交換レンズレビュー

3つの描写を手元でチェンジ!1本で3度おいしい「レンズベビー Trio 28」

グルグルボケ、ソフトフォーカス、集中線効果……特徴的な作品作りにぴったりのレンズ

株式会社ケンコー・トキナーが取り扱うレンズベビーブランドの新製品として、効果の異なる3種類のレンズが付いたユニークなレンズ「Trio 28」が登場しました。

すでに発売されている3つのレンズ「Twist(ツイスト)」「Velvet(ベルベット)」「Sweet(スウィート)」が筒鏡先端部に取り付けられていて、レンズダイヤルを回転させることによって切り替えることができます。

レンズダイヤルを回転させることにより3種類のレンズを楽しむことができる1本で3度おいしいユニークなレンズ、Trio 28。Twist、Velvet、Sweet、それぞれの特徴的な描写をレポートいたします。

発売日と価格は?

2016年12月9日に発売。

価格はオープン。実勢価格は税別3万2,000円前後。

対応マウントは?

対応マウントは、ソニーEマウント、フジフイルムXマウント、マイクロフォーサーズ用の3種類。

先端の3つのレンズの特徴は?

Twist、Velvet、Sweetは、それぞれ特徴的な描写を持っています。

Twistは、背景がグルグルと渦を巻くようにボケる通称”グルグルボケ”となるレンズ。

Velvetは、滑らかで柔らかい描写のソフトフォーカスレンズ。

Sweetは、レンズベビーオリジナルに近い効果があると言われ、中心部にピントが合い周辺に向かって流れるようなボケを生むレンズ。

それぞれ、先端部のレンズダイヤルを回転させることにより切り替わります。いずれも焦点距離は28mm、重さは138.9g。見た目は平べったく大きめながらとても軽いレンズです。

フォーカス操作と最短撮影距離

側面にあるシルバーカラーのピントリングを回転させることによりフォーカス操作も可能です。

最短撮影距離は0.2m、お花撮影やテーブルフォトなどググッと寄りたい被写体の撮影にも向いています。

あえてピントを合わせないアウトフォーカスで抽象的に撮影したり、3つのレンズ効果と撮影距離を自在に組み合わせると様々な表現を楽しむことができます。

絞りは?

Twist、Velvet、Sweetの絞りはいずれもF3.5固定です。

今回の撮影機材は?

今回はフルサイズミラーレスカメラ、ソニーα7 II(Eマウント)で撮影しました。

電子接点がないため撮影前に「レンズなしレリーズ」をオン(許可)に設定してから撮影します。そのため、撮影は全てM(マニュアル)になります。また、「手ぶれ補正」をオンにし、「手ぶれ補正焦点距離」を28mmに設定します。

Twistで撮ってみる

Twistの描写の特徴は、前述の通り背景がグルグルと渦を巻くようにボケる通称"グルグルボケ"になること。グルグルボケは、周辺に向かうほど効果が強くなります。例えば、背景に玉ボケが写るように構図をとると、周辺の玉ボケは弧を描くようなボケとなって写ります。

指で持った紅葉にピントを合わせ、背景に紅葉や庭の木々を入れました。F3.5固定なので、ピントを合わせた被写体と背景が離れていれば、面白いくらいに背景がグルグルとボケます。写真の画角の四辺四隅に近いほどグルグルボケは強くなるので、中心に写したい被写体を入れて撮影すると効果的です。

α7 II / マニュアル / 1/40秒 / 0EV / ISO 1600

雨の日、庭の落ち葉の中で足元を撮りました。長靴にピントを合わせただけで、四隅に近い周辺がグルグルとボケました。ピントを合わせた足元と周辺の落ち葉とレンズからの距離はさほど変わりませんが、四隅に近い場所はグルグルとボケることが分かります。

α7 II / マニュアル / 1/80秒 / 0EV / ISO 400

建物の通路でクリスマスツリーのお花の飾りにピントを合わせて撮影してみました。主役をあえて左側に配置してピントを合わせたのですが、距離が遠い右奥の通路がグルグルと流れるようにボケました。あえて片側だけグルグルボカすなど、いろいろな被写体で試しても面白いですね。

α7 II / マニュアル / 1/30秒 / 0EV / ISO 1600

Velvetで撮ってみる

Velvetの描写の特徴は、滑らかで柔らかいソフトフォーカス効果があること。画面全体が柔らかいベールで包まれたような優しい印象の写真になります。また、強い点光源を写すとその周囲に放射状のフレアが発生するのでキラキラとした印象を作ります。

