写真展レポート

富士フイルム「“PHOTO IS”想いをつなぐ。50,000人の写真展 2019」

過去最大の応募点数 写真家の選評コメントが聞けるコーナーも

富士フイルム株式会社は、国内最大級の参加型写真展「“PHOTO IS”想いをつなぐ。50,000人の写真展2019」を7月12日より開催する。本展は、一般にひろく展示作品を募る公募型の作品展となっており、開催回数は今年で14回目。今回は日本国内から過去最高となる5万7,564点の作品が寄せられたという。

富士フイルム東京本社の「フジフイルム スクエア」および東京ミッドタウンの東京会場にてスタートし、11月10日までの期間で全国33会場へ巡回、メイン7会場・サテライト23会場・鉄道博物館3会場でそれぞれ作品が展示されることになる。

2019年の応募作品の傾向

2006年にはじめて開催された時の作品応募点数は1万64点だった同展覧会だが、2017年には5万点を超える作品が集まるようになっていった。そして今回集まった作品点数は前回2018年の5万6,152点から103%の伸びを示す5万7,564点に達したという。

今回集まった作品の傾向について、富士フイルム株式会社 宣伝部長 青木宇雄氏より説明があった。

青木宇雄氏(富士フイルム株式会社 宣伝部長)

2019年の応募作品の傾向としては、スマートフォンのカメラ画質向上やインスタグラムなどのSNSツールの普及などに伴って「“魅せる写真”への意識の高まり」があると、青木氏は分析する。撮影機材の普及や撮影機会の増大によって、ひと手間ある作品や躍動感あふれる作品、人物や動物の表情を捉えた作品が多くなってきていると説明した。

また、今回の展覧会ではスマートフォンからの応募が5割以上となっているとのことで、こうした点も2019年の応募作品傾向を裏づける内容となっているといえそうだ。

男女別の応募者をみると、男性では47%、女性は53%の内訳になっているとのことだった。年齢は40代が最も多く22%を占めている。次いで多いのが30代と50代で同率の18%。10代、20代も10%以上の応募率を占めており、幅広い層が写真を楽しんでいることがわかる。

応募への敷居が低く誰でもエントリーしやすい展示

幅広い層から作品が集まっているのは応募へのハードルの低さや、そのコンセプトにもありそうだ。

青木氏によれば、本写真展の特徴をまとめると、以下の3点のようになるという。

[1]コンテスト形式ではなく応募者全員の作品が展示されていること
[2]写真に込めた思いを添えて応募してもらうことで、出展者と来場者が思いを共有できること
[3]幅広い年齢層が参加しており、世相を映した撮り方や被写体など、写真を通して“今”がみえること

写真プリント部門では、プリント応募が前提となるものの、前年に引き続いて応募してもらえるリピート率も高く、上記したような点や「絆ポスト」という応募者と会場来場者をつなぐ感想やメッセージを伝えるシステムにより、応募者の満足度が引き出されているのだろう、との分析があった。

絆ポストは、来場者に記入してもらったメッセージを預かり、出展者へとそのメッセージを届けるというもの。前回は5万7,000通がとどいたとしており、「楽しみにしている」という声も多いという。

メッセージ記入用のカード
絆ポスト

著名人や写真家が応募作品をセレクト

展示スペースでは、著名人や写真家がそれぞれ応募作品をセレクトした展示コーナーも設けられている。

著名人は、小山薫堂さん、佐野史郎さん、Dream Ayaさん、広瀬すずさん、藤巻亮太さん、松任谷正隆さんの6名。写真家は織作峰子さん、かくたみほさん、辰野清さん、HASEOさんの4名だ。

各氏による作品セレクトのポイントを聞くことができる工夫もある。6月に発売された音声記録に対応したチェキ「instax mini LiPlay」を活用したもの。作品展示パネルに設置されている各氏を写したチェキにプリントされたQRコードを読み込むことで、その場でメッセージを確認できるというもの。

チェキシリーズでおなじみの広瀬すずさんは、「どの作品も愛情や熱量を感じられるものばかりで、写真を見るだけで写っている方や撮っている方の感情や情景が浮かぶようでした」とコメントしている。

広瀬すずさん

これらのセレクト写真は、メイン7会場で共通して展示されることになるそうだ。

展示構成

今回の展示は、写真プリント3部門と、スマートフォン2部門により構成されている。

プリント部門は、「一般展示」(メイン7会場・サテライト23会場)、「平成の一枚」(メイン7会場・サテライト23会場)、「鉄道のある風景」(メイン7会場・鉄道博物館3会場)で構成されている。

プリント部門のひとつ「鉄道のある風景」部門は、当サイトでも鉄道撮影の連載がはじまった中井精也さんが作品をセレクトしている。

「平成の一枚」部門は、元号が切り替わった2019年ならではのテーマだ。

スマートフォン部門は、「お気に入りの1枚」(メイン7会場・横浜会場)、「インスタグラム」部門(メイン7会場・横浜会場・神戸会場)となっている。

インスタグラム部門は、横浜・神戸の両会場の展示に向けて現在も作品を募っている。

このほか「日本で最も美しい村」連合や、株式会社リクルートが運営する旅行サイト「じゃらん」とのコラボレーションした展示もある。

会場で写真を楽しむための施策も

今回は、著名人や写真家の選評メッセージが聞ける、チェキ「instax mini LiPlay」の撮影体験コーナーも設けられる。また、東京会場では会場内2箇所に設置されているスタンプを集めるスタンプラリーも実施される。

