写真展レポート

FUJIFILM SQUARE企画展「アメリカ近代写真の至宝 ギルバート・コレクション展」

巨匠たちのオリジナルプリントが並ぶ

富士フイルム株式会社は、「アメリカ近代写真の至宝 ギルバート・コレクション展」を東京・六本木のFUJIFILM SQUAREにおいて11月28日まで開催している。

巨匠の作品が一同に揃う

本展では、アルフレッド・スティーグリッツをはじめ、グループf.64のメンバーであるエドワード・ウェストンやイモジェン・カニンガム、アンセル・アダムスなど、アメリカ近代写真を代表する10名の写真家の作品、約70点が一挙に展示される。

展示会場の様子。

アンセル・アダムスといえば、2017年の3月に同館の開館10周年を記念して開催された「二十世紀の巨匠 美と崇高の風景写真家 アンセル・アダムス」が記憶に新しいところ。足を運ばれた方もいらっしゃることだろう。実は、この時の写真展も同じくギルバート・コレクションより出品された作品群だった。

ちなみに、今回展示されているアンセル・アダムスの作品は、この時に反響が大きかったものと、代表作からの紹介となっているとのこと。

ギルバート・コレクションとは

アメリカ・シカゴに住む写真家アーノルド&テミー・ギルバート夫妻が約20年にわたり収集した写真コレクション。それがギルバート・コレクションだ。その内容は1930年代~50年代の近代写真の巨匠が手がけた作品によって構成されており、写真家自らが手がけたオリジナルプリントを多数含んでいる。

京セラ株式会社はこの一大コレクションの中から1,050点の精選した作品を購入。そして、1986年に京都国立近代美術館に寄贈した。今回の展覧会で出会える作品は、この時購入された作品群の一部というわけだ。

展示会場には、この歴史的な流れを俯瞰できる年表もあった。

みどころは?

本展の開催にあたり、富士フイルムは「巨匠たちが追求し、その頂点を極めたオリジナル・プリントを通じて、現代の写真表現の源流を再認識し、写真表現の本質とは何か、これからの時代における写真の可能性がどこにあるのかを見つめ直すきっかけになれば」と呼びかけている。

写真家の創意が反映されたオリジナルプリントが見られるということが、やはり一番の魅力だといえそうだ。

展示にも工夫が凝らされている。エドワード・ウェストンの作品2点からは、作家が形(フォルム)に注目していたことがわかるようになっているとのこと。こうした作家それぞれの眼差しにも注目してもらいたい、と同展のキュレーターは話していた。

展示作家のプロフィールと肖像写真の展示も。ここで紹介されている作家の肖像写真自体も同展で作品が展示されている写真家が撮影したもの。スティーグリッツやエドワード・ウェストンであればカニンガムが撮影していたり、ポール・ストランドはスティーグリッツが撮影している。こうした写真もなかなか見られないものだという。

出品写真家

アンセル・アダムス(Ansel Adams)1902-1984
ウィン・バロック(Wynn Bullock)1902-1975
ハリー・キャラハン(Harry Callahan)1912-1999
イモジェン・カニンガム(Imogen Cunningham)1883-1976
アーロン・シスキン(Aaron Siskind)1903-1991
アルフレッド・スティーグリッツ(Alfred Stieglitz)1864-1946
ポール・ストランド(Paul Strand)1890-1976
ブレット・ウェストン(Brett Weston)1911-1993
エドワード・ウェストン(Edward Weston)1886-1958
マイナー・ホワイト(Minor White)1908-1976

展覧会概要

会期

2018年11月9日(金)〜11月28日

時間

10時00分〜19時00分
入場は閉館10分前まで

会場

FUJIFILM SQUARE
東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウエスト

入場料

無料

ギャラリートーク

2018年11月17日(土)14時00分〜 / 16時00分〜 牧口千夏(京都国立近代美術館 主任研究員)
2018年11月24日(土)14時00分〜 / 16時00分〜 高橋則英(日本大学芸術学部写真学科教授)

本誌:宮澤孝周