【新製品レビュー】ニコンCOOLPIX S8200

〜手堅い機能と操作性の14倍ズームモデル
Reported by 本誌:折本幸治

 COOLPIX S8200は、COOLPIX S(Style)シリーズのうち、上位2番目の上級機だ。前モデルCOOLPIX S8100との一番の違いは、光学ズーム倍率が10倍から14倍に伸びたこと。有効画素数も1,210万から1,610万へと増えている。

 発売は9月17日。実勢価格は3万3,900円前後。本体色はノーブルブラック、プラチナシルバー、ブリリアントレッド、ナチュラルホワイト。


コンパクトなボディに14倍ズームレンズを搭載

 高倍率ズームレンズを搭載する割に、ボディは比較的コンパクトにまとまっている。男性的なルックスだが、本体サイズが小振りなためか、18倍ズームレンズ採用の上位モデル、COOLPIX S9100のような威圧感は幾分薄い。

 前面の外装はさらりとした表面仕上げの金属。シャッターボタンやモードダイヤルの質感も良く、低価格帯のコンパクトデジカメとは違う存在感を漂わせている。

 メニュー操作はロータリーマルチセレクターがメイン。全体的にボタン類は小さいものの、ホイールの回転操作をはじめ各操作はやりやすく、メニューの反応も悪くない。

 撮像素子は1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー。レンズは焦点距離25-350mm相当(35mm判換算)、開放F値F3.3-5.9の光学14倍ズーム。相変わらずレンズシフト式手ブレ補正機構が良く効く。

 液晶モニターは3型約92万ドット。高精細で日中でも見づらくて撮影できないようなことはなかった。ただし、これは本機に限ったことではないが、3型92万ドットの液晶モニターは、あと少し明るければベターだと感じることが多い。バッテリーに余裕があるなら、手動で明るさを上げた方が使いやすいと思う。

 記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードに対応。内蔵メモリーは約89MB。満充電からの撮影可能枚数は約250枚となっており、いずれも平均的なスペックだ。

 動画はH.264形式で1,920×1,080ピクセルのフルHD記録に対応。もちろん、最近のコンパクトデジカメのトレンドに習い、独立した動画撮影ボタンも備える。音声はステレオ。動画には後述するスペシャルエフェクトも適用でき、さらに従来機と同じくスローモーション動画を記録可能だ。望遠に強いこともあり、旅行先などで充実した動画機能はとても心強い。

メインの操作ボタン類。動画ボタンが存在を主張レンズは25-350mm相当(35mm判換算)の光学14倍ズーム
広角端望遠端
記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードを使用。バッテリーはUSB充電に対応するモードダイヤルを装備。基本的にオート、たまにスペシャルエフェクトという撮り方だと、モードダイヤルがあった方が便利だ
上がUSB充電のコネクタ。AV出力を兼ねていることもあり、特殊な形状なのが残念。下はHDMI端子

 レスポンスの良さも本機の美点だ。高倍率機にしては起動が比較的速く、AFもスムーズ。メニューの操作性も良く、操作関連でストレスを覚えることはなかった。またCMOSセンサーらしく、フル解像度で約6コマ/秒の連写が可能。レスポンス面での不満はない。

 COOPIX S9100と同様、USB充電に対応するのもポイント。付属ケーブルでないと使用できないのは残念だが、パソコンを持参するなら、バッテリーチャージャーを持ち歩く必要がないのは気が楽だ。


アート系フィルターの「スペシャルエフェクト」

 新機能の目玉となるのは「スペシャルエフェクト」だろう。撮影しながら効果を確認できるエフェクトで、いわゆるアート系フィルター機能になる。

 用意されているスペシャルエフェクトは、「ソフト」「ノスタルジックセピア」「硬調モノクローム」「ハイキー」「ローキー」「セレクトカラー」。周辺光量を落とすトイカメラ系や、クロスプロセス系のエフェクトがないのはさみしく、若干おとなしめのエフェクトで固められている印象だ。

スペシャルエフェクト:ソフトスペシャルエフェクト:セピア
スペシャルエフェクト:硬調モノクローム
スペシャルエフェクト:ハイキースペシャルエフェクト:ローキー
セレクトカラー赤系の色のみ抽出したところ

 その代わり再生時には、「ミニチュア効果」や「魚眼効果」など、ダイナミックな変化のフィルター効果を利用できる。こちらは従来機から存在していた。

 そのほか、クリエイティブスライダー、HDR、D-ライティングなど、COOLPIX S9100と同様の機能を搭載。こちらでレビューしているので、参照いただきたい。

 画質面で強調したいのは、高感度でのノイズの少なさだ。もちろん、センサーサイズの大きな機種には敵わないのもの、このクラスとしてはかなり頑張っている方だろう。COOLPIXでは以前より、高感度画質に注力した「夜撮りキレイテクノロジー」を標榜しており、その成果が代を重ねるごとに強化されているようだ。


まとめ

 10倍超ズームレンズを搭載する高倍率コンパクト機としてはまとまりが良く、これといって不足を覚えない手堅いモデルだ。若干、表面が滑りやすいのが気になったが、素早い起動やズーム倍率の高さのおかげで、旅先で気になるものをどんどん撮るような使い方に向いている。

 飛び道具的な目新しさはないものの、本体サイズとズーム倍率の関係にこだわるなら、有力な候補になり得るだろう。モードダイヤルもあるので、シーンモードやスペシャルエフェクトを選びやすいのもポイント。実勢価格も3万円前半と安く、これからのお出かけシーズンに合わせて、ぜひ検討してみて欲しい機種だ。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角

広角端 / COOLPIX S8200 / 5.3MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F3.3 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm望遠端 / COOLPIX S8200 / 5.9MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F5.9 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 63mm

・感度
ISO100 / COOLPIX S8200 / 5.3MB / 4,608×3,456 / 1/100秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mmISO200 / COOLPIX S8200 / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/200秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mm
ISO400 / COOLPIX S8200 / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/400秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mmISO800 / COOLPIX S8200 / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mm
ISO1600 / COOLPIX S8200 / 5.3MB / 4,608×3,456 / 1/1,600秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mmISO3200 / COOLPIX S8200 / 5.3MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F8 / 0.0EV / WB:オート / 8.7mm

(撮影:酒井梨恵)


・スペシャルエフェクト
スペシャルエフェクト:ソフト / COOLPIX S8200 / 5.4MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 16mmスペシャルエフェクト:セピア / COOLPIX S8200 / 3.7MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F3.3 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm
スペシャルエフェクト:硬調モノクローム / COOLPIX S8200 / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/160秒 / F3.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 6.3mmスペシャルエフェクト:ローキー / COOLPIX S8200 / 4.8MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F6.6 / +1.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm

シーンモード
シーンモード:料理(暖色系に調整) / COOLPIX S8200 / 5.4MB / 4,608×3,456 / 1/13秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO400 / WB:オート / 7.8mmシーンモード:夕日 / COOLPIX S8200 / 4.8MB / 4,608×3,456 / 1/15秒 / F3.6 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / 5.6mm




本誌:折本幸治

2011/10/11 00:00