デジカメ動画Watch

DJI Osmo Mobile 8

360°を見渡す動画が撮影可能に 多機能モジュールでペットの追従も

DJIのスマートフォン用ジンバル「Osmo Mobileシリーズ」。今年の春に7代目となる「Osmo Mobile 7/7P」が登場したばかりだが、さらに進化した「Osmo Mobile 8」がリリースされた。

従来機種との違いを中心に、その特徴と使い勝手を紹介する。

基本性能

モデルバージョンが7から8に進化したわけだが、基本性能はほぼ同じでマイナーアップデートといった印象だ。

アームを折りたたんでコンパクトに持ち歩ける設計が特徴で、サイズは折りたたみ時/展開時ともに7Pと同じ。バッテリー容量も3,350mAhと変更なく、約10時間の最大駆動時間や約2.5時間の充電時間も変わらない。

対応スマートフォンサイズやペイロードも変更なし。延長ロッドもミニ三脚も、引き続き同じデザインが採用されている。

大きく変わったのが「Apple DockKit」に対応したことだ。

本体に搭載されたNFCで簡単に接続でき、専用アプリや多機能モジュールなしでも人物をトラッキングできるようになった。こちらは後ほど詳しく解説する。

まずはスマートフォンをマグネットホルダーにセット。この際に左右のバランスが取れていないとジンバルへの負担が大きくなるため、固定位置には注意が必要だ。

スマートフォンのモデルによってはカメラ位置の関係でバランスが取れない場合があるが、そのような場合にはロール軸にカウンターウェイトを取り付けて左右バランスの調整が可能だ。

ホルダーをマグネットでジンバル本体に装着し、アームを手動で展開すると電源がオンになり、ジンバル機能が使えるようになる。

【DJI Osmo Mobile 8:セットアップ】

操作ボタン類のデザインも変更なく、すべて手元に集約されているので、モード変更や録画の開始/停止、ズーム操作などを本体で行える。

3軸電動ジンバルの動作モードは、パンフォロー/パン・チルトフォロー/FPV/インセプション/ロックの5種類。170〜300gのスマートフォンに対応し、安定した撮影が可能だ。

7Pのレビュー時と同じ低山ハイクで試してみた。

【DJI Osmo Mobile 8:歩きブレを検証】

内蔵延長ロッドも7P同様に搭載しており、自撮りやローアングル撮影が楽に行える。

【DJI Osmo Mobile 8:延長ロッドでセルフィー】

本体下部にはミニ三脚を内蔵しており、地面やテーブルに直接固定して撮影が可能だ。

また底面には三脚ネジも付いているため、市販のカメラ三脚にも安定して固定できる。

3種類のトラッキング機能

次にトラッキング機能(被写体追従)について。

多機能モジュールのAIカメラによるトラッキングは、従来モデルでは人物のみが対象だったが、本モデルでは犬と猫に限り動物も認識して追従するようになった。ペットの動画を撮影する方には朗報だ。

多機能モジュールでのトラッキングは標準カメラアプリだけでなく、他のカメラやライブ配信などすべてのアプリに対応している(標準カメラアプリの使用を推奨)。

多機能モジュールを接続していない状態では、先述した「Apple DockKit」を使ってiPhoneのカメラで人物をトラッキングできる。この場合もほぼすべてのアプリに対応しており、オンライン会議、ライブ配信、動画制作などに利用できる。

対応機種はiPhone 12以降、iOS 18.5以上。DockKitのトラッキングを使用する際は、多機能モジュールを取り外してDJI Mimo以外のアプリを使用する必要がある。

さらに高度なトラッキングを使用するには、専用アプリ「DJI Mimo」の画面上でトラッキングする対象をドラッグして設定する。画像処理で被写体を認識するため、人物や犬猫だけでなく、車や鳥など移動する対象を追従したり、オブジェを画角の中心に捉えつつ周囲から撮影するような場合にも便利だ。

【DJI Osmo Mobile 8:トラッキング】

その他の機能

2つ目の大きな変更点が、水平無制限回転に対応したことだ。

従来モデルではパン軸(水平方向)が−109〜222°の間でしか回転できなかったが、8では360°無制限に回転できる。

トラッキングをオンにすれば、カメラの周りをぐるぐる回ってもずっと追従する。

【DJI Osmo Mobile 8:360°での回転が可能に】

パノラマ撮影機能は「3×3」「240°」「分身」の3種類。録画ボタンを押すと、ジンバルが自動で回転しながら写真を撮影し、スティッチ処理して1枚のパノラマ写真として保存してくれる。

パノラマ撮影(3×3)
パノラマ撮影(240°)
パノラマ撮影(分身)

多機能モジュールには、先述したトラッキングカメラのほかにLEDフィルライトとDJI Micワイヤレスレシーバーが搭載されている。
スマートフォンとUSBケーブルで接続することで、DJI Micの音声を収録できる。ワイヤレスレシーバーはDJI Mic miniのほかにDJI Mic 2/3にも対応した。

多機能モジュールに搭載されたLEDライトは、色温度を2,500K(暖色系)〜6,000K(寒色系)の4段階、輝度も4レベルで調整可能。

操作はモジュールのボタン以外に、ジンバル本体のサイドホイールでも行える。長押しで点灯し、ホイールの回転で輝度/色温度をそれぞれ調整できる。

サイドホイールはズーミング/マニュアルフォーカスとしても使える。ズーム速度は設定で調整可能だ。

まとめ

Osmo Mobile 7Pから大きく進化したのが、「Apple DockKit対応」と「360°パン」、そして多機能モジュールでのペット(犬と猫)のトラッキングだろう。特に、唯一不満に感じていたパン軸の回転角度限界がなくなったのは、うれしい進化だ。

アクセサリーとして用意されている「MagSafe対応マウント」を使用すると多機能モジュールが使えなくなってしまうが、DockKitでトラッキングが使えるようになったので、以前より不便さも感じなくなった。

ちょっとした進化に感じるかもしれないが、この機能を待ち望んでいたユーザーも多いのではないだろうか。

わかりやすいチュートリアルやワンタッチ編集機能もあり、ライトユーザーでも面白い映像作品が作れそうだ。

わっき

デジタル・コンテンツ・デザイナー/パノラマ写真家。1999年にフリーランスとして独立。テレビ/映画/ゲームなど幅広い分野の映像制作を手がけ、現在はYouTuber、動画レポーターとしても活動中。