交換レンズレビュー
Viltrox AF 25mm F1.7 AIR
気軽にスナップできる約40mm相当 画質も優秀な“準標準”単焦点レンズ
2025年7月14日 07:00
今回紹介するのは、APS-Cセンサー対応の「Viltrox AF 25mm F1.7 AIR」です。低価格ながらステッピングモーターによるオートフォーカス(AF)機構を採用し、F1.7の大口径で焦点距離25mm(35mm判換算で約38mm相当)という絶妙な画角の単焦点レンズである点に注目です。
今回は富士フイルムXマウントを試用しましたが、他にもソニーEマウントやニコンZマウントが用意されています。
外観・仕様
焦点距離は25mmですが、APS-Cサイズ用のため、35mm判換算での焦点距離は約38mm相当となります。
外形寸法は約φ64×54.7mm。開放F値がF1.7と明るい割には小柄なサイズになっています。マウント部は金属製。ただし、鏡筒の多くは樹脂製で、質感はそれなりといえるでしょう。その代わり質量は約170gと軽量に仕上がっています。
操作性
レンズ本体にはフォーカスリングが備わるだけで、ボタンやレバーの類は一切ない、非常にシンプルな仕様です。そのため、フォーカスモードの切り換えや絞りの設定はカメラ側で行います。スナップ撮影では、レンズ側の操作部を頻繁に操作することは少ないため、かえって気軽に扱えるかもしれません。
「PL-43A」という花型のレンズフードが同梱されています。
作例
率直に言えば、本レンズの魅力は低価格でありながら開放絞り値がF1.7と明るい点にあるでしょう。その明るさを生かして撮影した下の作例ですが、ピント面は十分にシャープで、ボケ味も大きく自然です。失礼ながら、想像をはるかに超える良好な描写性能に驚きました。
本レンズは10群12枚のレンズ構成のなかに、非球面レンズ、ED(特殊低分散)レンズ、高屈折率レンズを複数枚配置するといった結構贅沢な仕様になっています。平面的な被写体を撮影しても画面の隅々まで安定した解像感を示し、F5.6以上に絞れば、非の打ちどころがない画質を見せてくれます。
35mm判換算で焦点距離38mmに相当する画角は、個人的にスナップ撮影に最適だと感じました。散歩をしながら、気になったものを心地よいフレーミングで切り撮ることができます。STM(ステッピングモーター)を採用したためか、AF駆動も正確かつスムーズでした。
最短撮影距離は0.3m、最大撮影倍率は0.11倍と、この焦点距離のレンズとしては標準的です。ミラーレスカメラ専用設計が普及した現在では、寄れないわけではありませんが、近接撮影が得意というほどでもない、といったところでしょう。ただ、最短撮影距離付近での画質は非常に高く、無理にスペックを追求するのではなく、写真用レンズとして実用的な性能を真摯に目指した結果なのかもしれません。動画で人物を撮影するにも、十分かつ的確な性能を有していると感じます。
まとめ
本レンズの魅力を「低価格ながらも開放絞り値がF1.7と明るいところ」とは本文で述べたとおりです。しかし実際に使ってみると、それだけでなく、スペックの数値以上に真っ当な描写性能の高さがあることに改めて驚かされました。
もちろん、細部の作りや絶対的な信頼性においては純正レンズに譲る部分もありますが、解像感、ボケ味、使用感はいずれも及第点以上の実力があり、実用上、大きな問題はないレベルにあるのは確かでしょう。
いわゆる中華製レンズのひとつですが、その実力は決して侮れないものです。特定の焦点距離を持つ単焦点レンズをなるべく低価格で手に入れたい場合、有効な選択肢となるのではないでしょうか。