交換レンズレビュー

“非純正”薄型レンズの世界:7Artisans 35mm F5.6

1万円台のレンズバリア内蔵パンケーキ

今回も少々変わり種のレンズを紹介したい。MF(マニュアルフォーカス)専用の薄型レンズは中国レンズブランドが得意とするジャンルだが、この「7Artisans 35mm F5.6」もそうした1本だ。

絞りは固定となるが、何と言っても1万6,920円という手頃な価格でフルサイズセンサー対応なのがありがたい。ソニーE/ニコンZ/Lマウントがラインナップされている。

速写性に優れるレンズバリア内蔵型

見た目からユニークなレンズだ。まずパンケーキレンズと言ってよい形が目を引く。MFレンズだが側面に距離目盛りはなく、前面に書いてあるというのも珍しい仕様だ。

レンズの全長は短くてかさばらない

またレンズバリアを内蔵しているので、レンズキャップが不要となっている。レンズバリアの操作もフォーカスリングで行え、無限遠側に回していくとバリアが閉じる。

フォーカスリングはローレット仕上げ

鏡胴は金属製で仕上げもよく、値段以上のルックスだ。焦点距離35mmということで、スナップなど日常使いには好適だろう。APS-Cクロップ時には52.5mm相当になる。

絞りはF5.6固定なので、ボケを作るためには主題に近づくといった工夫がいるが、撮影のたびに絞り値の設定に頭を悩ませずに済むのもメリットか。なお、最短撮影距離は30cmとこの焦点距離では一般的なもの。

前面の距離指標を見るとわかるように、フォーカスリングの回転角が小さめ。使いにくいかと心配したが、フォーカスピーキングを使うと素早くピントを合わせることができた。

レンズバリアを閉じたところ

レンズ構成は4群5枚で高屈折低分散レンズが2枚使われているとのこと。作例を見るとかなりパキッとした描写で現代的。オールドレンズ的な写りとは逆のベクトルのようだ。

重さは150g台で、使っていても十分軽い印象。なお、フィルターが取り付けられない点に注意したい。

マウントも金属製でしっかりしたものだ

解像力やコントラストも十分

建設中の建物を斜光で撮影したものを見ると、なかなか高い解像力がうかがえる。ピントを合わせた上部は網やワイヤーもくっきりと写っていた。空の抜け感もいい。

ソニー α7C II/マニュアル露出(1/1,000秒・F5.6)/ISO 100

最近塗り直されたであろう新しめの横断歩道ということもあるが、順光ならかなりコントラストのはっきりした写りになる。周辺減光は少しあるが、これも人物を目立たせるのに一役買っている。

ソニー α7C II/マニュアル露出(1/2,500秒・F5.6)/ISO 100

最短撮影距離付近で接写をしてみた。合焦部分の葉もみずみずしく描写された。点光源のボケはやや年輪状になっているものの、全体的なボケ感は自然だ。

ソニー α7C II/マニュアル露出(1/500秒・F5.6)/ISO 100

まとめ

35mmという焦点距離も28mmと並んで広角レンズの定番であり人気の高い画角。そんな35mmを安価にフルサイズ機で楽しめるのが本レンズの魅力ということになる。

大きなボケは期待できないが、どちらかといえばパンフォーカス的な撮り方が似合うレンズだろう。2~3m先にピントを合わせておいて、シャッターボタンだけを押す撮影スタイルにも向いていると思う。

写り自体もしっかりしたものなので、1本持っているとカメラライフもより充実しそう。MFレンズの入門にもよさそうなレンズだった。

本誌:武石修