写真展告知

大門美奈・大門正明写真展「Bright Britain」

(CO-CO PHOTO SALON)9月14日〜9月24日

(c)Mina Daimon

2011年のデビュー以来、11年目となる夫婦による2人展。
区切りの良い10年目に開催したいと思っていたのだが、11年目も1+1ということで2人展にはぴったりな数字ではないかということで、当時と同じ銀座という地で写真展を開催することとなった。

撮影地は前回のポルトガルから北へ少々移動した英国。晴れやかなイメージのロンドンをはじめとした英国のスナップを楽しんでほしい。

写真展情報より

ロンドンは平らな街だった。先が見えるともっと先へ歩きたくなる。街中で立ち止まって地図を確認していると老婦人が「どこへ行くの?」と声を掛けてきた。目的の場所を告げると「ああ、それならあそこに大きな木があるでしょう? その目の前よ」と50メートルほど先にある木を指差す。大きな木が無理な剪定をされずにごく当たり前に街なかにあって、それがランドマークになっていることにやけに感動した。細い路地も、坂もないからドラマチックな光景に出会うことはあまりないけれど、先が見える穏やかな町並みは、我々をごく自然に迎え入れてくれた。

ロンドンへ来たのは古くからの友人の結婚式に出席するためだった。ちょうど季節は夏。ついでに夏休みも一緒にとってしまおう、と2週間ほど滞在することにしたのだった。ロンドンは空港にはトランジットで何度も来たことはあったが、市街に出たことは一度もなかった。ここ10数年もの間スペインばかり訪れていたこともあるが、「雨が多い、食事が美味しくない」というステレオタイプのイメージに支配されていたというのは否定出来ない。

我々の期待は非常に良い形で裏切られた。3年ぶりという晴天続きの毎日。少し歩けばすぐ公園に行き当たるので、ホテル近くのティーショップでサンドイッチと紅茶を買って、手入れされた芝生の上で朝食を摂る。どちらもすこぶる美味しいのだ。公園で朝食を摂るのは滞在中、ふたりにとって毎朝の楽しみとなった。

朝食を終えると一旦ホテルに戻り、撮影の準備をする。前日にどこへ行くかはあまり考えず、その日の朝に今日はどの辺りへ行くか決める。バスを使うこともあったが、ロンドンの街はほとんど歩いて過ごした。疲れたらどこかのカフェに入ってビールを喉に流すか、公園の日陰で少しの間目をつむる。7月といっても肌寒いだろうと思い持参した長袖に手を通すことは一度もなく、露出した腕はみるみるうちに焼けていった。

天気が良いと気分も晴れる。良い気分で過ごしていたためか、街も人も親しげに感じられたのは気のせいではなかったはずだ。夏という季節のためか、3年振りというお天気続きのためか、それとも友人の晴れやかな顔のためか。ロンドンという街は私の当初のイメージとは正反対の、やけにきらきらと輝きを持ったものに取って代わった。ふたりで写真を撮るからこそ見える景色もあるだろう。いつかまたここへ来ることもあるかもしれない。その時もきっとふたりの頭上には青空が広がっているのだろう、と想像できる。

(c)Mina Daimon
(c)Masaaki Daimon
(c)Masaaki Daimon

大門美奈・大門正明写真展「Bright Britain」

会場

CO-CO PHOTO SALON
東京都中央区銀座3-11-14 ルート銀座ビル 4階

開催期間

2022年9月14日(水)〜9月24日(土) ※9月18日(日)は休館

開催時間

11時00分〜18時30分

作者プロフィール

大門美奈

横浜市出身、茅ヶ崎市在住。公募展をきっかけに写真家となる。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「新ばし」・「浜」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。海外や日常のスナップのほか、日本の伝統や陰影を生かした美の表現を得意としている。

大門正明

東京都出身。筑波大学卒業。金融機関で働く傍ら写真表現に目覚め、2011年大門美奈との2人展「Portugal」にてデビュー。グループ展、チャリティー写真展などに参加。スナップのほか建造物の撮影を得意とし、現在は鳥居をモチーフに新たな制作に取り組んでいる。