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スリムで頑強、定番ポータブルSSDに4TB版が登場

Samsung Portable SSD T7

Samsung Portable SSD T7

薄ければ薄いほど、軽ければ軽いほど、コンパクトであればあるほど評価されるモノがある。いわゆる「ポータブル」に属した持ち運びを意識した製品全般だ。

昨今では特に、ポータブルSSDにその傾向が強い。一般的に、ポータブルSSDはPCの手軽なストレージとして位置付けられているが、動画用機材の外部記録メディアとしての立場もある。

今回紹介する「Samsung Portable SSD T7」もその1つ。上位モデルの「Samsung Portable SSD T9」とあわせて有名な製品だが、5月に4TB版が出たということで、改めて紹介したい。容量としては、500GB、1TB、2TB、4TBを用意していた……のだが、500GBモデルは販売を終了。同じ製品名の2024年モデルとして、1TB、2TB、4TBの3モデル展開となった。

また、カラーバリエーションも、インディゴブルー、メタリックレッド、チタングレーの3色からチタングレー(グレー)のみに変更されている。

ヨドバシカメラでの実売価格は、1TBが税込1万9,980円、2TBが3万4,980円、4TBは税込6万4,870円。


まず注目したいのがそのサイズ感だ。ほぼクレジットカードサイズの85×57mmで、厚さは8mm。質量は約72gと、カメラのアクセサリーシュー部にマウントしても邪魔にならないコンパクトさだ。

接続インタフェースは、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)で、最大転送速度は10Gbps。分かりやすくすると、1,250MB/秒となる。

公称の転送速度は、読み出し最大1,050MB/秒、書き込み最大1,000MB/秒。

実際に、ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」で速度を測ってみると、データサイズが1GiB(GiB=ギビバイト)の時、シーケンシャルアクセス(SEQ)のリードが約1,062MB/秒、ライトが約1,041MB/秒。いずれも公称値を上回る結果となった。

検証環境

  • PC:ThinkPad X13 Gen2
  • OS:Windows 11 Pro 22H2 64bit
  • CPU:Intel Core i3-1115G4
  • メモリ:8GB
  • 接続端子:USB4(Thunderbolt4対応)

また、データサイズを2GiB、4GiB、8GiB、16GiB、32GiB、64GiBにした場合でも、数値は大きく崩れることなく、公称値を超えている。

なお、日本サムスン株式会社の販売特約店であるITGマーケティング株式会社では、直接録画できるカメラの動作確認リストを公開している。

リストによれば、富士フイルム「GFX100S II」(撮影モード:ProRes 4K 29.97fps)や、「iPhone 15 Pro Max」(撮影モード:ProRes 4K 60fps)で確認しているようだ。

「iPhone 15 Pro Max」に接続すると、「ブラウズ」機能を使ってストレージが認識できることはもちろん。付属のケーブル(10Gbps対応のUSBケーブル)を利用し、動画を直接保存することが可能。

重量(実測値)は約70g。市販のスマートフォンホルダーを、両面テープでケースに直付けしても問題ない重さだ

ProResで撮影した動画であっても、書き込み速度が220MB以上のストレージという条件をクリアしているため、利用可能だ(設定-カメラ-フォーマットで、「ProResと解像度コントロール」をオン)。

カードサイズ&8mm厚という特徴以外にも、高速転送時の製品表面温度の上昇を抑えるため、高度な熱設計を採用したという点に注目したい。これは、「Dynamic Thermal Guard」により熱を制御し、表面温度を51°未満に維持できるというものだ。

USBメモリやポータブルSSDなどは、長時間の利用および、高負荷運用により、ボディが高温になることが多々ある。

特にSSDでは、サーマルスロットリングによって機能を低下させ、発熱によるダメージを抑えるという機能があるため、いかに熱を制御するかが重要なポイントとされている。

ベンチマークを走らせると、テストの終盤には本体が高熱を持つことがあり、明らかな性能の低下を引き起こしているパターンがよくある。

そういった場合は、1度冷ましてから、再度ベンチマークを行うのだが、本製品は一通りのテストでも良好な結果が得られた。

実際、表面温度を51°未満に維持ということで、確かに温かいなと感じるものの、試用中は心配になる熱さにはならなかった。

動画撮影用のストレージとして考えるなら、いかに快適に長時間動作させられるかが重要。そういった意味でも、本製品の熱管理は強みといえそうだ。

また、最大2mの落下にも耐える堅牢性は、不意の落下を考慮すると安心材料のひとつだろう。

この他にも、PC運用時の保険となる、AES 256ビット ハードウェア暗号化によるパスワード対応など、セキュリティにも配慮している。

管理ツールの「Samsung Magician ソフトウェア」を利用することで、パスワード設定が行えるほか、健康状態、温度、データ使用容量の可視化も可能。ファームウェアとソフトウェアのアップデートにも対応する。

ベンチマーク機能もあり、試したところ、連続読み出しで975MB/秒、連続書き込みで977MB/秒となった。公称値こそ下回るが、十分な速度といえる。

なお、10Gbps対応のUSB Type-C to Cケーブルと、USB Type-C to Aケーブルの2本が付属する。

付属のUSBケーブル

どちらもケーブル長は約47cm。カメラでの利用を考えると、ケージなどの有無や設置場所によっては少し窮屈になる可能性がある。

ケーブルによって速度がかなり変わるので、ケーブルを変更する際は、10Gbps対応であることをシッカリと確認したい。

総じて、ハイパフォーマンスなポータブルSSDだなという印象。小さく・薄く、持ち運びも苦にならず、PCだけでなく動画の録画用途でも使用できるという懐の深さ。人を選ばず、誰でも満足できるポータブルSSDだと思う。

1点、気になることといえば、付属のケーブルについてだ。

どうせなら、割り切ってUSB Type-C to Cの長さ違い(約47cmと約90cmとか)にするのはどうでしょう?

PC環境では、まだまだUSB Type-Aの利用価値は高いが、どこかのタイミングで割り切る必要があるし、何より、たくさん持ってるんですUSB Type-Aケーブル……。

飯塚直

パソコン誌&カメラ誌を中心に編集者として活動後、2008年からフリーに転向したフリーランスエディター。商業の大判プリンターから家庭用のインクジェット複合機、スキャナー、デジタルカメラなどのイメージング機器が得意。現在、1児の父。子供を撮影する望遠レンズと、高倍率コンパクトデジタルカメラの可能性を探っている。