デジカメドレスアップ主義
リアルレザーの貼り革ドレスアップ
ライカM8 + Summilux-M 35mm F1.4
Reported by澤村徹(2013/11/13 08:00)
カメラの貼り革を交換するのは、どのようなタイミングだろう。ケースやストラップと異なり、貼り革はボディに直接手を下す。どちらかといえば改造に近い行為だ。購入後すぐに貼り革交換するのは、なかなかのツワモノといえる。筆者の場合は、「気持ちの上で減価償却できた」ときに貼り革交換することが多い。これまでたっぷりと楽しんだカメラに、もうひと花咲かせたい。そんな気持ちで貼り革を交換する。今回は5年にわたって使用した私物のライカM8を使い、貼り革とエイジング加工で外装ドレスアップしてみた。
ライカM8のサードパーティ製貼り革キットは、筆者の知るかぎり、これまでほとんど販売されていなかった。ボディ前面にフレームセレクトレバーがあり、これを取り外さないと貼り革交換できない。フレームセレクトレバーを取り外すには特殊な工具が必要で、自力で貼り革交換するのが難しいカメラだ。ライカM8のみならず、ライカM9、ライカMモノクロームでも同様のことがいえる。デジタルM型ライカの貼り革キットが販売されなかったのは、こうした理由があるからだ。
そうしたなか、アルテ・ディ・マーノの貼り革キットはデジタルM型ライカ用の貴重な選択肢だ。同製品を扱うデジタルホビーでは、貼り革交換に必要な工具やアイテムも合わせて販売している。これらを買いそろえれば、自力でライカM8の貼り革交換が可能だ。
また、デジタルホビーでは4,200円で貼り革交換サービスを行なっている。今回貼り革作業を取材したところ、フレームセレクトレバーの着脱は工具があれば簡単に行える。ただし、貼り革を剥がすとボディに両面テープの糊がべったりと残り、これを天然ゴム製クリーナーできれいに取り除く必要がある。この作業を怠ると、貼り革が浮いてしまい、使っているうちに剥がれてしまう。糊の除去は貼り替え作業でキモとなる部分だ。この作業は職人でも根気が必要で、今回の取材でも30分近くかけて糊を取り除いていた。4,200円で貼り革交換してもらえるなら、お金で解決した方が早いという印象だった。
さて、アルテ・ディ・マーノの貼り革キットは、リザード、スネークといった爬虫類系のリアルレザーを用いている。型押しの爬虫類柄と異なり、独特の光沢感、そして本物ならではのディテールが美しい。今回はKarung skin(ヤスリミズヘビのリアルレザー)を選んでみた。紙やすりで表面を削ったような荒々しい表情が魅力だ。この貼り革キットはライカM8/M9/M9-P/M(Typ240)に対応し、レザーの種類も豊富にそろっている。
Karung skinの貼り革に合わせ、カメラ本体にも加工を施してみた。ライカカスタムで有名なルミエールに、赤バッチとM8ロゴの黒塗り、エッジ部分の地金出しを依頼した。実のところ、ルミエールではデジタルM型ライカのカスタムは受け付けていないのだが、今回特注という形で試験的に作業をお願いした。マッドブラックのボディから地金がちらちらと輝き、妖しくも美しい佇まいだ。ハーレーのラットスタイルを彷彿とさせる仕上がりである。
ライカM8を使い込んだ風合いにドレスアップしたので、今回は第1世代のズミルックス35mm F1.4を合わせてみた。ブラック鏡胴が鈍い光沢を放ち、ツノ付きのピントリングがクラシカルな雰囲気を醸す。今回のドレスアップと相性のよいオールドライカレンズだ。開放近辺ではソフトフォーカス風の滲みが発生し、オールドレンズらしさを実感しやすいクセ玉である。
- ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。