写真展告知

大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

(エプサイトギャラリー)9月17日〜10月26日

東京の荒川と旧江戸川に囲まれた臨海部で1980年代半ばから撮ってきた私のもう一つのスナップショットは、バブル、東日本大震災など大きな節目を経験するたびに、その都度、都市の波打ち際からの視点を少しづつ変化させてきました。2017年の写真展「なぎさの日々」(ふげん社)は、久しぶりに「人」を真正面から捉え、グローバリゼーション、インバウンドといった状況がここにも色濃く反映されてきたことを伝えるものでもありました。

あれからたった3年。「緊急事態宣言下」の臨海風景はガラリと変わり、とても空虚で殺伐とした空間の連なりが眼前に続くだけ。誰もがそうであったように、自分自身とそこで向かい合わざるを得ない時間ばかりとなりました。そこから生まれた言葉が「孤島」であったのですが、撮りためていくにつれ、一条の光も見え始めてきました。
孤島から島へ。「ここから」私たちの再生が始まるという淡い希望。ここは「大きな島」でもあるような。見失ってはいけないことやもの。そして人。ここから、いつの間にか70歳を迎える私のささやかな活力を。

大西みつぐ

作品紹介より

三方を「水」に囲まれたここは「半島」のようだと80年代から思ってきた。
東京の最東部ともいえるその舳先に立つと、
なんだか東京そのものを掌握しているような気分になることもあった。
バブル、世紀末、東日本大震災を経て、インバウンド需要。
いつしかここも東京の手軽な観光地として賑わっていた。

2020年のある日、自宅から数分の波打ち際に向かうと、
そこでは自分の姿しか視界に入らなくなっていることに唖然とした。
黙する日々。
半島は「孤島」に変わる。
焦燥感と無愛想な風景。
しかしそれでも大型カメラで長時間露光撮影を試み、
容赦の無い時間の只中にいることに意識を集中させたりもした。
あるいは名も知らない草花、小さな虫、風のささやき。
60代後半にして知る「ネイチャー」が漠然と広がっていった。

光が差し込む微かな方向を探す。

いつだったか、
外国人の子どもが一人、渚で下着一枚のまま水面を長いこと見つめていた。
反射的に遠くから望遠ズームで撮ったものの、
いっぱいに拡大した画像はどうも女の子のようだった。
妙な疑いや誤解をかけられたら困るので画像は封印した。
しかし北欧のどこかにいるようで、
夢のような生き生きとした美しい情景としてずっと脳裏に残った。
孤島から島へ、島から。
まだまだ巷は霧がかかったような状態だが、
再生という淡い希望が少しづつ生まれている。

僕はまた自転車のペダルを漕ぎながら、微かな日々を重ねていく。

2022年 コロナの夏

大西みつぐ

大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

会場

エプソンスクエア丸の内 エプサイト エプサイトギャラリー
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F

開催期間

2022年9月17日(土)~10月26日(水)

開催時間

11時00分~18時00分

休館

日曜日

作者プロフィール

1952年東京深川生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。1970年代より東京下町や湾岸の人と風景、日本の懐かしい町を撮り続けている。写真集・著書に「下町純情カメラ、「遠い夏」、「wonderland」、「川の流れる町で」など。個展、企画展多数。
1985年「河口の町」で第22回太陽賞。1993年「遠い夏」ほかにより第18回木村伊兵衛写真賞。平成5年江戸川区文化奨励賞。2017年日本写真協会賞作家賞。
2017年自主映画監督作品「小名木川物語」を公開。
東京造形大学、武蔵野美術大学、関東学院大学、大阪芸術大学などで非常勤講師、客員教授を歴任。
現在、日本写真家協会会員、日本写真協会会員、ニッコールクラブアドバイザー、全日本写真連盟関東本部委員。

関連イベント:大西みつぐ写真展 オンライン内覧会&スペシャルトーク

ーまいにちを作品に! スナップ写真の輝きー
<写真家>大西みつぐ × オカダキサラ

開催日時

2022年9月16日(金)19時00分~
アーカイブあり

参加費

無料

申し込み方法

事前申し込み制
https://sform1.epson.jp/public/seminar/view/6185

関連イベント:被写体と向き合うコツ!なつかしさの表現術

スナップ写真の名手 大西みつぐ氏の撮影術や機材、プリントに至るまでの仕事を、皆さまからのご質問も交えながら楽しく紐解いていきます(引用)。

開催日時

2022年10月5日(水)19時00分~20時00分

料金

税込1,000円