写真展レポート

用紙の特徴を作品表現に取り入れるには?

プリントの楽しみを紹介するエプサイト「プリント解体新書」レポート

用紙の選び方について解説をしてくれた小島勉さん(株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属)

エプソン販売株式会社は東京・丸の内にある「エプソンスクエア丸の内」のエプサイトギャラリーで写真プリントやレタッチを主軸とした企画展「プリント解体新書 -レタッチ&インクジェットメディアの世界-」を開催している。会期は2019年8月30日から2019年9月24日にかけて。今回、内覧の機会を得たので、会場の展示内容やポイントについてお伝えしていきたい。

レタッチってどこまでやるもの?

本展は、昨年の夏に開催された同名企画展の第2弾。今回のテーマは「レタッチ」と「インクジェットメディア(用紙)」となっており、用紙の質感を表現に取り入れる際のポイントや、そうした作品づくりをおこなう上でレタッチをどのように進めていけばいいのか、といった点が掘り下げて紹介されている。

デジタルデータの利点として幅広い現像処理やレタッチができるようになった反面、何をどこまでやればいいのか、といった疑問を抱いたことはないだろうか。この疑問に対する正解は1人1人ちがってくるため、一定の答えはない、というのが現実だ。

しかし、本展ではそうした疑問に対して写真家2名がどんなところに注目して、より作品の質を向上させていったのかが紹介されている。

教えてくれている写真家は鉄道写真で知られる中井精也さんと、ポートレートの魚住誠一さんだ。魚住さんの作品はレタッチの前と後の双方が展示されており、どんなところに注目して調整していったのかがわかる展示となっている。中井さんは、額装やメディウムの使用などプリントの先を紹介している。

魚住さんのレタッチ例に関する展示

紙が変わると写真の印象も変わる

本展のハイライトともなっているのが、数多くの用紙でどのように写真の印象が変わってくるかを紹介しているスペースだ。

ここでは、用紙の白色度の違いや質感が1枚の写真の印象をどのように変えるのかを体験できる。透明フィルムにプリントされた写真の下に様々な用紙をさしこむことで、変化を見比べられるというもの。用紙上に直接プリントしているわけではないので、質感などを確かめることは難しいが、紙色の違いで作品のニュアンスが変わることが分かりやすい。

もちろん、用紙ごとの質感や表現を確かめることができる展示も用意されている。同一のイメージでも用紙ごとに色の出方が少しずつ違うことがわかる。

用紙選びのポイントとは?

会場には、プリンティングディレクターの小島勉さんによる用紙の選び方が解説されているコーナーもある。

小島さんによれば用紙は[1]紙色、[2]光沢感、[3]テクスチャーの3点にわけて考えていくと選びやすくなるのだそうだ。

まず1番目の紙色は、作品そのものに影響する要素だという小島さん。光沢感は、透明感や華やかさといった要素に、テクスチャーは作品の味わいを表現する要素になると説明してくれた。用紙の白色度を測定して客観的に紙の性質を理解することなど高度な解説もあったが、大切なのは“自分なりの基準を持つ”ことだという。

会場には実際にプリントされたものが、カラーとモノクロでそれぞれずらっと並べて展示されているため、色味なども直接比較できてわかりやすい。用紙から感じ取れる情報量についても納得できる展示となっており、自分好みの色調や表現を探す楽しみがある。

このほか、紙の質感を表現に取り入れたレタッチの解説も。作品は小島さん自身が撮影したものだそうだ。冒頭の展示同様、作品づくりの過程が伺える内容となっており、紙を作品づくりにいかしていくヒントがもらえる内容となっている。

プリントの楽しみ方の紹介も

会場ではプリント後の楽しみ方として、額装によって写真の印象が変わることを感じられる展示も用意されていた。作品プリントだけの場合や、大きな額の中央に小さめに配置するなど、加工の特徴なども含めて紹介されている。

カラフルな台紙とあわせてオブジェクトのようにして楽しむなど、プリントをカジュアルに楽しむ提案もみられた。

コンテストなどへの応募や、プリンターとディスプレイの色合わせを含めた総合的な作業環境の提案など、プリントを軸とした提案にあふれた空間となっている。

概要

会期

2019年8月30日(金)~9月24日(火)

開館時間

10時00分~18時00分(最終日は14時00分まで)

会場

エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F

休館日

日曜、指定の休日

入場料

無料

本誌:宮澤孝周