり気に入ったみたいだね。そういう自分もかなり気になるディスプレイになってきたよ(笑)。ベンキューには4Kに対応したモデルもあるようだし、もう少し自分も調べてみようかな。

SW240の主な仕様

画面サイズ

24.1型ワイド

アスペクト比

16:10‎

パネル/バックライト

IPS / LED‎

解像度

WUXGA(1,920×1,200)

画素ピッチ

0.274‎mm

視野角

上下左右178度

表示色

約10億7,000万色‎

輝度‎

250cd平方m

コントラスト比

1,000:1‎

DCR(Dynamic Contrast Ratio)

2,000万:1‎

入出力端子‎

DVI-DL、HDMI1.4、Display Port1.2‎、ヘッドフォンジャック‎、‎USB3.1(down×2、up×1)、SDカードスロット‎

対応キャリブレーションツール

X-Rite i1 Display Pro / i1 Pro / i1 Pro 2、Datacolor Spyder 4/5‎‎

高さ調整

140mm‎

スウィーベル‎

45°/45‎°‎

ピボット(画面回転)

可能

外形寸法(台座を含む)‎

428〜542×532×227‎mm

本体重量‎

約6.7‎kg

制作協力:ベンキュージャパン株式会社
撮影:曽根原昇

礒村浩一

女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。近著「被写体別マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド」(玄光社)、「家電批評 一眼カメラの選び方がわかる本 2017」「家電批評 デジカメ&ビデオカメラの選び方がわかる本 2018」(晋遊舎)など。EIZO公認ColorEdge Ambassador。