新製品レビュー
DJI Osmo Mobile 7/7P
別付けの「多機能モジュール」で機能アップ 汎用アプリでトラッキングが可能に
2025年3月23日 09:00
DJI Osmo Mobile 7/7Pは、名前からも分かる通りスマートフォン用ジンバル「Osmo Mobileシリーズ」の7代目となる製品だ。
本記事では、上位モデルとなるOsmo Mobile 7Pの特徴を中心に、その魅力と使い勝手を紹介する。
今回のモデルは、手軽な「7」と高機能な「7P」の2種類がラインナップされている。どちらもアームを折り畳んでコンパクトに持ち歩ける設計で、サイズは折り畳み時/展開時ともに両モデルともほぼ同じ。バッテリー容量も共通で3,350mAhのバッテリーを搭載し、最大駆動時間は約10時間。USB Type-Cポートから充電して使用する。
ワンステップで展開し、即座に起動。電動ジンバルの性能は両モデルともActiveTrack 7.0に対応しており同等だ。また、両モデルとも本体下部にはミニ三脚を内蔵している。
基本操作
まず、スマートフォンをマグネットホルダーにセットする。左右のバランスが取れていないとジンバルへの負担が大きくなるため、固定位置には注意が必要だ。ホルダーをマグネットでジンバル本体にピタッと装着し、アームを手動で展開すると電源がオンになり、ポートレートモード(縦位置)で起動する。もちろんランドスケープモード(横位置)への切り替えも可能だ。
操作ボタンは手元に集約されており、モード変更や録画の開始/停止、ズーム操作などを本体で行える。選択中のモードはステータスパネルにアイコンで表示されるので、非常にわかりやすい。
7と7Pで違ってくるのがズーム操作部だ。7は簡易的なスライダーを採用しているのに対し、7Pではより繊細な操作が可能なホイール式になっている。
3軸電動ジンバルの動作モードは、パンフォロー/パン・チルトフォロー/FPV/インセプション/ロックの5種類。170~300gのスマートフォンに対応し、安定した撮影が可能だ。ただし、水平方向の360度回転には対応していない点は残念なところ……。
歩きながらの撮影で一番良く使うのがパンフォローモードであろう。低山ハイクで試したところ、足場の悪い場所でも手ブレが大幅に軽減されているのは一目瞭然だった。特に意識せずに持って歩いていたので上下動は多少気になるものの、岩場でも水平をしっかり維持してくれるため映像は非常にスムーズだった。
そして7Pには延長ロッドが内蔵されている。自撮り時に適度な距離を確保しやすいだけでなく、ローアングル/ハイアングル撮影も容易に行える。
両モデルとも本体下部にミニ三脚を内蔵しており、地面やテーブルに直接固定して撮影が可能だ。また底面には三脚ネジも付いているため、市販のカメラ三脚にも安定して固定できる。専用アプリを使ったタイムラプスやパノラマ撮影時にも有効だ。
多機能モジュール
7Pに標準装備されている「多機能モジュール」は本モデル最大の革新点であり、スマートフォン用ジンバルとしての機能を大幅に拡張する。7には付属していないが、アクセサリーとして6,600円で別途購入可能だ。
モジュールには、トラッキングカメラ/LEDフィルライト/DJI Mic Mini専用ワイヤレスレシーバーが搭載されている。
専用アプリ不要のインテリジェントトラッキング
従来モデルまでは、被写体の自動追従を行うにはスマートフォンの専用アプリ「DJI Mimo」が必要だった。しかし7Pでは、アプリを介さずにハードウェア処理が可能となり、標準カメラアプリやTikTok、Instagram、YouTubeなどのサードパーティアプリでもトラッキング機能が使用できる。
操作も簡単で、手のひらをモジュールのカメラに向けるとトラッキング開始、「Vサイン」で録画開始/停止が可能だ。ただし、トラッキング対象は人物のみであり、ジンバルが水平360度回転に対応していないため、被写体が背後に回ると追従が途切れてしまう。人物以外を追従したい場合は、専用アプリ「DJI Mimo」のソフトウェア機能を使用する必要がある。
LEDフィルライト
モジュール前面に配置されたLEDライトは、色温度を2500K(暖色系)~6000K(寒色系)の4段階、輝度も4レベルで調整可能。最大輝度にすると十分な明るさが得られる。さらに7Pでは側面ホイールでの操作も可能。長押しで点灯し、ホイールの回転で輝度/色温度をそれぞれ細かく8段階で調整できた。
モジュールはマグネット装着なので、前面/背面どちらにも向けられる。暗所で進行方向を照らしたり、自撮りやVlog撮影にも威力を発揮するだろう。ただし指向性が強い印象なので、広範囲を均一に照らすにはやや不向きな印象だった。
またモジュール自体にはバッテリーが内蔵されていないため、ジンバル本体から外すとLEDは点灯しない。
DJI Mic Miniとの連携
モジュール内蔵のレシーバーが、別売りとなる「DJI Mic Mini」送信機の2.4GHzワイヤレス信号を受信し、スマートフォンに直接音声を転送できる。スマートフォン内蔵マイクに比べ、クリアな音声が録音できるだけでなく、Mic Miniの風切り音低減機能も非常に有効だ。
まとめ
今回、上位モデルの7Pを中心に試用したが、Osmo Mobileシリーズはジンバルの安定感が非常に高く使いやすい。カジュアルユーザー向けの7でも、手ブレを抑えた安定した撮影が可能だ。ミニ三脚が内蔵されたのも嬉しいバージョンアップだ。
本シリーズの最大の魅力は多機能モジュール搭載による機能拡張性であろう。本格的な撮影を求めるクリエイターには7Pをオススメしたい。
ただ、コンパクトな折り畳み式なのでチルト方向の回転自由度が低いのは仕方ないとして、水平方向の360度回転に非対応なのはちょっと残念だ。
それとマグネットマウントについて。普通のクランプ式マウントで不便を感じることもほとんどないので、個人的にはこのマグネットマウントの利便性がイマイチ伝わってこない……。MagSafe対応マウントもオプションとして用意されているのだが、目玉となっている多機能モジュールが使えなくなってしまう。多機能モジュール対応のMagSafeマウントを出してくれれば使い勝手もより向上しそうだ。
カジュアルに手ブレを抑えたいならOsmo Mobile 7、コンパクトに持ち歩きたいスマホ映像クリエイターにはOsmo Mobile 7Pという選択になるだろう。