Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
高さをしっかりと確保して一瞬の気配を待つ
辰野清さんが愛用する「LM-364CL+DC-364C+G4+LB-60N」
2022年5月19日 07:00
カメラの小型化にあわせて軽量な三脚が支持される昨今。今回、辰野清さんが語るのは三脚の“高さ”の重要性だ。
“高さ”がある故に自由度の高い三脚システムを中心に、辰野さんの撮影スタイルを教えてもらった。
1959年生まれ、長野県在住。第11回前田真三賞受賞。写真集『凛の瞬』『余韻』、著書『超実践的フィルターブック』など。豊かな構成力と詩情あふれる作風で日本の風景表現の物語性を追求している。写真誌コンテスト審査員、写真誌執筆、講演会、写真教室講師、ツアー企画など幅広く活動している
※本企画はデジタルカメラマガジン2022年6月号より転載・加筆したものです。
風景撮影での三脚使用は自然界のさまざまな出合いに対応し、表現のバリエーションを広げる意味でも重要なファクターだ。
例えば、朝夕や夜の長時間露光では、さすがに手持ち撮影とはいかない。カメラを固定する三脚があればこそ描ける世界だ。
日中の撮影であっても、フレーミングの細かなこだわりや露出や階調、色調などの微妙なコントロールは、フレーミングがそのつど変化する手持ち撮影ではとても面倒で困難となる。現場での念入りな微調整こそが作品のこだわりとして反映され、鑑賞者の心を動かすものだと考えたい。
相手が自然であるがゆえに、すべての好条件が重なるタイミングは一瞬しかない。それは、フレーミングを整えて、心静かに気配を待つことでこそ訪れるものなのだ。
近年は朝夕でもISO感度を上げながら手持ち撮影をする人を多く見かけるが、風景撮影で望まれる緻密で繊細な描写力を考慮すると、状況に応じた三脚の重要性が見えてくる。
では、どんな三脚が自分に適しているのだろう。軽さを一番に挙げる人が多いと思うが、現場でのストレスは“高さ”だと考えている。手前を遮る草木や傾斜のある足場では脚の長さが欲しい。どんなに製品のクオリティーが優れていてもカバーできないのが“高さ”であることは、経験からして実感している人も多いだろう。
目安としては脚を伸ばしたときにファインダー位置が自分の背丈より20cm以上は高くなることがポイントで、これにより地面が平らではない風景撮影がとても楽になる。雲台やカメラ自体の高さを考慮すると、三脚単体では自分の背丈くらいの高さを選ぶとちょうど良い。
メインの三脚LM-364CLは雲台とカメラを装着するとファインダー位置は約2mなので筆者の身長177cmとのバランスも良く気に入っている。
質量は売れ筋のレンジャーLS-364Cより約280g重いが、実用ではその差がほぼ気にならず、高さの利便性が勝る。
このLMサミットシリーズにはセンターポールDC-364Cがオプションで装着でき、最長で2.35mとなるのでどのような状況下であっても風景三脚として必要な機能をすべて併せ持っている。
こちらもオプションだが地面との接地向上のためにTFS スパイク石突セットを三脚に装着している。柔らかな草むらなどでは地面に差し込むことで抜群のカメラブレ対策となるのでおすすめしたい。
高さと精密さと剛性のすべてをカバーして万全の準備で風景と対峙する
LM-364Cの最低高は96mmで、G4やDC-364C装着時は最大約2.3mまで伸びるので、低所から高所まで撮影可能だ。最大径36mmの10層カーボンファイバーチューブは安定した強度を誇り、全伸でのたわみも少ないので撮影時の信頼が増す。
またLB-60Nはギア雲台G4と組み合わせることで、自由雲台のような動きとなり、ギア雲台の機動性が高められる。
ギア雲台+レベリングベースの快適さ
ハーフボールを搭載したLB-60Nをギア雲台G4と組み合わせることで、自由雲台のようなクイックな調整とギアによる精密な構図調整を両立できる。ワンタッチでロックできるので操作もしやすい。