会場内の各所には、撮影時に活用できる手持ちのメッセージボードも置かれている。

展示は世界にも

国内での展示は、東京会場を皮切りに、33の会場で実施される。

また、海外でも本展と同じコンセプトで展覧会がおこなわれる。2019年度は、「FUJIFILM Global Photo Exhibition」と題してアメリカや欧州など海外10カ国に規模を拡大して実施していくという。

富士フイルム株式会社 執行役員イメージング事業部長の宮崎剛氏は日本を含めて計約11万点の作品を展示し、「写真を撮る喜び、プリントして飾る楽しさ、写真で残す大切さ」を発信していくと発表した。

宮崎剛氏(富士フイルム株式会社 執行役員イメージング事業部長)

7月12日から11月10日にかけて全国をめぐる本展覧会、各地の開催情報は以下のとおりだ。

実施期間

2019年7月12日(金)〜11月3日(日)
展示期間は会場によって異なる

展示会場:メイン

各会場では「一般展示」部門、「平成の一枚」部門、「鉄道のある風景」部門、「お気に入りの1枚」部門、「インスタグラム」部門が展示される。

東京会場

場所:フジフイルム スクエア/東京ミッドタウン
期間:7月12日(金)~7月17日(水)

仙台会場(仙台駅周辺[予定])

場所:仙台駅イベントスペース/アエル アトリウム
期間:8月17日(土)~8月19日(月)

名古屋会場

場所:LACHIC
期間:8月23日(金)~8月25日(日)

札幌会場

場所:JRタワー 東コンコース/JR札幌駅 西コンコース
期間:8月30日(金)~9月1日(日)

福岡会場

場所:ソラリアプラザ/イムズ
期間:9月6日(金)~9月8日(日)

広島会場

場所:紙屋町シャレオ シャレオ中央広場
期間:9月20日(金)~9月22日(日)

大阪会場

場所:グランフロント大阪
期間:10月4日(金)~10月6日(日)

展示会場:サテライト

「一般展示」部門、「平成の一枚」部門が展示される。なお、横浜会場では「お気に入りの1枚」部門の展示もある。

鹿児島会場

場所:イオンモール鹿児島
期間:7月26日(金)~7月28日(日)

三重会場

場所:イオンモール津南
期間:7月26日(金)~7月28日(日)

奈良会場

場所:イオンモール大和郡山
期間:8月2日(金)~8月4日(日)

熊本会場

場所:イオンモール熊本
期間:8月16日(金)~8月18日(日)

旭川会場

場所:イオンモール旭川西
期間:8月23日(金)~8月25日(日)

甲府会場

場所:アイメッセ山梨
期間:8月24日(土)~8月25日(日)

水戸会場

場所:イオンモール水戸内原
期間:8月30日(金)~9月1日(日)

岡山会場

場所:イオンモール倉敷
期間:8月30日(金)~9月1日(日)

秋田会場

場所:秋田市にぎわい交流館AU
期間:9月6日(金)~9月8日(日)

神戸会場

場所:デュオこうべ
期間:9月6日(金)~9月8日(日)

千葉会場

場所:三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY
期間:9月13日(金)~9月15日(日)

山口会場

場所:おのだサンパーク
期間:9月13日(金)~9月15日(日)

愛媛会場

場所:エミフルMASAKI
期間:9月20日(金)~9月22日(日)

沖縄会場

場所:サンエー宜野湾コンベンションシティ
期間:9月27日(金)~9月29日(日)

長野会場

場所:MIDORI長野
期間:9月27日(金)~9月29日(日)

新潟会場

場所:イオンモール新潟南
期間:10月4日(金)~10月6日(日)

横浜会場

場所:ランドマークプラザ
期間:10月11日(金)~10月13日(日)

石川会場

場所:イオンモールかほく
期間:10月18日(金)~10月20日(日)

和歌山会場

場所:イオンモール和歌山
期間:10月18日(金)~10月20日(日)

静岡会場

場所:日清プラザ
期間:10月25日(金)~10月27日(日)

盛岡会場

場所:イオンモール盛岡
期間:10月25日(金)~10月27日(日)

松江会場

場所:イオン松江ショッピングセンター
期間:11月1日(金)~11月3日(日)

埼玉会場

場所:イオンレイクタウンkaze
期間:11月8日(金)~11月10日(日)

展示会場:サテライト(鉄道のある風景部門)

大宮会場

場所:鉄道博物館
期間:7月20日(土)~7月28日(日)

名古屋会場

場所:リニア・鉄道館
期間:8月17日(土)~8月25日(日)

京都会場

場所:京都鉄道博物館
期間:10月26日(土)~11月3日(日)

本誌:宮澤孝周