写真展告知

MANA 野元学写真展:PLANET BONIN -楽園の記憶-

東京から南へ1000km。

太平洋にぽつんと浮かぶ東京都の亜熱帯の島々に、世界に誇れる素晴らしい「自然」がある。

飛行場はない。東京から6日に一便の定期船「おがさわら丸」で一夜を過ごし、波に揺られること24時間。これが島へ渡る唯一のアクセス手段だ。24時間もあればジェット機に乗って地球の裏側へさえ行けてしまう現代にあって、丸1日も船に乗り続けなければ辿り着けない場所。それが「楽園」世界自然遺産・小笠原諸島だ。

小笠原諸島は南北400kmに渡って散在する大小30余りの島々、北から聟島列島、父島列島、母島列島からなる小笠原群島と火山(硫黄)列島および周辺孤立島、そして西之島、南鳥島、沖ノ鳥島で形成されている。

4800万年前に太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込みを開始し海底火山活動が始まり、その後成長した海底火山が地殻変動により隆起して島々が誕生した。

小笠原諸島は島が誕生してから一度も大陸と陸続きになったことがない「海洋島」だ。

大海原にぽつんと存在する「海洋島」では、大海を越え運良く島に辿り着いた生物が島の様々な場所に分布拡散し、悠久の時の中で、それぞれの場所で環境に適応するように形や色を変え、独自の進化を遂げて独特の生態系を作り上げる。「海洋島」である小笠原諸島には、小さな島に実に多種多様な生き物が生息し、ここでしか見ることができない固有種の宝庫となった。故に小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。

また、小笠原諸島は大陸形成の元となる海洋性島弧の誕生から成長の形成過程を地上で見ることができる世界唯一の場所で、海洋地殻から大陸地殻への進化の道程を記憶する地球史の顕著なサンプルで、地質・地学的に非常に貴重な場所だ。

太平洋に浮かぶこれらの小さな島々は、海蝕崖に囲まれ、切り立った海岸線や奇岩、枕上溶岩の模様、世界的にも珍しい珍水カルスト地形などと相まって、あちらこちらに絶景の自然美を造り出した。

そして小笠原諸島は2011年6月23日に世界自然遺産に登録された。

長年ハワイを拠点に世界の色々な場所を旅し撮影をしてきたが、25年前に初めて小笠原を訪れた時、日本にこんなにも素晴らしく魅力的な場所があったという事に少なからずショックを受けた。しかもそれは東京都にあったのだ。

初めての滞在中にすっかり魅力的なこの島の虜になり、それ以来足繁く島に通い続け、気がつけば島の様々なものの一番美しい姿や瞬間を撮影しようと、ついには拠点をこの島に移しライフワークとして現在も日々撮影を続けている。

気の遠くなるような長い年月を掛けて自然が作り出した絶景、地球上でここでしか見られない多くの固有種、雄大で美しい朝陽や夕陽、汚染や光害のない澄んだ夜空に輝く満点の星、「ボニンブルー」の美しい海を自由に泳ぐ野生のイルカやクジラ。

小さな島で毎日同じものを見たり、同じ場所で撮影をしても決して飽きることはない。

25年間も撮影をしていても、「もっと見たい」、「もっと知りたい」、「もっと撮りたい」と思わせる場所が小笠原なのだ。

東京都にある世界に誇れる自然の世界をどうぞごゆっくりお愉しみください。

写真展情報

会場

Sony Imaging Gallery
東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階

開催期間

2018年6月8日(金)~6月21日(木)

開催時間

11時~19時

写真展ギャラリートーク

6月9日(土)16時~16時45分
6月16日(土)16時~16時45分

作者プロフィール

写真家・映像作家
小笠原諸島・父島在住
1986年に渡米後ハワイを拠点に1988年よりフリーランス・フォトグラファーとして活動を始める。1993年より足繁く小笠原諸島に通い、25年間に渡りライフワークとして世界自然遺産・小笠原諸島の撮影を続け、雑誌やTVなどで精力的に作品を発表している。
また、撮影活動の他に、自身の撮影フィールドである地球(プラネットアース)の環境問題にも積極的に取組み様々な活動も行なっている。

公益社団法人日本写真協会会員