Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
大口径レベラーに直付けで良好な操作性 取り回しの良さも魅力
沼澤茂美さんが語る レベリングベース搭載三脚「LS-284CEX」
2021年9月24日 15:00
デジタルカメラが進化するにつれ、かつて撮影の際に重宝された、三脚・雲台の存在感が薄くなってきています。
しかし撮影する被写体やシーンによっては、いまだ必要とされる場面があることも確か。撮影ジャンルやスタイルによってはなくてはならない存在でもあります。
この連載ではレオフォトブランドの三脚・雲台を使う写真家に、その重要性を語っていただきます。
今回寄稿いただいた写真家は沼澤茂美さんです。
天文宇宙関係のイラスト、天体写真を中心に、内外の写真雑誌、天文雑誌、書籍の執筆、NHK天文宇宙番組の取材を行う。パラマウント映画社「スタートレックDeepSpace9」のポスター制作を担当。『夜の絶景写真星空風景編』(インプレス)など著書多数
※本企画はデジタルカメラマガジン2021年10月号より一部転載したものです。
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三脚の役割は一貫して撮影者の思い通りにカメラを向けて確実にホールドすることだ。長時間露出が必須の星空の撮影において、三脚は必需品といえる。
かつては重い三脚、つまり慣性質量が大きくて頑丈なものが良いとされた時代もあったが、海外取材が多くなり、軽量化とコンパクトさ、それと堅牢さという相反する性能を求めるようになった。数多くの三脚を実戦投入し、試行錯誤を繰り返した。購入した三脚は100に及ぶかも知れない。
それに終止符を打ってくれたのが多層カーボンの登場だった。金属製三脚に比べて、圧倒的に軽く、強い。そんな三脚新時代のトリとして登場したのがレオフォトではなかろうか。10層もの多層カーボン脚と、金属部分がアルミ無垢材からの削り出し部品で構成されるところが売りで、ダイキャストに比べて薄い部材でも高い強度と粘りを持ち、衝撃で割れることもない。
常に使用する三脚には、ストレスを感じたくない。脚部伸縮時の不均一性や引っかかりがあってはいけないし、ロックもスムーズかつ確実でなければいけない。手にしたときの感触やレバーの面取りの滑らかさまであらゆるフィーリングが道具としての信頼性に結びつく。
LS-284CEXはその条件を満たす理想的な存在だ。
私は星空の撮影がメインで、撮影時はほぼ100%星空を自動追尾する赤道儀という特殊な雲台を使用する。
赤道儀は回転軸の方向を北極星方向にセットして使用するが、広角レンズを使用する際のセッティング精度は北極星を中心に半径10°程度の範囲で良い。普通の雲台に乗せて使用する人も多いが、赤道儀自体の質量は小さくないので、クランプを緩めると急な挙動でケガをする可能性もある。何よりも通常の雲台を介して取り付けた場合の振動やガタの発生は免れない。
私はこのLS-284CEXの大口径レベラーの上に直接赤道儀を取り付ける。リングレベラーの可動範囲は水平に対して±15°だ。ラフな場所でも安定してセッティングが可能な上、回転は360°可能なので、フェンスや障害物があった場合に、ギリギリまで三脚の開き角による設置制限を回避できる。
大型のレベラーを装備することで失ったものがセンターポールだが、それはマイナス面ではない。三脚の付け根はより小さくなり、収納時の断面積は非常にコンパクトになり、軽量化にも貢献している。まるでオーダーして作ってもらったかのように使い勝手が良い。この三脚に出合えて本当に感謝している。
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LS-284CEXとは
10層カーボン脚に大型の球欠レベリングベースを備えるフィールド三脚。センターポールを廃することで収納時の断面積が小さく押さえられ、アルミ無垢材からCNC削り出し加工によって作り出された各部の精度がすばらしい。
小型・軽量かつ高い強度を維持し、可動部の動きも滑らかにして的確に固定可能。ビデオ雲台を付ければ、そのレベラー機能は辺地や悪条件でのビデオ撮影にも理想的ではなかろうか。
また、横位置で正対に近い撮影では、雲台なしでも非常に強固な三脚として使用できる。
操作性の良いレベリングベース
最大径54mmの球欠ボール部分と外径50mmの受け皿で構成されているレベリングベースは、とにかくそのスムーズな動きと固定したときの強度が素晴らしい。がたつきは全くない。
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