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ハッセルブラッド「X2D 100C」と新XCDレンズ
1億画素&ボディ内手ブレ補正 ハンズオン動画も
2022年9月8日 19:40
X2D 100Cの外観
初代のX1D 50Cから続くシンプルなスタイリングを継承。アルミ削り出しらしいエッジの立ち方がシャープで、グリップを握った剛性感とともに、スペックを語らずとも高級なアイテムであることが伝わる。ボディ単体で税込121万円と高価なカメラだが、細部を見るほどに撮影性能+αの納得感は高いと思われる。これを手にする人が羨ましい。
ボディ内手ブレ補正機構の搭載などもあり、大きさ・重さは従来モデル「X1D II 50C」よりわずかに増えているが、手持ち撮影が似合うサイズ感を維持している印象を受ける。直線的な全体のシルエットに対し、グリップ形状はエルゴノミックで、ホールド性が高い。ワンポイントのアクセントカラーとなるシャッターボタンには、表面に「H」のマークが刻印された。
カメラ上面は、従来はポップアップ式のモードダイヤルを備えていたが、X2D 100Cでは液晶モニターを搭載。左わきのMボタンを押すと、背面ダイヤルで露出モードを選択できる。また、後述するタッチパネル式モニターでも全ての設定操作が可能になっている。
背面モニターは3.6型と大きく、236万ドットのタッチパネル式。2016年のX1Dから基本デザインは継承しているが、2022年になっても、3.6型というサイズはひと目見て「大きい」と感じる。そのため、タッチパネルの操作性も良好だ。撮影情報を表示している画面では、設定したいパラメーターを直接タッチすることで、設定変更が行える。
また、背面モニターが上方向に2段階チルトするようになった。可動域はそこまで大きくないが、三脚撮影時でもライブビューの確認や、前述のタッチパネル操作がしやすくなりそうだ。
1TBという大容量の内蔵メモリー(SSD)が搭載されているのもトピック。読み書きも高速だそうだ。それを補うような形でCFexpress Type Bのスロットも用意されている。ちなみにX1D II 50Cのスロット構成はSD×2だった。
1億画素のセンサーを搭載し、かつ手持ちでスローシャッター表現もできるように、と新規に搭載されたのがボディ手ブレ補正機構。既に世にある補正ユニットより小型であるとアピールされている。55mmのレンズを装着した状態でシャッターボタンを半押しし、構えたカメラを小さく揺らしてみたところ、いわゆる“張りつき感”のある補正効果を体験できた。
位相差AFによるフォーカシングやタッチパネルの良好なレスポンス、ハッセルブラッドが“スカンジナビアデザイン”と呼ぶ洗練されたスタイリングに加え、ボディ内手ブレ補正による安心感が、この“1億画素”という超絶スペックを気軽に連れ出したいと思わせる。それこそが、このX2D 100Cというカメラの最大の魅力かもしれない。
タッチ主体のUIを紹介
X2D 100Cは3.6型と大きな背面モニターを備えており、タッチでの操作性も良好。まさしく“スマートフォン感覚”と呼んでいい動作レスポンスだと感じた。室内で触ってみた限りでは、物理ボタンが少なく(十字キーすらない)タッチ主体の操作も苦にならなかった。
先の情報表示画面をスワイプすると……メニュー画面が現れる。スマートフォンのホーム画面を切り替えるような感覚だ。
ひとつ、とても興味深かったのが、「ディスプレイ」の中にある「EVFディオプター」という項目だ。X2D 100CのEVFは視度調節機構を備えるが、物理的なツマミなどが表に出ておらず、電動で接眼レンズが動いて視度調節を行う。背面のホイールを回すと、メカニカルサウンドを響かせながらカメラ内で機構が動く。
自動車のパワーシートのようなものだろうか。なんだか、眼科の視力測定で気球の絵を見ている時のような感覚で楽しい。防塵防滴性のためにツマミを付けたくなかったのか、ラグジュアリーアイテム的な遊び心なのか、実際の所はわからないが、とにかく「ハイテク!カッコいい!」と思ってしまった。
クラシカルなデザインの新しいXCDレンズ
X2D 100Cにあわせて、Xシリーズ用XCDレンズも新規に3本が登場した。いずれも製品名に“V”がつき、ハッセルブラッドVマークをあしらうなど、ヘリテージを感じさせる仕立てになっている。
これまでのXCDレンズがフォーカスリングのみのクリーンな見た目だったのに対し、昔ながらの交換レンズのような顔つきを持っているのが印象的。最大の特徴が、AF/MFをダイレクトに切り替えられる“プッシュ&プル”機能を持つフォーカスリングだ。
フォーカスリングとフォーカスレンズはメカニカルな連動ではないが、距離環を回転させると、それに連動した撮影距離にフォーカシングされる。被写界深度目盛りも刻まれており、ベテランも納得の仕上がりだろう。