交換レンズレビュー
SIGMA 50mm F1.2 DG DN|Art
軽量コンパクトなレンズでF1.4以上のボケを
2024年4月22日 07:00
シグマから開放F1.2の標準レンズ「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」が発売になった。フルサイズセンサーに対応する軽量コンパクトなレンズだ。
このレンズの発売により、ソニーEマウントボディのユーザーは、ソニー純正の「FE 50mm F1.2 GM」より安価に50mm F1.2のボケを手に入れられる。
一方ライカLマウントユーザーは、「SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art」と同じ明るさの標準レンズを楽しめることになるのだ。
最先端光学設計と生産技術が生んだレンズ
レンズ構成は12群17枚(うち非球面レンズ4枚)。純正の「FE 50mm F1.2 GM」は10群14枚。最新設計の賜物である薄いレンズを狭い間隔でキッチリ配置することによって、開放F1.4の「SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art」と同等のサイズ感になっている。
軽量コンパクトながら、絞り開放から高い解像力を誇り、なおかつ美しく上質な前後のボケ味を実現している。13枚の絞り羽根による円形絞りの写りも魅力的である。
オートフォーカスも高速で正確だ。デュアル搭載のリニアモーターHLAは快適そのもの。ストリートスナップやポートレート撮影でも安心して絞り開放を使えるようになっている。
使い勝手も相変わらず良好である。「AFLボタン」には任意の機能が割り当てられるし、絞りのクリックをオンオフおよびロック可能だし、レンズ前玉の防汚コートも施され、防塵防滴構造も採用されている。
スナップ
このレンズの絞りを開けての上質なボケ感は本当に美しく、今回のスナップ撮影はすべてF1.2で撮影した。シャープなピント面もスナップや風景撮影で際立つ。
光を反射する「た」の文字が浮かび上がる。前後のボケ感もスムーズだ。
シグマ黒川本社近くの山林で。たおやかなボケが印象的。
古民家の土間でざるを撮った。このレンズは目の細かさをしっかりと写しとってくれた。
囲炉裏にかかった鉄瓶のリアル感がもの凄い。F1.2のピント面は驚くほど鋭い。
夕暮れ時にクロネコに出会った。低照度でもオートフォーカスは正確かつ高速だった。
懐かしいクルマのヘッドライトにレンズを向けた。ボケ感とボンネットのカーブが立体的ないい雰囲気を生み出してくれた。
温泉街の通りを絞り開放で。軒先にフォーカスし街並みをいい感じにぼかすことに成功した。
F1.2での夜間撮影は楽しい。三脚いらずでムーディーな描写が美しいからだ。
夜桜を撮った。儚い可憐な色再現とちょうどいい周辺光量落ちが気に入った。
ポートレート
快適なオートフォーカスはモデル撮影でも有効。瞳にしっかりと合焦し、動く回る人物でも正確にフォーカシングしてくれた。積極的に絞り開放域を使って、ボケ味を堪能できるレンズに仕上がっている。
ほぼ満開の桜とモデル。肌の描写も美しく、花もキレイに美しくボケてくれた。
このレンズの絞り開放でのボケは魔力を感じる。モデルを引き立たせると同時に雰囲気を高めてくれるのだ。
前ボケもいい感じ。モデルが伸ばした指先がスムーズかつ立体的にぼけてくれた。
走ってくるモデルを連写した。F1.2でもちゃんと瞳にフォーカスし続けて、狙ったカットを撮ることができた。
本レンズは絞り開放で魅力的な写りをしてくれる。薄いピントと美しいボケ感とで、モデルをより一層立体的に引き立ててくれるからだ
まとめ
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」はシグマの最新技術を結集した渾身の標準レンズだという印象を受けた。小ささと軽さを実現しつつ、描写性能や合焦速度を歴代モデルより高めて、F1.2という明るさを手に入れた傑作レンズだと言えるだろう。この切れ味の鋭さと端正なボケ感のハーモニーは本当に素晴らしい。ぜひ写りを実感して欲しいと思う。
モデル:明日香