フォトアプリガイド

TouchRetouch(Android、iOS)

スマホ写真から邪魔な写り込みを消す!

 スマートフォンを使った撮影において、三脚で固定し、構図を考えながら時間を掛けて撮る……そういった使い方はあまりない。多くの場合はスナップだろう。であるならば、余計な“もの”が写り込んでしまうこともしばしば。

 そこで今回は、写り込んでしまった余計な“もの”を簡単に除去・補間するアプリ「TouchRetouch」を紹介する。

 試用バージョンは3.2。価格は99円だった。

「TouchRetouch」のスタート画面。編集元の写真を選ぶ「ギャラリーから写真を開く」や、その場で写真を撮る「カメラで写真を撮る」のほか、基本/上級の使い方を学べるチュートリアルを収録

 スタート画面で「ギャラリーから写真を開く」をタップすると、端末に導入したギャラリーアプリが起動する。

「ギャラリーから写真を開く」をタップすると、画像再生アプリが起動する。利用したい写真をタップして選択しよう

 写真をタップすると、選んだ写真により解像度を「オリジナル」、「中位」(オリジナルの1/2)、「小さい」(オリジナルの1/4)といった最大で3種から選択できる。

編集元の写真をタップすると、解像度の選択ウィンドがポップアップする。「オリジナル」「中位」「小さい」の3種から選ぶ

 ちなみに、元々の解像度が低い場合は、「オリジナル」しか選択できない。ここで選んだ解像度は、編集後に保存する解像度となる。保存領域に余裕があるなら、なるべく「オリジナル」を選びたい。

編集元の解像度が元から低い場合は、「オリジナル」しか選択できない

 写真を選択すると、編集画面が表示され、いよいよ編集開始となるわけだが、邪魔な“もの”を消すだけなら、基本的に利用する機能は少ない。画面左下の「投げ縄」あるいはその右隣の「ブラシ」を使って、消したい“もの”を選択し、「スタート」をタップして実行するだけだ。ちなみに、「ブラシ」の右隣にある「移動」をタップすると、画面をフリックして移動できるほか、ダブルタップにより等倍(100%)表示させられる。ピンチイン/ピンチアウトにも対応するので、操作部を拡大表示することで、編集が楽になる。

編集画面。画面下部に編集ツールが並ぶ

 邪魔な“もの”を消す際に利用する「投げ縄」と「ブラシ」だが、基本的な操作は一般的な編集ソフトと同じだ。「投げ縄」は、対象を囲むように範囲を指定する。「ブラシ」は、直接対象をなぞって指定するといった具合。なお、「ブラシ」はブラシの太さの変更に対応する。

「投げ縄」を使って対象を選択したところ。画面左上には囲み具合が別途表示される。なお、実画面では、対象が指で隠れて見えないという状況だ
囲み終わって指を離すと、範囲指定が完了する。赤くなっている部分が対象範囲だ
「スタート」をタップすると、対象範囲の削除・補間処理がスタートする
対象範囲に指定した部分の削除・補間が完了した

 ちなみに、両ツールを利用する際、画面左上に編集状況が表示される。画面を直接触れて操作するので、対象が指で隠れてしまい、どこまでツールを動かしたかわからなくなるのを防ぐためだ。

 スクリーン表示(画面サイズに合わせて表示)の状態で各種ツールを使うのもよいが、細かな指定ができずによけない部分を選択してしまい、結果として補間が上手くいかないことがある。できる限り拡大表示して作業したいところだ。

拡大してみると、補間具合が好ましくない

 また、「投げ縄」と「ブラシ」を使って範囲を細かく指定し、その都度スタートすることで、処理精度を上げることが可能だ。手間はかかるが、その分精度が上がる。ただ、実際に作業すると、さほど神経質にならなくてもよいので、ストレスは少ない。

細かい作業になるなら、画面はなるべく拡大したい
拡大したことで、「投げ縄」の範囲指定がより細かくなった
「ブラシ」を使うのも有効。スライダを使ってブラシの太さも変更できる
「ブラシ」を利用する際も、画面左上に利用状態が表示される
一気に選択して削除・補間処理を行なうのもよいが、少しずつ範囲指定し、スタートすることで、精度が上がる

 細かく作業していても、背景色・柄が多い箇所は、処理が上手くいかない。そんな場合は改めて処理を行なおう。消した部分の色を周りの色から補完する関係で、例えば、本来であれば黄色であるはずなのに、処理した部分の周りが白色だったため、消した部分に白色が入り込むといったことがよくある。そうした場合は、白色部分にツールを使うと、周りの黄色に影響を受けて、キレイに補完できるわけだ。一度に上手くいかなくても、再度処理を行なうことでより完成度を高められるわけだ。

1回目の処理よりも違和感が大分減った。しかしまだまだの印象。黄色いタイルであるはずなのに、白いタイルの色を引きずってしまった。処理としては失敗だ
今度は、黄色いタイルに入り込んだ白色部分にツールを使った。処理の結果はご覧の通り。これなら満足できるできだ
引きの状態。これなら処理したことがわからないだろう
元の状態がこれだ

 ちなみに処理が上手くいかない場合は、画面上部の「やり直し」をタップすることで、直前の状態に戻せる。

「TouchRetouch」は頻繁に使うタイプのアプリではないが、常用編集アプリにはない“削除”の手軽さがある。“撮るつもりのないものが写り込んでしまった”あるいは、“あのオブジェがなければ完璧なのに”といった状況にとって最善手なのである。写真としての完成度を高めるアプリとして注目したい。

飯塚直