デジカメドレスアップ主義

リアルレザーの貼り革ドレスアップ

ライカM8 + Summilux-M 35mm F1.4

  • ボディ:ライカM8
  • レンズ:ライカ ズミルックス-M 35mm F1.4
  • 貼り革:アルテ・ディ・マーノ Karung skin(デジタルホビー)
  • 外装加工:ルミエール 特注エイジング加工

 カメラの貼り革を交換するのは、どのようなタイミングだろう。ケースやストラップと異なり、貼り革はボディに直接手を下す。どちらかといえば改造に近い行為だ。購入後すぐに貼り革交換するのは、なかなかのツワモノといえる。筆者の場合は、「気持ちの上で減価償却できた」ときに貼り革交換することが多い。これまでたっぷりと楽しんだカメラに、もうひと花咲かせたい。そんな気持ちで貼り革を交換する。今回は5年にわたって使用した私物のライカM8を使い、貼り革とエイジング加工で外装ドレスアップしてみた。

 ライカM8のサードパーティ製貼り革キットは、筆者の知るかぎり、これまでほとんど販売されていなかった。ボディ前面にフレームセレクトレバーがあり、これを取り外さないと貼り革交換できない。フレームセレクトレバーを取り外すには特殊な工具が必要で、自力で貼り革交換するのが難しいカメラだ。ライカM8のみならず、ライカM9、ライカMモノクロームでも同様のことがいえる。デジタルM型ライカの貼り革キットが販売されなかったのは、こうした理由があるからだ。

 そうしたなか、アルテ・ディ・マーノの貼り革キットはデジタルM型ライカ用の貴重な選択肢だ。同製品を扱うデジタルホビーでは、貼り革交換に必要な工具やアイテムも合わせて販売している。これらを買いそろえれば、自力でライカM8の貼り革交換が可能だ。

アルテ・ディ・マーノのKarung skinは、デジタルホビーにて1万9,800円。M9用やM240用もある
貼り替え作業はデジタルホビーに依頼した。貼り革張り替えサービスは4,200円だ
貼り革は精密にカットされ、ライカボディにジャストフィットする。背面の処理も美しい

 また、デジタルホビーでは4,200円で貼り革交換サービスを行なっている。今回貼り革作業を取材したところ、フレームセレクトレバーの着脱は工具があれば簡単に行える。ただし、貼り革を剥がすとボディに両面テープの糊がべったりと残り、これを天然ゴム製クリーナーできれいに取り除く必要がある。この作業を怠ると、貼り革が浮いてしまい、使っているうちに剥がれてしまう。糊の除去は貼り替え作業でキモとなる部分だ。この作業は職人でも根気が必要で、今回の取材でも30分近くかけて糊を取り除いていた。4,200円で貼り革交換してもらえるなら、お金で解決した方が早いという印象だった。

貼り革作業手順

ドライバーで端子部分の樹脂パーツを取り外す。
ライカプライヤーでフレームセレクトレバーをゆるめ、ボディから取り外す。ライカプライヤーはデジタルホビーで2,400円だ
ボディからフレームセレクトレバーを取り外したところ。これで貼り革が剥がせるようになる
貼り革の隅にヘラを差し込み、貼り革を剥がしていく
長年使ったボディは貼り革の糊が残ってしまう。これをきれいに取り除く必要がある
天然ゴムクリーナーでボディに残った糊を取り除く。天然ゴムクリーナーはデジタルホビーにて600円で購入できる
クリーナーでこすること30分、やっとボディがきれいになった。この作業はかなり骨が折れる
新しい貼り革をボディに貼り付ける。位置がズレないように慎重に作業していく
一通り貼り付けたら、ヘラを使って隅の浮きを押えていく
これで貼り革交換完了だ。職人による作業でも、40〜50分程度の時間を要した

 さて、アルテ・ディ・マーノの貼り革キットは、リザード、スネークといった爬虫類系のリアルレザーを用いている。型押しの爬虫類柄と異なり、独特の光沢感、そして本物ならではのディテールが美しい。今回はKarung skin(ヤスリミズヘビのリアルレザー)を選んでみた。紙やすりで表面を削ったような荒々しい表情が魅力だ。この貼り革キットはライカM8/M9/M9-P/M(Typ240)に対応し、レザーの種類も豊富にそろっている。

型押しではなく、本物の爬虫類レザーを使用している。硬い肌ざわりがリアルレザーの証だ

 Karung skinの貼り革に合わせ、カメラ本体にも加工を施してみた。ライカカスタムで有名なルミエールに、赤バッチとM8ロゴの黒塗り、エッジ部分の地金出しを依頼した。実のところ、ルミエールではデジタルM型ライカのカスタムは受け付けていないのだが、今回特注という形で試験的に作業をお願いした。マッドブラックのボディから地金がちらちらと輝き、妖しくも美しい佇まいだ。ハーレーのラットスタイルを彷彿とさせる仕上がりである。

ルミエールで赤バッチとロゴを黒塗りしてもらった。ロゴは白塗装を剥がし、墨入れしている
ボディのエッジを研磨し、地金を露出させる。真鍮でないところが残念だが、雰囲気は上々だ
フレームセレクトレバーにもエイジング加工を施す。ルミエールならではの細部にこだわった処理だ

 ライカM8を使い込んだ風合いにドレスアップしたので、今回は第1世代のズミルックス35mm F1.4を合わせてみた。ブラック鏡胴が鈍い光沢を放ち、ツノ付きのピントリングがクラシカルな雰囲気を醸す。今回のドレスアップと相性のよいオールドライカレンズだ。開放近辺ではソフトフォーカス風の滲みが発生し、オールドレンズらしさを実感しやすいクセ玉である。

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm
Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/90秒 / F1.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm
Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/250秒 / F1.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm
Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/45秒 / F1.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm
Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/1,500秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm
Leica M8 / Summilux-M 35mm F1.4 / 3,916×2,634 / 1/1,500秒 / F2.8 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 35mm