ミニレポート

写真に“あとから”ボケ効果を付加。Luminar AIの「ポートレートボケAI」を試す

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画像編集ソフト「Luminar AI」の最新版が7月27日に公開された。同ソフトのメジャーアップデートはこれで4回目。「Luminar AI アップデート 4」の名称で公開中だ。今回は、アップデートで追加さた新機能「ポートレートボケAI」を簡単ながら試してみた。

Luminar AIは、SkylumのPC用画像編集ソフトで、簡単な操作によって効果的なレタッチ効果が得られるのが特徴となっている。同ソフトはかねてAI技術によるレタッチを謳っており、従来だと複数のレイヤーが必要な処理を数クリック程度で行えるようにしている。

Luminarシリーズの目玉機能といえば、空の画像を入れ替える「AIスカイ・リプレースメント」があるが、その辺りについては前バージョンとなる「Luminar 4」のレポートを参照されたい。

Luminar AIの発売は2020年12月。対応OSは、Windows 7以降(64bitのみ)、Mac OS 10.12以降。価格は税込1万1,980円。

プリセットで簡単にレタッチも

Luminar AIは、カタログを使用して画像を管理するタイプのソフトとなっている。そのため起動したら[画像を追加]メニューで画像をカタログに追加しておく(フォルダ単位も可)。

カタログに写真を追加したところ

編集したい画像を選んだら、編集作業に移る。Luminar AIは上部に並んでいるメニュー[カタログ][テンプレート][編集][エクスポート]を左から順に操作していけば写真ができあがるインターフェースになっている。

[テンプレート]にはプリセットされたレタッチ内容が並んでおり、クリックするだけで様々な効果を適用できるようになっている。画像編集に詳しくなければこのメニューだけでも見栄えのいい写真にすることが可能である。

テンプレートの適用例

“ポートレートボケAI”を試す

[編集]メニューでは、より細かくレタッチの操作が行える。

[編集]を開いたところ。一般的な画像ソフトと同様の編集もここで行える

[ツール]に多数の項目が並んでいるが、ポートレートでボケ効果を付加できるのが[ポートレート]の中の[ポートレートボケ]である。

この項目をクリックするとスライダーが展開される。最初に動かせるのは[適用量]のスライダーのみで、これを上げていくと、ソフトによって自動で検出・分離された背景部分だけがボケていくという仕組み。すると、これに加えて細かな調整項目のスライダーも動かせるようになる。

[ポートレートボケ]の調整項目

「輪郭補正」のスライダーを使って、自動検出された被写体部分のマスク調整もできるようになっている。プレビューエリアにマウスポインタを乗せると、マスクされた部分が赤く表示される。この例では、人物が綺麗に自動選択されていることがわかる。

人物のマスクを表示させたところ

元画像はF8に絞っているため背景もある程度明瞭だが、[適用量]のスライダーを50程度まで動かすと、背景がかなりボケてきた。ただ、写真右下の鉄橋部分などはさほどボケておらず不自然に見える。

元画像(EOS R5 / RF24-105mm F4 L IS USM / 30mm / マニュアル露出(F8・1/250秒) / ISO 100)
[適用量]を50にしたところ。鉄橋がうまくボケていない

この場合は[深度補正]のスライダーを使って手動で微調整できる。このパラメータを-80程度まで落とすと、先ほどの鉄橋も大きくぼかすことができた。ここまでが基本的な使い方となる。

[深度補正]を-80にしたもの。鉄橋などをさらにボカせた

部分補正も可能なので、例えば人物の一部を被写界深度外にするといったこともできる。ここでは例として、スカート部分のマスクを取ることでボカシの対象に含めてみた。[ブラシコントロール]で[ボケ]を選んで、ボカしたい部分をなぞるとマスクが外れるようになっている。

部分補正をして下半身がボケるようにした例

画像を読み込んだ段階で、人物と背景は自動的に分離して認識されているため、[背景]のスライダーで背景のみのレタッチもできる。例えば[明るさ]を下げると明暗差で人物が目立つようになる。さらに[暖かさ]を青方向に動かすと、背景が肌色の補色に近い色になるのでこれも人物をより浮き立たせる効果になる。

背景を暗く、かつ青く補正した例。マスクした人物部分には補正が影響していない

より強力な「ポートレートツール」に進化

旧バージョンから引き続いて[フェイス]や[スキン]といったポートレート向けの機能も搭載している。そこに背景ボカシ機能が今回加わったことで、ポートレート写真にとってかなり強力なツールになったと言えそうだ。

Luminar AIを使って感じたのは、高機能だがユーザーインターフェースがシンプルなこと。目的とする調整項目を探しやすく、それが使いやすさに繋がっている。ライセンスも買い切り形式となっており、サブスクリプション形式になじめない人にも朗報だろう。

Luminarお得意のAIスカイ・リプレースメントを適用してみた。背景のボケに合わせて空のテクスチャもボカしてくれるので自然だ

今回試した限りでは、レンズで光学的に得たボケと同じというレベルではなかったが、調整次第では結構人物を引き立たせることができた。有用なシーンとしては、広角レンズなどそもそもボケにくいレンズで撮影したポートレートでも大きなボケを得られるといったことがあるだろう。さらなるボケの自然さに向けて、今後のアップデートにも期待していきたいところだ。

モデル:羽田彩音(https://www.instagram.com/ayane_haneda/

デジカメ Watch読者限定“1カ月無料トライアル”

以下URLからLuminar AIのトライアル版(1カ月)をダウンロードできます。

https://skylum.com/jp/l/portrait-bokeh-ai-dc-watch

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。