交換レンズレビュー

LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8

名門らしい高画質を堪能 ありそうでなかった焦点域の望遠ズームレンズ

2026年9月発売のLK SAMYANG「AF 60-180mm F2.8」は、35mmフルサイズ対応の大口径望遠ズームレンズ。Schneider-Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)の光学技術とLK SAMYANGの製造技術を組み合わせたF2.8ズームシリーズの一角を担うレンズだ。

具体的には、これまでに広角ズームレンズ「AF 14-24mm F2.8 FE」と標準ズームレンズ「AF 24-60mm F2.8 FE」が発売されており、そこに本レンズが加わったかたちになる。

ソニーEマウント用とLマウント用がラインアップされていて、今回はEマウント用で試写した。

60-180mmという独自の焦点距離と、全域F2.8の大口径がもたらす描写力を確かめてみた。

外観・仕様

外形寸法はΦ86.7×149.0mmで、質量は730g。大口径標準ズームかと思えるほどの小柄なサイズ感もさることながら、730gという質量にも注目したい。一般的な70-200mm F2.8クラスでは1kgを超えるレンズが多いなか、非常に軽量に仕上がっている。

本レンズは、ドイツのSchneider-Kreuznach社の光学技術と、韓国LK SAMYANG社のコラボレーションによって開発されたレンズだ。その証として、鏡筒にはシュナイダーとLK SAMYANG、両社の銘が記されている。

実際の描写については作例で紹介するが、Schneiderの名を冠するにふさわしい高い光学性能を備えている。

軽量化のためか、鏡筒は樹脂を主体としている。一方で、可動部にはウェザーシーリングが施されており、水滴やホコリなどからレンズを保護する。軽量性を重視したレンズながら、屋外での撮影にも配慮されているのは心強い。

テレ端までズームしても、全長は174.4mmにとどまる。ワイド端から25.4mm伸びるだけであり、ズームによる全長の変化が少ない。これが撮影時の取り回しやすさにもつながっている。静止画はもちろん、カメラを動かしながら撮影する動画でも扱いやすいだろう。

リング類はレンズ先端側からフォーカスリング、ズームリングの順に配置。いずれも十分な幅が確保されており操作はしやすい。鏡筒右側にはズームロック機構を備え、ワイド端の60mmでズームリングを固定することができる。

鏡筒左側にあるAF/MFスイッチは、オートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り換えるためのもの。同じく左側のカスタムスイッチは、カメラ側の設定に応じて好みの機能を割り当てることができる。

花型のレンズフードが同梱されている。特にワイド端付近では効果的に有害光を遮ってくれるものなので、ぜひ積極的に活用したい。レンズ先端を何かにぶつけた時の緩衝材としても役立ってくれる。

作例

前述の通り、本レンズの光学性能は非常に高い。開放F2.8で平面的な建物を撮影してみても、ピント面では画面中央から周辺に至るまで高い解像感を示してくれた。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/60mm/絞り優先AE(1/60秒、F2.8、−1EV)/ISO 100

標準画角に近い焦点距離60mmから始まるため、自然な雰囲気のポートレートを撮りやすいところも、本レンズの長所だと感じた。実際に使ってみると意外なほど現代の撮影スタイルにマッチしており使いやすい。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/60mm/絞り優先AE(1/60秒、F5.6、1EV)/ISO 320

水面を泳ぎ回るマガモを撮影してみた。もちろん、ボディ側の被写体認識機能とも良好にマッチし、鳥の眼を正確に捉え続けてくれていた。AF駆動にはステッピングモーターが採用されており、クラス最高速というわけではないものの、本レンズで撮影する被写体の動きを追うには十分な精度と速度を持っている。静粛な駆動音は動画撮影においても有利だ。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/180mm/絞り優先AE(1/400秒、F4、−0.3EV)/ISO 400

F2.8通しの大口径望遠ズームであることは、やはり大きな強みだ。白い花をレンズのすぐ前に配置してモデルを撮影してみたところ、花が大きく柔らかくぼけ、ふんわりとした幻想的なイメージを表現することができた。可変絞りやF4通しのズームレンズではなかなか得にくい表現だけに、F2.8という本レンズの特性が活きる場面だと感じた。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/114mm/絞り優先AE(1/125秒、F2.8、1.7EV)/ISO 125

ワイド端60mmでの最短撮影距離は0.35mで、最大撮影倍率は0.26倍。一方、テレ端180mmでは最短撮影距離0.79m、最大撮影倍率は0.21倍となる。どちらも実用的な近接撮影性能を備えている。

作例はワイド端の最短撮影距離で撮影したものだが、ホオズキの配列を活かしながら、大口径らしいきれいなボケの中に主題を浮かび上がらせることができた。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/60mm/絞り優先AE(1/200秒、F2.8、1EV)/ISO 100

本レンズの醍醐味は、やはり60mmから180mmという絶妙な焦点距離にあると思う。高倍率ズームや超望遠ズームが身近になった今、むしろ身近な被写体を撮影するのに適したレンジと言えるのではないだろうか。そこにズーム全域F2.8の明るさを組み合わせているところもうれしい。

身近にあるものに目を向け、それを美しく切り撮りたいと思ったときに、実に使いやすい仕様に仕上がっていると感じた。

α7 V/LK SAMYANG AF 60-180mm F2.8/136mm/絞り優先AE(1/160秒、F2.8、1EV)/ISO 500

まとめ

全域F2.8の大口径望遠ズームレンズといえば70-200mmが定番だが、本レンズは60-180mmという独自の仕様に仕上げている。無理をしない光学設計が功を奏してか、実際に撮影してみても、開放F2.8から高い解像感を示している。名門Schneider-Kreuznachの名にふさわしい性能といえるだろう。

そこに730gという軽さが加わる。重く大きな、一般的な70-200mm F2.8とはまた違った方向性があることから、大口径望遠ズームレンズの新しい魅力を提案してくれるレンズだ。

モデル:透子

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。