交換レンズレビュー

ソニー FE 100-400mm F5.6-8 OSS

気軽に持ち出せる小型軽量の超望遠ズームレンズ

ソニーからEマウント35mmフルサイズ対応の小型軽量な超望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F5.6-8 OSS」が発売された。

小型・軽量で気軽に持ち出せる超望遠ズームレンズでありながら、光学式手ブレ補正機構、クリアな描写性能、使いやすい操作性、高速・高精度なAF性能、防塵・防滴に配慮した設計となっているのが特徴だ。

最長400mmの望遠ズームレンズとは思えないコンパクトさだ

外観

レンズ単体の外形寸法は78.2×164mm、質量は約654g。少々の雨やほこりがある環境でも安心して撮影に挑める防塵・防滴構造を採用している。

フィルター径は67mmで、レンズ先端から順にフォーカスリング、フォーカスホールドボタン、ズームリング、フォーカスモードスイッチ、フォーカスレンジリミッタースイッチ、手ブレ補正ON/OFFスイッチを備える。

フォーカスリミッターは「∞〜3m」と「FULL」の切り替えが可能で、「FULL」設定時の最短撮影距離はワイド側で1.13m、テレ側で0.86mとなる。

反対側にはズームロックスイッチを備え、持ち運び時に不用意に鏡筒が伸びるのを防げる。

ズームは繰り出し式。400mm側にズームすると、鏡筒が約18cm繰り出す。

付属品はレンズフード、レンズフロントキャップ、レンズリアキャップ。

レンズフードは回して固定するタイプの丸型バヨネット式で、逆さに取り付けることでコンパクトに収納できる。

廉価な望遠ズームレンズとしては珍しく、別売りのテレコンバーターにも対応している。

1.4倍テレコンバーター「SEL14TC」装着時は140-560mm相当F8-11、2倍テレコンバーター「SEL20TC」装着時は200-800mm相当F11-16となり、必要に応じて焦点距離を延長できる。

画質

光学系にはED(特殊低分散)ガラス2枚と非球面レンズ2枚を含む10群15枚のレンズ構成を採用。100-400mmのズーム全域で収差が抑えられている印象で、クリアかつシャープな描写が得られた。

カメラ側のレンズ補正(周辺光量・倍率色収差・歪曲収差)にも対応している。

9枚羽根の円形絞りを採用しているため、望遠ならではの素直で美しいボケも得られる。


サルスベリの花と旅客機。澄み切った青空とのコントラストが清々しい。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/100mm/マニュアル露出(1/1,600秒、F5.6)/ISO 400

約20km先のスカイツリー、東京湾を疾走するジェット船、そして羽田空港を離陸した旅客機。超望遠撮影の圧縮効果で、距離の異なる被写体がぎゅっと凝縮した1枚になった。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/400mm/マニュアル露出(1/1,000秒、F8)/ISO 500

AF性能

AF駆動用にダブルリニアモーターを搭載。高速かつ高精度に被写体を捉え、追従性にも優れている。しかも、動作音はほとんど聞こえないほど静か。

旅客機撮影では「コンティニュアスAF」と「トラッキング:拡張スポット」を組み合わせて使用した。カメラ側にピント追従を任せ、旅客機全体がフレームアウトしない構図を保ちながらシャッターを押すことだけに集中できた。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/400mm/マニュアル露出(1/1,600秒、F8)/ISO 400

操作性

フォーカスホールドボタンには好みの機能を割り当てることができる。今回はもう少し焦点距離が必要な際にすぐ切り替えられるよう、APS-Cクロップ機能を割り当てた。適用すると焦点距離150-600mm相当の画角となる。

フォーカスホールドボタン

1.5倍にクロップするため画素数は減少するが、テレコンバーター使用時と違いF値が変わらない利点がある。

テレコンバーターで焦点距離を伸ばすか、APS-C画角に切り替えるかは写真の使用目的に応じて選択したい。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/600mm相当(APS-Cクロップ)/マニュアル露出(1/640秒、F8)/ISO 400

遠くからダイサギが飛んでくるのが見えたため、とっさにカメラを向けた。急に訪れるシャッターチャンスでも、軽量コンパクトなレンズのおかげで素早く被写体をフレームに捉え、羽を広げた美しいタイミングで撮影できた。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/600mm(APS-C画角)/マニュアル露出(1/2,500秒、F8)/ISO 1600

ウミネコの動きを粘り強く追いかけていると、くちばしでカニを器用についばむ一瞬の表情を捉えることができた。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/600mm(APS-C画角)/マニュアル露出(1/2,000秒、F8)/ISO 500

近距離撮影

最短撮影距離はワイド端(100mm)で1.13m、テレ端(400mm)で 0.86mとなっている。望遠ズームレンズとしてはかなり短い。


旅客機の撮影中、近くに雀が飛んできた。そっと雀にカメラを向けてファインダーを覗き、シャッターを半押しした。ほぼ無限遠から素早くピントが変化したことに驚く。そのままAPS-Cクロップに切り替えて撮影した。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/600mm(APS-Cクロップ)/マニュアル露出(1/500秒、F8)/ISO 2500/WB: オート

手ブレ補正

廉価なズームレンズとしては、レンズ内蔵の光学式手ブレ補正機構OSSも備えている。これにより、特にテレ側(400mm)での撮影時にはファインダー像が安定し、被写体をとらえやすくなる。

焦点距離400mm側での手ブレ限界はシャッター速度1/10秒程度だった。テストした結果、1/10秒での補正の成功率は10%だった。

α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/400mm/マニュアル露出(1/20秒、F8)/ISO 800
α7 IV/FE 100-400mm F5.6-8 OSS/400mm/マニュアル露出(1/10秒、F8)/ISO 250

まとめ

G MasterやGレンズとは異なる位置づけの製品だが、解像感や描写力は十分ある。約654gの小型・軽量レンズでありながら、フォーカスホールドボタンや手ブレ補正機構などの機能がしっかりと搭載されている点も魅力だ。

気になるのはF5.6-8という開放F値だろう。とはいえ、日中の屋外撮影であれば十分実用範囲内だ。

これから望遠レンズを使い始めたい方はもちろん、大口径望遠レンズのサブとしての運用もおすすめの1本だ。

高橋学

1975年、福島県福島市生まれ。父が新聞社のカメラマンをしていた影響で物心付いたころからカメラが好きになり、父と鉄道などを撮り始めた。高校卒業後は専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より有限会社ジャパンスポーツでスポーツカメラマンの仕事に就き、実績を重ねてフリーランスへ。現在はフィギュアスケート、フットサル、サッカー、陸上などの様々なスポーツ取材をしている。また、小さいころから好きな鉄道や飛行機なども撮影を続けている。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員