RECOMMEND 8/EOS R8を使うべき理由

東北6県の旅で感じた「軽量フルサイズ」の魅力——仁科勝介

山形でバスに揺られる。山間部に進むにつれて雪は強まり、勢いよく流れていった。ファインダーが見やすいので、車窓からでもピントを確認しやすい
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F5.6、1/500秒)/ISO 200/WB: 4300K

キヤノン「EOS R8」はフルサイズ機でありながら、小型・軽量で誰もが自由かつ快適に撮影できる1台。上位機から最新のAFや連写性能など、小さなボディながら、その表現力は∞(無限大)の可能性を秘めている。

さまざまなシーンで活躍する写真家たちが、それぞれに感じた「EOS R8」の魅力をレコメンド(推薦)する連続企画。

第1回は、全国各地を巡り、その情景を記録する、旅する写真家・仁科勝介さんにEOS R8の魅力を語ってもらう。(編集部)

仁科勝介

1996年、岡山県生まれ。広島大学卒。学生時代に全1,741市町村を巡り、旅の記録をまとめた本、『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)を出版。また、2022年11月には写真集『どこで暮らしても』を自費出版で刊行している。

EOS R8
【発売日】2023年4月下旬
【価格】26万4,000円(ボディ単体)、29万3,700円(RF24-50 IS STM レンズキット)※いずれもキヤノンオンラインショップでの税込価格

【SPEC】
有効画素数:約2,420万画素
映像エンジン:DIGIC X
常用ISO感度:100~102400
連続撮影枚数:約40コマ/秒(電子)、約6コマ/秒(電子先幕)
ファインダー:0.39型約236万ドット
背面モニター:3型約162万ドット
外形寸法:約132.5×86.1×70.0mm
質量(バッテリー、メディア含む):約461g

冬の東北6県の情景と出会う1週間旅

軽くてコンパクトながら、十分な撮影機能を兼ね備えた実用性を持っているEOS R8。2つの強みを兼ね備えているならば、どんな旅でも一緒に巡れるのではないか。カメラにとっては少し過酷な環境かもしれないが、その実力を試してみるためにも、まだ冬の只中にある東北を1週間かけて巡ることにした。

山形の鶴岡、秋田の横手、青森の弘前、岩手の遠野、宮城の鳴子、福島の会津若松。ショルダーバッグにEOS R8を忍ばせて、公共交通機関だけで1日1県ずつ巡る旅に出る。新しいカメラの感触を確かめながら、各地の情景を写し出したい。

福島で電車の車窓からサイレントシャッターで撮影。ローリングシャッターのゆがみが少なく、撮ることに集中できた。雪に覆われた山のグラデーションも、そのままに表してくれている
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.8、1/1,600秒)/ISO 320/WB: 4300K

広い階調再現性と高感度画質が魅力的

約2,420万画素と必要十分な画素数で、色の階調がつぶれないし、夜に高感度で撮影してもノイズがあまり出ない。雪化粧をした東北の白のトーンや、車内と車窓の明暗差をしっかりと描き分けてくれる。

旅の初日、山形に向かう電車内。険しい山々が流れている車窓を撮りたかった。車内と屋外の明暗差は大きいが、どちらも階調を残してくれた
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.8、1/1,600秒)/ISO 320/WB: 4300K

また、画質低下がほとんどなくデータサイズを抑えられるC-RAWを選べるので、必然的に枚数が多くなる旅の撮影でも、データ管理がしやすい。

C-RAWにすることでファイルサイズを抑制可能。ボタンカスタマイズで記録画質に素早くアクセスできるようにしておくと、必要に応じてすぐに変更可能だ
組み合わせたいのは1本ですべてがまかなえる“万能単焦点レンズ”
RF35mm F1.8 MACRO IS STM
【発売日】2018年11月15日
【価格】7万7,000円 ※キヤノンオンラインショップでの税込価格

