新製品レビュー
Insta360 Flow 2 Pro
別付けの「AIトラッカー」でトラッキング力UP 広い可動域も特徴のスマホジンバル
2025年4月9日 07:00
最近はスマートフォンで動画撮影やライブ配信をする人が増えており、それに伴いスマホ用電動ジンバルの機能も多様化している。
今回試用した「Insta360 Flow 2 Pro」(以下Flow 2 Pro)と専用アクセサリー「AIトラッカー」は、スマートフォンを使った映像制作やコンテンツ作成を次のレベルへ引き上げる注目のツールだ。
かつてInsta360は360°カメラなどのVRカメラを主流とするブランドだったが、近年ではアクションカメラや電動ジンバルなどの分野でも魅力的な製品を開発している。
前モデルの「Insta360 Flow」が登場してから2年が経過したが、形状や基本機能は大きく変わっていない。では、新モデルはどのようなことができ、どこが進化したのか見ていこう。
コンパクトになる折りたたみ式の筐体
Flow 2 Proは、コンパクトなボディに3軸手ブレ補正、内蔵自撮り棒、ミニ三脚、モバイルバッテリーを搭載したオールインワンジンバルだ。Flowと同じ折りたたみ機構を採用する。
スマートフォンを磁気クランプで装着し、アームを広げるだけで自動的に電源が入り、すぐに手ブレ補正機能を使用できる。
大きく変わったのは、スマートフォンとのペアリング方法。本体上部にNFCタグが内蔵されており、接続したいスマートフォンをかざすだけで簡単にペアリングできる。
コントロール部は中央に集中しており、モード切替や撮影開始/停止、ジョイスティックでの手動回転などの機能を手元で操作できる。
ジンバルの動作モードは、一般的な4つのモード「F/PF/FPV/L」に加え、AUTOモードも選択可能。デフォルトのAUTOに設定すれば、電動ジンバルを使ったことがない人でもスムーズな映像を撮影できる。
また、コントロール部外側のリング部分はズームホイールになっており、左右に回転させることでスムーズなズーム操作が可能だ。
より使いやすくなった自撮り周りの機能
インカメラで自撮りをすると、若干画角が狭く感じることがあるが、角度調節可能な自撮り棒を使えば楽な姿勢で撮影できる。
さらに、アウトカメラを使ってより高画質な自撮りをしたい場合は、ジンバルに搭載されたミラーを使うことで簡単に画角チェックが可能だ。
Apple DockKitに対応しており、iOS 18以降のiPhoneであれば、純正カメラアプリやFaceTimeのほか、200以上のサードパーティー製アプリでもトラッキング機能が利用できる。
ビデオ通話やライブ配信、オンライン会議など、日常的な用途でも被写体の自動追従が可能だ。
専用アプリでトラッキングが強化
専用アプリの進化したAIトラッキング機能「ディープトラック4.0」を使えば、人物だけでなく動物やオブジェクトまで正確に捉えられ、被写体の追跡精度が大幅に向上する。
また、複数の被写体を同時に追跡する「複数人トラッキング」も搭載されており、家族の集まりやグループでのダンスパフォーマンスなど、複数人が登場するシーンでも全員をフレーム内に収められる。
さらに、「プロフレーミンググリッド」を使えば、被写体をフレーム内のどこに配置するかを簡単に設定できる。一人でのレポート撮影でも、まるでカメラマンがいるかのようなカメラワークが可能だ。
iPhone 12以降のPro/Pro Maxモデルであれば、新機能「アクティブズームトラッキング」も利用できる。
移動する被写体を画面に捉えながら最大15倍までズームインできるため、子どもやペットなど、動き回る被写体の撮影に最適だ。
広い回転&チルトの可動域
コンパクトな同価格帯の製品の多くは、回転可動域が狭いのが欠点だ。しかし、本製品は三脚に固定し、カメラの周りをぐるっと歩いてもスムーズに追従するように、折りたたみ式ながらもパン軸が360°回転できる。
さらに、新しく搭載された「フリーティルトモード」により、折りたたみ式の最大の弱点であるチルト軸の可動範囲の狭さを解決。
これによりチルト軸の自由度が増し、クレーンショットやドリーショットのようなプロフェッショナルなカメラワークも可能になる。
Androidスマホでも使える「AIトラッカー」
Flow 2 ProはApple DockKit対応でiPhoneとの親和性が高いが、古いiPhoneやAndroidでもアクセサリー「AIトラッカー」を使用すれば、さまざまなアプリでトラッキング機能を利用できる。
USB Type-Cでジンバルのロール軸に装着可能で、表裏どちらの向きでも使用できる。さらに、ジェスチャー操作でトラッキング機能のオン/オフを切り替えられる。
今回はXREAL Beam Proを装着し、空間ビデオでトラッキング機能を試した。3D映像とジンバルの相性は抜群だ。
AIトラッカーにはLEDライトも内蔵されており、3段階の明るさと3つの色温度設定が可能。夜間や低照度環境でもトラッキング精度が維持され、高品質な映像を撮影できる。
まとめ
今回は、もうひとつのアクセサリー「MagSafe対応ホルダー」も試した。標準ホルダーよりも取り付けが簡単で邪魔にならず、対応スマホを持っている人には特におすすめだ。
Apple DockKit対応により、特にiPhoneとの相性は抜群で、AIトラッカーなしでもさまざまなアプリで被写体の自動追従が可能だ。
Insta360 Flow 2 Proは、電動ジンバルとしての基本機能に加え、360°パントラッキングやフリーティルトモードなどのハードウェア面でも優れたコンパクト電動ジンバルである。
さらに、ディープトラック4.0/アクティブズームトラッキング/プロフレーミンググリッドといったソフトウェア機能も充実しており、初心者でも高度な映像表現が簡単にできるのが大きな強みだ。
動画クリエイター、ライブ配信者、日常使いのユーザーまで、幅広いニーズに応えてくれるオールマイティーな電動ジンバルと言える。