アイファイジャパン「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」

〜スピードクラスと容量が向上したEye-Fi最上位モデル

 アイファイジャパンが11月14日より発売する「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」は、同社が販売している無線LAN機能内蔵SDHCメモリーカード「Eye-Fi」シリーズの最上位機種。スピードクラスはClass 10に対応し、メモリー容量は16GBとなった。


Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10。USB接続型のSDカードリーダーが付属

 これまでEye-Fiのラインアップでは、2010年5月に発売された「Eye-Fi Pro X2 8GB」が、容量8GB、スピードクラスがClass 6という最上位モデルとなっていた。しかし、Class 6というスピードクラスはコンパクトデジタルカメラでは十分なものの、レンズ交換式の本格的なカメラで使うには転送速度が遅く、8GBという容量もRAW撮影では物足りない。

 「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」は、こうした転送速度や容量の面を改善し、レンズ交換式カメラでも使いやすくなった。また、スピードクラスがClass 10となったことでWi-Fiの特徴である転送機能も向上が図られており、同社によれば10%程度の転送速度向上が見込めるという。


約2倍の高速化。ワイヤレス転送も速度向上

 まずは最大の特徴である転送速度を実際にチェック。カメラはNEX-5Nを使用し、下記の条件でClass 6の「Eye-Fi Mobile X2」との速度比較を行なった。

  • 「RAW+JPEG」設定で30秒間連写したレリーズ回数をチェック。途中でバッファがフルになってもシャッターボタンは押し続けている
  • フォーカスはマニュアル。レンズは装着せず、ボディキャップを装着
  • 露出はマニュアルモードで、シャッタースピードは1/2,000秒に固定

 結果は「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」が31回、「Eye-Fi Mobile X2」が16回と、ほぼ倍近い差が開いた。比較としてスピードクラスが10の東芝製SDHCメモリーカードでも同条件で測定したところ、こちらは28回のレリーズ回数で、「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」がやや上回る結果となった。


Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10、Eye-Fi Mobile X2、Class 10の東芝製SDHCメモリーカードで書き込み速度を比較

 ダイレクトモード時のワイヤレス転送時の速度もチェックしてみた。iPod touch 第5世代にEye-Fiアプリをインストールし、Eye-Fiとダイレクトモードで接続。画像形式はJPEGとし、NEX-5Nで10枚を連続で撮影した。

 iPod touch側で転送開始と転送終了が表示されるまでの時間を計測したところ、「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」が17秒、「Eye-Fi Mobile X2」が21秒と、公称値である10%の速度向上とほぼ同水準の結果が確認できた。


機能はこれまでのEye-Fiと同一

 転送速度と容量を除けば基本的な性能はこれまでのEye-Fiシリーズと変わらない。今回利用したスマートフォンとのダイレクトモードのほか、インターネット接続が可能な無線LANを設定することで自宅のPCやオンラインアルバムサービスへ自動で画像をアップロードする機能も利用できるなど、ワイヤレスを活用した多彩な機能が魅力だ。

 設定には専用ソフト「Eye-Fi Center」のインストールが必要。対応OSはWindows XP/Vista/7、Mac OSX 10.5以降で、初回利用時はEye-Fiのメモリ内にEye-Fi Centerが保存されているため、PCにEye-Fiを装着することでインストール可能。Eye-FiのWebサイトからも無料でダウンロードすることもできる。


Eye-Fi Center

Eye-Fi Centerから設定した無線LANへ自動で接続して画像をアップロードできる

スマートフォンへ直接画像を転送するダイレクトモード

オンラインアルバムへ直接アップロードすることもできる

 Eye-Fi Centerのインストールが完了したら、利用するEye-Fiカードを引き続きPCへ装着し、接続する無線LANやダイレクトモードの利用、PCへのダウンロードやアップロードしたいオンラインアルバムなどを設定する。あとはEye-Fiを装着したカメラで撮影すれば、設定に従って写真が自動的に転送される仕組みだ。


iOS版のEye-Fiアプリ

ダイレクトモードで接続、カメラで撮影した画像が自動でアプリへ転送される

ダイレクトモード接続用のアクセスポイント設定はアプリ経由で行なえる

 最近では無線LAN搭載がデジタルカメラのトレンドとなりつつあり、Eye-Fiが登場した時に比べると無線LAN対応SDメモリーカードの独自性は薄れつつあるものの、それでも単体で直接オンラインアルバムへアップロードでき、PCやスマートフォンへの自動ダウンロードやダイレクトモードなど多彩なワイヤレス転送機能を持つEye-Fiはまだまだ魅力的な存在だ。

 「Eye-Fi Pro X2 16GB Class 10」では、Eye-Fiユーザーにとっての課題だったスピードクラスや容量が改善されたことで、デジタル一眼カメラでもぐっと使いやすくなった。アイファイジャパンによれば販売は数量限定とのことで、気になるユーザーは早めの入手をオススメしておきたい。





甲斐祐樹
電機メーカー営業を経てWebニュースサイトを運営する「Impress Watch」の記者としてネットワーク関連やブログ・SNSなどネット系のジャンルを取材。その後アジャイルメディア・ネットワークでソーシャルマーケティングに携わり、現在はフリーランスで活動中

2012/11/9 00:00