カフェでティラミスを注文して一休み。全体的に淡いベールがかかったようなソフトフォーカス効果で柔らかい印象で写りました。Velvetを選ぶことにより、甘いスイーツがよりSweetに写りました。優しく柔らかい印象を作り上げたい被写体に向いています。

α7 II / マニュアル / 1/80秒 / 0EV / ISO 800

家のシャンデリアを撮影しました。強い点光源を写すと、光源の中心から外側に広がる小さなフレアが発生します。後光のような光に見えるので、眩しく輝いているように見える効果があります。キラキラ効果、ですね。

α7 II / マニュアル / 1/20秒 / 0EV / ISO 800

打合せでカフェへ。待ち合わせ時間までのんびりとしながら注文したお茶をパチリ。背景に天井の照明をボカして玉ボケとして入れ、ソフトフォーカス効果でのんびりとした午後のお茶時間を撮りました。大きくボカしたければ被写体から遠い場所を選ぶと効果的です。

α7 II / マニュアル / 1/40秒 / 0EV / ISO 800

Sweetで撮ってみる

中心から外側に向かって流れるような柔らかいボケを生むのが特徴のSweet。この効果は、レンズベビーオリジナルに近いと言われています。優しくて柔らかくそれでいてクセが強過ぎない印象の写真を撮ることができます。

お庭に咲いているピンクのお花を撮りました。周辺に向かって柔らかいボケを生むSweetは、ふんわりと優しいイメージに撮ることができます。周辺がボケるのでそれ以上の開放値があるように思えるところがポイントです。

α7 II / マニュアル / 1/160秒 / 0EV / ISO 100

クリスマスの飾りを撮りました。中心から外側に向かって流れるボケを生む効果は、右下の方に強く見ることができます。カメラのシャープ・コントラスト・彩度の設定は±0。つまり、何も設定しないでこの柔らかい印象の写真になります。

α7 II / マニュアル / 1/60秒 / 0EV / ISO 1600

もうすぐクリスマス。カプチーノにこんな絵が描かれていてほっこりする季節です。俯瞰で撮影してみると、右側に置いたケーキがふわりとボケました。四隅に近い周辺に強いボケが加わるので、俯瞰撮影でもボケを効果的に撮影できます。俯瞰撮影が人気のInstagramでも、大活躍しそうなレンズです。

α7 II / マニュアル / 1/80秒 / 0EV / ISO 800

これって裏技?

レンズダイヤルを次のレンズに切り替える途中で止めると、画像が二重に重なり多重露出のような効果を生んだり、トイカメラのように周囲が黒く沈んで写ったり、大きなフレアが発生しているような光の弧が写ります。

本来レンズが作られた意図とするところではないけれど、こういった遊びを見つけることができる面白いレンズだと思います。多重露出に設定していないけれど、多重露出のように撮れたり、トイカメラのような効果を付けたり、フレアで遊んだり、一個で何通りも楽しむことができるレンズです。

α7 II / マニュアル / 1/40秒 / 0EV / ISO 1600

α7 II / マニュアル / 1/160秒 / 0EV / ISO 100

α7 II / マニュアル / 1/60秒 / 0EV / ISO 1600

体験してみて

1本でいろいろな効果があるので、この被写体はこれで撮ってみよう、いや、こっちの方がカワイイかななどいろいろと考える時間も楽しいレンズでした。まるでオールドレンズをたくさん持っているかのような気持ちになります。

Trio 28の中で、私は特にSweetの描写が好きでした。エアリーな世界を作るのが楽しいレンズだったので、今後の作品作りの中でも使用していきたいと思っています。精密さを追及する現代の中で時代を逆行するような効果をもたらすレンズ。これも今という時代らしいなと思いながらの楽しい時間でした。

こんな人にオススメ!

1本で3通り、もしくはそれ以上の効果を楽しむことができるレンズベビー Trio 28。オールドレンズを買ってみたいけれど難しそうだと思っている人や、お得にいろいろ楽しんでみたいと思っている人におススメです。

見た目も個性的、撮れる写真も印象的。難しい操作はなしに簡単に撮れることから、カメラを始めた初心者さんや難しい操作が苦手な女性にもすっと受け入れられそうです。特に、TwistのグルグルボケやSweetの俯瞰撮影の大きなボケはSNS映えする大きな効果があるので、人気に火が付くのは時間の問題ですね。

山本まりこ

理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持ってひとり旅に出発し、そのままフォトグラファーに転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。雑誌・広告撮影、旅エッセイ執筆、講演、フォトセミナー講師など活動は多岐。著書「エアリーフォトの撮り方レシピ」、「まりこ先生が教えるイチバンやさしい写真の教室」他多数。2016年9月に最新著書「山本まりこのオールドレンズ撮り方ブック」を出版。
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