カメラグランプリ2017の"オリンパス三冠"に寄せて

2017年のカメラグランプリは、OM-D E-M1 Mark IIが「大賞」および「あなたが選ぶベストカメラ賞」に、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROが「レンズ賞」にそれぞれ輝き、オリンパスが三冠を達成。その結果を報じた本誌記事も注目を集めました。

OM-D E-M1 Mark II

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

本稿では6月1日に行われるカメラグランプリ贈呈式を前に、選考委員49名のうち、本誌執筆陣から2名と、本誌編集部から2名のコメントをそれぞれ掲載します。

選考委員：礒村浩一（投票時の選考理由を引用）

・OM-D E-M1 Mark II
マイクロフォーサーズという小さなセンサーサイズでありながら高解像力、低ノイズな高感度撮影を可能とした。また高性能な電子シャッターと革新的なAFシステムを採用することで秒間18コマの追尾撮影を可能に、最大で6.5段分の手ブレ補正を搭載するなど、ミラーレスカメラというジャンルを超えた性能を有するカメラであること。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
35mm判換算24-200mm相当という高倍率ズームレンズでありながら、これまでにないほどの高画質を誇るレンズ設計となっており、また対応カメラとの組み合わせで、実にシャッタースピード6.5段分という驚異的な手ブレ補正能力を発揮できるレンズであること。

選考委員：北村智史（三冠発表後のコメント）

オリンパスのOM-D E-M1 Mark IIとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROの組み合わせは、個人的に愛用しているペアでもあるので、今回のトリプル受賞はうれしく感じている（ワタシがほめられたわけじゃないですけど）。

E-M1 Mark IIは、あとから出たソニーα9に抜かれたもののAF追従で18コマ/秒の高速連写は素晴らしいし、シャッターボタンを押す前の瞬間も記録できるプロキャプチャーモードを搭載するというアドバンテージもある。それだけでなく、見やすいファインダーやレスポンスのよさといった、カメラとしての基本性能に磨きをかけている。センサーサイズが小さい分高感度はやや弱いが、システムトータルでの軽快さは大きな魅力だと思う。

一方のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROは、高倍率ズームなのに高画質というのがまずすごいし、ボディ側と連携する5軸シンクロ手ブレ補正の効果の高さがまたすごい。この組み合わせでの“止まりっぷり”は、まじめな話、次元が違うと思っている。

本誌：鈴木誠（投票時の選考理由を引用）

・OM-D E-M1 Mark II
ルーチン的性能アップでの新機種訴求に頭打ちが感じられる中、レリーズタイムラグを擬似的に遡れる撮影モードを組み込むなど、デバイス技術のブレイクスルーで新たな撮影の可能性を広げた。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
仕様面の妥協を廃し、積極的に手に取らせる高倍率ズーム。ボディと協調する手ブレ補正、防塵防滴といったオリンパスらしさも忘れない。小フォーマットの小型システムを輝かせる総合力の1本。

本誌編集長：折本幸治（投票時の選考理由を引用）

・OM-D E-M1 Mark II
ミラーレスが苦手といわれた動体撮影の問題をクリアするため、ダブルクアッドコアCPUなど処理系に注力。連写性能をあげるだけでなく、AFを強化したりEVFの表示を工夫するなど、新世代のミラーレスカメラを体現している。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
多くの撮影者が欲しかったであろう、プロ・ハイアマチュア向けの高倍率ズームレンズ。画質を確保した上で、全域F4の扱いやすさと高倍率ズームレンズの実用性を両立。レンズ交換どころか三脚すらも省略可能な機動性は、ユーザーに新しい価値をもたらすと思う。

あなたが選ぶベストカメラ賞とは

読者によるWeb投票で決定する賞。以下に5位までの機種を掲載します。

カメラグランプリとは

写真・カメラ雑誌の担当記者の集まりであるカメラ記者クラブが主催。1年間で新発売されたスチルカメラおよび交換レンズの中から、最も優れた1機種を選考委員の投票で表彰する。1984年に「ニコンFA」の受賞で始まり、前回2016年は大賞を「ソニーα7R II」、レンズ賞を「オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO」がそれぞれ受賞している。