オールドデジカメの凱旋
ソニー サイバーショットDSC-U10
モニターが1.0型 たまらなく可愛らしい極小デジカメ
2017年12月26日 07:00
前回「ニコンCOOLPIX 950」を発見した秋葉原で、またまた懐かしいコンパクトデジタルカメラを衝動買い。……いや、前回のCOOLPIX 950は1,000円と、定食屋の昼食メニュー並の価格だったから衝動買いと言えた。でも、今回のブツは2,500円と、リーズナブルな店の「特上うな重」並の価格(←微妙なたとえ)だったので、ちょっと考えた。まあ、最近はほとんど見ることのない懐かしいタイプのコンパクトデジタルカメラだから、買ってもイイかな~、と。
そのカメラの名は「ソニー サイバーショットDSC-U10」。2002年7月に発売された、気軽に持ち歩ける小型軽量さがウリの、単焦点レンズを搭載する“有効130万画素”のカメラである。ちなみに、自分が初めて買ったデジタルカメラは200万画素機の「キヤノン PowerShot S10」だった(発売は1999年10月で、購入は2003年3月)。ということで、デジカメ歴18年目にして、所有カメラのイメージセンサー最少画素数を更新。意味はないが、感慨深い。
2000年代初頭、ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」シリーズでは、独特なフォルムのPシリーズやFシリーズが人気を集めていた。そして、比較的コンパクトだったPシリーズよりも、さらにコンパクトさを追求したのがUシリーズである。今回のサイバーショットDSC-U10は、そのシリーズ初代モデルになる。本体サイズは84.5×39.8×28.6mm(幅×高さ×奥行き)、本体重量は87g。その容積は、光学3倍ズームレンズを搭載する「DSC-P2」の約半分しかない。レンズブロックやICなどを新規に開発し、高密度実装技術によって、その小さくて可愛らしいボディを実現したという。
有効130万画素のセンサーは、1/2.7型プログレッシブ Super HAD CCD。レンズは33mm相当の単焦点で、最短10cmまでのAF撮影が可能。また、被写体までの距離を設定するフォーカスプリセット機能も搭載していた。
シーンセレクションとして「ビビットネイチャー」「ソフトスナップ」「イルミネーションスナップ」の3モードを搭載し、「5枚連写」や「MPEGムービー」(160×112ドットで最大15秒記録。音声はナシ)機能もあった。
ただし多くのデジタルカメラに備わっている露出補正やホワイトバランスの設定機能は搭載されていない。まあ、このあたりの割り切り具合も“お手軽コンパクトデジタルカメラ”らしい部分かも。
この機種が発売された2002年頃は、デジタルカメラの発展期と言える時期だった。600万画素のデジタル一眼レフカメラ「キヤノンEOS D60」や「ニコンD100」などの登場によって、デジタルカメラは“実用記録ツール”から“創作活動の道具”として認知されるようになる。
各社から様々なタイプの製品も発売されていて、DSC-U10のような携帯性を意識したタイプだけを見ても、カシオのエクシリム初号機となるカードサイズデジカメ「エクシリムEX-S1」を筆頭に、斬新かつ個性的なモデルが結構あった。重さ70gの122万画素機「コニカ レビオ C2」とかもあったよなぁ。
DSC-U10のウリのひとつには、スライド式のカバーを開くと約1秒で高速起動……というのもあった。だが実際に操作してみると、起動画面が消えた直後(この間が約1秒)に「アクセス中」の表示が出て数秒間何もできない。で、4秒くらい経ってようやくシャッターが切れた。33mm相当の広角単焦点レンズは、フォーカスモードの切り換えナシで無限遠から0.1mまでピントが合うフルレンジオートフォーカス。このあたりは、固定焦点のエクシリムEX-S1やコニカ レビオC2とは異なる高機能な部分である。ただし、レンズの位置がかなり下なので、左手を添える際に指が写り込んでしまう危険性が高い(事実、何度も失敗した)。ということで、左手を添える際には“人差し指と親指で上下をつまむ”スタイルがイイかもね。
このDSC-U10、ボディも小さいが液晶モニターも小さい。1.0型のモニターって何よ? ハハ、ハハハハ~(乾笑)。もう笑うしかないレベルの小ささである。老眼が進行している自分だと、何とかメニュー表示は読めても、撮影画面上の画像サイズの判別は無理。もちろん、絵柄の細かい部分も見えない。でもまあ、元々この約6.5万ドット(293×220)のモニターだと、細かい部分の表示はキビシイか。
