RECOMMEND 8/EOS R8を使うべき理由

沖縄での旅スナップを満喫——鶴巻育子

雰囲気ある3人とは沖縄本島の北にある海岸で出会った。会話を交わす前にカメラを向けても、何気なくポーズを取って応えてくれたのは、仰々しくないカメラフォルムのおかげだろう
EOS R8/RF24-105mm F4-7.1 IS STM/48mm/絞り優先AE(F5、1/500秒、+0.7EV)/ISO 100/WB:オート

キヤノン EOS R8はフルサイズ機でありながら、小型・軽量で誰もが自由かつ快適に撮影できる1台。上位機から最新のAFや連写性能など、小さなボディながら、その表現力は∞(無限大)の可能性を秘めている。

さまざまなシーンで活躍する写真家たちが、それぞれに感じたEOS R8の魅力をレコメンド(推薦)する連続企画。

第2回は、スナップ写真家・鶴巻育子さんが、EOS R8を手に沖縄を旅して感じたカメラの魅力を解き明かす。(編集部)

鶴巻育子

1972年、東京生まれ。写真家。カメラ雑誌の執筆、写真講師など幅広く活動している。個展・グループ展多数開催。2019年に東京・目黒に写真ギャラリーJam Photo Galleryを開設し、ディレクターとしても活動をしている。

EOS R8
【発売日】2023年4月下旬
【価格】26万4,000円(ボディ単体)、29万3,700円(RF24-50 IS STMレンズキット)※いずれもキヤノンオンラインショップでの税込価格

【SPEC】
有効画素数:約2,420万画素
映像エンジン:DIGIC X
常用ISO感度:100~102400
連続撮影枚数:約40コマ/秒(電子)、約6コマ/秒(電子先幕)
ファインダー:0.39型約236万ドット
背面モニター:3型約162万ドット
外形寸法:約132.5×86.1×70.0mm
質量(バッテリー、メディア含む):約461g

旅人の好奇心で沖縄の色と空気感を写したい

さて、EOS R8と一緒にどこへ行こうか。まだ寒い東京を離れて暖かい場所に行こう。そんな単純な理由で沖縄へと旅立った。

独特な文化や歴史のある沖縄は、テーマを持ったところでたった1週間では撮れるはずがない。あくまでも旅人という好奇心の目で、ただフットワーク良く撮ることを楽しむ。そんな撮り方が、ぎゅっとコンパクトなEOS R8にはよく似合う。

場所を特定せずに気になる場所を見つけて、北から南までくまなく巡る。沖縄の色や空気感をどれだけ再現できるか、それが今回のEOS R8との旅の醍醐味だった。

沖縄はどの街を歩いてもそこら中で猫に出くわす。廃墟となった古い建物は猫たちの恰好の住処となっている。曇り空でも、不思議と土地ならではの空気感が表れるのが沖縄だ
EOS R8/RF24-105mm F4-7.1 IS STM/105mm/プログラムAE(F8、1/160秒、+0.3EV)/ISO 125/WB:オート

人物や動物に即対応できる被写体検出が便利

面白いほど被写体をトラッキングしてくれる被写体検出機能を多用した。人物撮影での瞳検出の精度はもちろん、予想できない動きをする鳥や動物の検出精度の高さには驚いた。

画面内に被写体を入れた途端に素早くキャッチして追い続けるのはゲームのような感覚。M-Fnボタンに機能を割り当てて、通常の1点AFと使い分けやすくしている。

M-Fnボタンで検出する被写体を選択できるようにボタンカスタマイズしている
赤い髪の毛が印象的だった女性。声を掛けると慣れた感じで表情を作ってくれた。AFはカメラ任せで、一瞬の表情を逃さずに捉える。最近は便利な機能を積極的に使うことにしている
EOS R8/RF24-105mm F4-7.1 IS STM/70mm/プログラムAE(F10、1/200秒、-0.7EV)/ISO 100/WB:オート
鳥や馬の検出も得意なEOS R8はピッタリと瞳にピントが合う。連写機能と併せて撮影し、ベストカットを選んだ
EOS R8/RF50mm F1.8 STM/50mm/プログラムAE(F1.8、1/60秒、-1.0EV)/ISO 400/WB:太陽光
潔さが魅力の小型・軽量標準ズームRF24-50mmは旅に最適
RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM
【発売日】2023年4月下旬
【価格】5万380円 ※キヤノンオンラインショップでの税込価格