RF35mm F1.8 MACRO IS STMは開放F1.8の明るさで、5mほど離れた対象物でも前後のボケを生かした写真が撮れるのでスナップに最適。さらにハーフマクロ性能を有するので、地域の情景から卓上の名物料理の撮影までカバーできて、まさに旅の万能レンズと呼べる1本だ。

EOS R8の最高シャッター速度は電子で1/16,000秒だから、明るい屋外でも開放絞りを選べる。AFは安定していて気持ち良く、レンズに搭載された手ブレ補正もしっかり効いている印象。

すっきりとした信頼のおける描写で、今回はこの1本だけで旅をした。

約305gと軽量なレンズはEOS R8との相性が抜群。カメラと合わせても約766gと軽快に持ち運べる。ハンドストラップを使って自由にカメラを操作するスタイルがしっくりとはまる
神社で雪解けの水が砂利に落ちて、しぶきが跳ねていた。ハーフマクロ性能を生かし、近くに寄ってその様子をクローズアップした。35mmという広めの画角のおかげで、背景もしっかりと写し込める
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.8、1/1,250秒)/ISO 100/WB: 4300K
宮城の早朝。月が雪の地上を照らしている様子が美しかった。まだ薄暗く、絞りを開け気味で撮影したが、遠景まで十分に描写してくれた。EOS R8の高感度性能と組み合わせれば暗いシーンの撮影がしやすい
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.5、1/40秒)/ISO 1250/WB: 4300K

カメラが小さいとスムーズにバッグから出し入れできて速写性が高まる

スナップを撮ることが多いので、カメラは常に持っているか、ショルダーバッグの中から、いつでも取り出せる状態にしている。

EOS R8はコンパクトで、バッグから取り出しやすいし、仕切りを使えば日用品も同じバッグに入れられる。旅の荷物の管理もカメラの準備も両方がしやすいと感じられた。

山形で冬の日本海を訪れたとき、一瞬柔らかい日差しが現れた。すぐ波に近づいて波跡の光を撮る。気軽に持ち歩いて、いつでも撮りたいという思いに応えてくれる
RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F5.6、1/1,600秒)/ISO 200/WB: 4300K

ボタンカスタマイズでWBの変更やサイレントモードに素早くアクセス

使用過程で設定は変わるだろうが、AF-ONボタンにサイレントシャッター、十字キーにホワイトバランスや記録画質の変更を割り当てている。カスタマイズできる箇所が多くて扱いやすい。また、MFで撮影することがあるため、M-Fnボタンに拡大機能、AEロックボタンにピーキングを設定している。

宮城で電車から車窓を眺めていると、鳥たちが一斉に羽ばたいた。サイレントシャッター機能でシャッター音を気にせずに枚数を重ねることができた
キヤノン RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F4、1/2,000秒)/ISO 100/WB: 4300K

撮影に没頭できる小型サイズがEOS R8の最大の魅力

旅にどんなカメラを持っていくか。その点で、EOS R8はフルサイズ機としてこの上なく軽いというシンプルな強みがある。この強みは見た目で評価するより、自分で手に持ったときに初めて体に染み込んでくる。移動を続ける旅の中、雪が降ろうと、夜になろうと、集中力を切らさずに撮影できた。ピンときた瞬間にシャッターを切れるので、1日1県1エリアと割り切ったコンパクトな旅の中で、その足跡を確かに写真として残せる。

街灯に照らされる雪がキラキラと舞っていた。暗い場所でもノイズが少ないので、夜の雪を、高速シャッターと低速シャッターのどちらでも撮れると思った
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 640/WB: 4300K

画質面で最も重要視しているのは階調再現性だが、出てくる絵もその期待に応えてくれるものだった。「カメラとしてやれることは果たした」と、EOS R8は写真を撮影者に託している気がした。ならば撮った写真の責任は、自分自身にある。だからこそ、もっと写真がうまくなりたい。そう思わせるカメラだった。

青森で電車を降りると、朝日がホームに差し込んだ。地元の方々の日常が感じられて、すぐにカメラを持った。素早く準備をして写真が撮れるのは大きな強みだ
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F5.6、1/400秒)/ISO 800/WB: 4300K

協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

仁科勝介