写真展告知

菅原一剛さん撮影の植物標本写真作品が「牧野植物園がやってきた展。」で展示

牧野富太郎博士の植物図を撮影した写真集も

東京・渋谷で2月1日(水)から開催される「牧野植物園がやってきた展。」において、写真家の菅原一剛さんが撮影した植物の標本写真作品8点が展示される。会場は渋谷PARCO 8階のギャラリースペース「ほぼ日曜日」。会期は3月5日(日)まで。入場は無料。

「牧野植物園がやってきた展。」は、植物分類学者の牧野富太郎博士(1862年~1957年)が製作した植物図(複製)の展示会。牧野博士のすぐれた観察眼と知識によって緻密な線で描かれた植物図は、植物の器官やこまやかな毛、ときには細胞までもが正確に描き出され、学術的な価値だけでなくアートとしても評価されてきたという。

展示タイトルにもある高知県立牧野植物園には、牧野博士による植物標本が約5,500点、植物図はスケッチなどもふくめ1,700点以上が残されている。展示会場には、その中から50点以上の植物図の複製が展示される。

菅原一剛さんが発起人、「MAKINO Botanical Art Project」がスタート

菅原さんは、牧野博士の植物標本から感じられる“まるでまだ生きているかのような生命感”に感銘を受け、2021年秋にそれらの植物標本の肖像写真撮影を開始した。それは単なる複写とは異なり、「肖像写真を撮るかのような眼差しでもう一度光を当て蘇らせたい」という願いを込めたものだという。

菅原さんが撮影した肖像写真は、牧野博士の生誕160年の誕生日である2022年4月24日の高知新聞朝刊を、記事全体をくるむラッピング誌面として発行された。

この出来事により、牧野博士の植物標本が持つ魅力と人の心を動かす力を再認識したという菅原さんは、博士のメッセージを広く届けるために「MAKINO Botanical Art Project」を立ち上げた。植物標本写真作品を軸としたプロジェクトで、自身の写真を通して牧野博士が残した標本や植物そのものの美しさや生き様を伝え、博士が晩年まで抱きつづけた平和を願う心を広く伝える活動を展開するという。

そのプロジェクトの一環で、菅原さんは「牧野富太郎 標本写真集『MAKINO植物の肖像』」(北隆館)を2月20日に出版する。牧野植物園所蔵の植物標本約5,500点の中から41点を写真に収めたもので、標本のセレクトを担当した牧野植物園の藤川和美理学博士による解説文も掲載されている。その中の8点を、前出の展示会「牧野植物園がやってきた展。」にて展示する。

同プロジェクトではこのほか、全国の植物園や牧野博士ゆかりの施設・美術館での企画展の開催、全国各地に保管されている牧野博士の植物標本の撮影およびデジタルアーカイブ化を予定。ポッドキャストにて、菅原さんをはじめとした、牧野博士や植物に詳しい各界の人々が植物愛を語る「マキノラジオ」も準備中だという。