拝見!プロのカメラバッグ
三宅英文さん:防水のハードケースで機材を守る
ペリカンのバッグをカスタマイズ
(2015/3/16 09:00)
プロのカメラバッグを紹介する本コーナー。今回は、広告や雑誌などで活躍中のフォトグラファー三宅英文氏のバッグに迫る。
三宅氏は1977年生まれで、愛知県名古屋市の出身。最初からフォトグラファーを目指していたわけではなく、二十歳頃まではバイヤーを目指してアパレル会社に就職をしていた。その後、映画作りに興味を持ち映画カメラマンを志して上京するが、コネも無く叶わなかったそうだ。
そのころ、写真関係の仕事をしている人と知り合い、数人のフォトグラファーのアシスタントを経験。最初は大変だったと言うが、次第に自分で写真を撮るようになると面白いと思うようになり、写真の道へ。
28歳でフリーになると雑誌などを中心に人物、料理、風景といろいろな被写体を撮影。現在は雑誌や広告の他、映画やドラマのポスター、DVDのパッケージ写真などを主に手がけており、撮影の9割がポートレートという。現在は様々な分野の職人のポートレートを作品として撮り始めており、ライフワークにしていきたいとのこと。
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最初に譲り受けたカメラがニコンだったこともあり、フィルム時代は35mmはニコンF4をメインで使っていたそうだ。今はニコンのデジタルカメラを中心に、昔から使っている中判カメラのマミヤRZ67とマミヤ645も時々持ち出している。
現在メインで使用してるカメラバッグはペリカンのハードケース。車移動がほとんどの三宅氏は、カメラとレンズのすべてをこのペリカンケースに収めている。
緑色にはフィルムの中判カメラ一式、黒にはニコンのデジタルカメラ一式が入っており、現在多くの仕事はニコンでこなしている。最初に緑の方を購入し、後から黒を追加で入手したとのこと。
「以前はテンバなどのソフトバッグを使っていたのですが、屋外での撮影が多いため雨で機材が濡れてしまう心配がありました。それに、濡れた地面に置くと土などの汚れが付いて落ちなくなってしまうのです。そこで防水性のあるペリカンのハードケースにしました。雨でも全く大丈夫です。数年使っていますが、耐久性も問題なくて気に入っています」
三宅氏のペリカンはいずれもキャスター付きのローリングタイプ。
「重いのは大変なので車輪付きのものを選びました。とても楽でいいですね。ハンドル部分もシンプルなつくりですが丈夫で壊れません」
ローリングケースにカメラを入れると、振動による故障を心配する向きもあるが、三宅氏によると「これまで全くトラブルは無いです」とのこと。
どちらのバッグにもぎっしり機材が詰まっているが、ペリカンのケースは本来このように機材を詰め込むことは難しい。というのは、最初から内部はスポンジで満たされており、機材に合わせてくりぬいて使うのが一般的だからだ。
そこで三宅氏は、なるべく多くの機材が入るようにスポンジは取ってしまい、市販の「カメラバッグの仕切り」を使って内部のクッションにしている。
「この方法だと機材に合わせて内部のレイアウトを自在に変えることができるのもメリットです。スポンジではこうはいきませんね」
内部を見ると一目瞭然だが、ポーチや記録メディアケースといった小物も効率よく収納できる。
そして三宅氏のもう1つのハードケースが、マミヤのアルミケースだ。これはもともとカメラ用だったものを、撮影現場に持って行くパソコンバッグとして活用している。ソフトケースに入れた17型のMacBook ProやACアダプターなどがちょうど収まるサイズで重宝しているとのこと。
また、機材が少い現場の場合はロープロのバックパックもよく使うとのこと。5年くらい前に購入したもので、17型のMacBook Proが入るのが三宅氏にとってのポイントになっている。
今日、アマチュアでハードケースを使う人は少ないかもしれないが、仕切りのアイデアはソフトバッグにおいても“機材に合わせたレイアウトを作る”という参考になるのではないだろうか。
そして、マミヤのケースなど古いものも上手く活用していることにも感心させられた。皆さんも使っていないバッグがあれば、新たな活用法を見いだしてみるのも面白いだろう。
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