記録媒体は"メモリースティック"(←このように「""」で囲むのが正式な表記だったはず)。……なんだけど、今回購入したDSC-U10に付属していたのは、メモリースティックDuoアダプターと128MBのメモリースティックDuoであった。しかし、久しぶりに使ったなぁ、記録容量の単位が「MB」(メガバイト)のカード。
もし、現在のコンパクトデジタルカメラ(ここでは現在自分が常用している18メガ機のサイバーショットDSC-WX500を想定)に128MBのカードを挿入したら、10数枚くらいしか撮影できないはず。実際に、DSC-WX500にこのカードを挿入してみました(ソニーのカメラなら、現行機種でもSDに加えてメモリースティックDuoが使えるのよね)。あ~、設定が18メガ・ファインだと14枚で、18メガ・スタンダードだと20枚ですか。ところが、1.3メガ機のDSC-U10なら、なんと375枚ですよ! 小容量メディアで撮りまくり状態。
DSC-U10、128MBメモリースティックDuo+アダプター、ネックストラップ(専用品)。以上が今回ゲットした商品である。これに“単4形ニッケル水素充電池×2本”を加えて、撮影に出かけてみた。装着したネックストラップを首に掛けて、DSC-U10本体をシャツのポケットに入れてみる。
この携行スタイルは、これまでも多くのコンパクトデジカメ(小型軽量タイプ)でおこなってきた。しかし、収納自体は問題なくても、結構重みを感じたり、かさ張る感じが気になったりすることが多い。まあ、上着のポケットとは勝手が違うからね。だけど、高さが極端に抑えられたDSC-U10の場合は、ゴロゴロ感はあるけど、重みやかさ張り感はあまり感じなかった。
前述のとおり、このカメラには露出補正やホワイトバランス設定の機能は搭載されていない。だから撮影の際に意識するのは、フレーミング、フラッシュ発光の有無(コントロールボタンを上側に操作して設定)、ピント合わせ(AF合焦の確認)、くらいである。ただし、1.0型モニターの表示サイズ&画質が今となっては頼りないので、構図に関してはアバウトでOK!(OKなのか?)
そのほか一般撮影で多用する機能と言えば、セルフタイマーやエフェクトあたりになるだろうか。これらの設定は、他の機能や設定と同様、MENUボタン+コントロールボタン+EXECボタンの3つでおこなう。直感的な十字ボタンとは違い、ちょっとクセのある操作方法になるが、しばらく使っていたら慣れてきた。
約130万画素のこのカメラ、記録サイズは「1,280×960ピクセル」になる。だから、DSC-U10で撮影した画像を自宅のPCモニター(24型・1,920×1,200)で見ると、100%表示でも画面いっぱいに表示されない。こういった部分にも新鮮さを感じてしまう。まあ、そのぶん細部の描写は期待できないけど……。ただし、液晶モニターの頼りなさで撮影中に不安を感じていた画像の明るさや色再現は、予想以上に良好であった。
次に、その撮影画像をLサイズにプリントしてみた。すると、PCモニターの表示以上に好印象な結果が得られた。一般的に、Lサイズプリントでは「200万画素あれば十分」と言われている。しかし、少し画像サイズ(画素数)が足りなくても“メガピクセル(100万画素超)”のデジタルカメラであれば、意外なほどのプリント品質を得られるようだ。
手の平サイズで携帯性や速写性に優れたサイバーショットUシリーズは、今回ゲット&紹介した「DSC-U10」からスタートした。今回、実際に携帯しながら撮影することで、その快適性や実用性と同時に“独特なサイズ感”の魅力が実感できた。
もちろん仕様や機能に注目すれば、もっとスゴくて優秀なコンパクトデジカメは当時にも数多くあった。そう、DSC-U10が発売された当時のカメラを見てもね(割と小型軽量なボディに、500万画素センサーや光学3倍ズームレンズを搭載する、とか)。
だが、デジタルカメラの「発展期」と言える2002年の当時、このサイバーショットUシリーズでは、“常時携帯して日常をメモする”という明確なコンセプトを打ち出してきた。まあ、センサーやレンズの仕様や新機能を訴求するモデルほどは注目されなかったけどね(このUシリーズは、約3年間で6機種を発売して終了)。だけど、高度な仕様や機能が当たり前になった現在では、サイズや機能を削ぎ落とした「サイバーショットDSC-U10」のようなモデルの存在が、ひときわ魅力的に感じられたのであった。