切り貼りデジカメ実験室
「SIGMA DP3 Merrill」の高倍率マクロシステムを考える
(2013/4/9 00:00)
カリカリ描写の高倍率マクロを実現する
デジカメWatch編集部から「SIGMA DP3 Merrillで、カリカリ描写の高倍率マクロのネタなどどうでしょう?」というようなリクエストをもらった。
実はこの連載では去年「SIGMA DP2 Merrillのマクロシステムを考える」を掲載している。このさい、レンズ非交換式のDP2 Merrillにクローズアップレンズを装着する方法でマクロ撮影を実現したが、そのシャープな描写に自分でも驚いてしまった。
そして同様の方式を採用する限り、ライカ判換算45mm相当の標準レンズを搭載したDP2 Merrillより、75mm相当の望遠レンズを搭載したDP3 Merrillのほうがより高倍率のマクロ撮影ができるのは確かで、ぼくとしても興味がある。
もっともDP3 Merrillに搭載された「SIGMA LENS 50mm F2.8 MACRO」はその名の通りマクロレンズで、最短撮影距離22.6cmで1/3倍の撮影ができる。これはライカ判換算1/2倍相当で、ふつうの意味では十分なスペックだと言える。しかし逆に言えばもともとマクロレンズなのだから、さらに思い切った高倍率マクロ撮影を試してみたくなる。
もちろんその際は非純正のクローズアップレンズを装着するわけだから、必ずしも高画質が保障されるわけではない。そう言うリスクはありながらも、ともかくDP3 Merrillを編集部から届けてもらったのだ。
そしてさっそく手持ちのクローズアップレンズをいろいろ装着し試してみたのだが、結果としてはジャンク部品の中から割とあっけなく最適なレンズを見付けることができた。
そのジャンク部品とは、実はこの連載の第3回『史上初!? 思い付きで生まれた「セミ魚眼付きコンパクトデジカメ」』で取りあげた、前玉をカットすることで「セミ魚眼カメラ」として再生されたリコー「Caplio R7」の、その前玉レンズなのである。
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実写作品と使用感
今回も藤沢市の自宅近所で植物や虫を撮影してみた。しかし植物の場合、高倍率マクロで撮影するとそれが何であるのかわからなってしまう。そこで同じ種類の植物を、クローズアップレンズを装着しないDP3 Merrillで撮影した写真も並べて掲載してみた。一方、虫についてはもとより異形の存在であるので、高倍率マクロ写真のみ掲載する。
いずれの写真も肉眼を超えた高倍率マクロで、さらにMerrillセンサーの超高精細な描写と相まって、微小世界に隠された自然の驚異と言うものが堪能できるだろう。
しかしこの写真を撮るのは実に大変で、ワンカットを撮るだけでへとへとに疲れてしまう。というのもDP3 MerrillのRAWで撮影すると、書き込み時間が掛かって撮った画像をすぐモニターで見ることができないのだ。
この特徴はDP2 Merrillも同じだが、マクロ撮影の場合にこそ撮った直後に画像を見てピントの確認をしたくなる。さらにシビアな高倍率マクロ撮影の場合、それができないとなると非常にイライラして疲れてしまうのだ。
しかしそのような苦労の甲斐あって、他のデジカメでは得られないシャープな写真が撮れるのだから嬉しくなってしまう。感覚としてはボディは小型ながら、ワンカットごと丁寧に撮影する中判や大判フィルムカメラに近いものがある。