広い焦点距離をカバーするズームレンズは便利な分、かえってフレーミングに迷ってしまうことがある。RF24-50mm F4.5-6.3 IS STMは、24、28、35、50mmとスナップの定番とも言える4つの焦点距離をカバーしている。そう考えると、潔くフレーミングを決めて、軽快に撮影が進む。

広角端でも不自然なゆがみが生じず、コンパクトなのに描写も美しい。レンズ内手ブレ補正が搭載されており、AFもスムーズなので、失敗がほとんどない。沈胴式のため、携帯するときはコンパクトにまとまるのが、旅にはとてもありがたい。

ズームリングには定番の焦点距離が刻まれているので、時には気に入った焦点距離に固定して単焦点レンズのように使ってみるのも面白い。工夫次第で楽しみが広がるレンズだ
ついつい庶民的で古い通りに引かれる。街の様子を目で見たままに捉えるのに、24-50mmの画角はちょうど良い。ひたすら歩くスナップでは軽量・コンパクトなカメラとレンズであれば疲れも軽減される
EOS R8/RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM/32mm/プログラムAE(F11、1/300秒、-1.3EV)/ISO 100/WB:オート
数年振りに会ったという2人の絶妙な距離感を再現。意図に合わせて臨機応変に対応できるのはズームレンズならでは。遠景までしっかりと表現してくれる描写力のおかげで広角ならではの立体感ある描写が得られた
EOS R8/RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM/31mm/プログラムAE(F7.1、1/125秒、+0.3EV)/ISO 100/WB:オート

公共空間で迷惑をかけないサイレントシャッター

飛行機や電車などでの移動中、車窓からの景色を好んで撮影しているが、シャッター音が車内に響くと迷惑なので、サイレントシャッター機能を使う。静かな屋内や動物撮影で有利な場面もあった。人物撮影では、シャッター音によって被写体とリズムを合わせるので、場面によって使い分けている。

サイレントシャッター機能を入にすると電子シャッターで静かに撮影できる
宮城で電車から車窓を眺めていると、鳥たちが一斉に羽ばたいた。サイレントシャッター機能でシャッター音を気にせずに枚数を重ねることができた
EOS R8/RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM/30mm/プログラムAE(F10、1/200秒、-0.7EV)/ISO 100/WB:オート

小さいボディながら作品画質で描けるカメラ

EOS RPユーザーでもある私にとってEOS R8は自然と手になじみ、初めから使い慣れたカメラで撮影している感覚だった。今回は、まず小型・軽量のEOS R8により無理なく撮影三昧の旅ができたことに満足している。上位機種譲りの描写力で繊細な空の色や街並の空気感も思うように写し出せた。

親子が作っていた砂の山に貝殻でできたかわいい顔が。RF15-30mmの広角端で近づき背景の海を入れてローポジションでフレーミング。このような場面ではバリアングルモニターが役に立つ
EOS R8/RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM/15mm/プログラムAE(F8、1/200秒、+0.7EV)/ISO 400/WB:オート

被写体検出機能やサイレントシャッター機能など、各種機能を積極的に使ってみたことも功を奏して、想像以上にさまざまな場面を切り取れた。フルサイズにこだわっているわけではないが、作品制作をする上で慣れと安心感がある。EOS R8は記録ではなく作品として残すための旅写真の撮影に最適なカメラだと言える。

アメリカ文化を色濃く感じられる金武町。老朽化した建物が多く人もまばらだが、それがかえって独特の雰囲気を醸し出していた。曇天の空が階調豊かに描かれて、怪しげに仕上がった
EOS R8/RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM/28mm/プログラムAE(F9、1/125秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:オート

協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

鶴巻育子

1972年、東京生まれ。写真家。カメラ雑誌の執筆、写真講師など幅広く活動している。個展・グループ展多数開催。2019年に東京・目黒に写真ギャラリーJam Photo Galleryを開設し、ディレクターとしても活動をしている。