イベントレポート

FUJIFILM X-H2Sと新レンズも体験。「PHOTONEXT 2022」会場レポート(前編)

4K動画対応の新「おもいでばこ」登場 フィルム/用紙の新製品も

フォトビジネスおよびプロフォトグラファーを対象としたイベント「PHOTONEXT 2022」が6月7日と6月8日にパシフィコ横浜で開催された。主催は株式会社プロメディア。

プロフォトグラファーや写真館、メーカーなどを対象に、プロ機材や写真関連商材を展示するイベントとなっている。取材した初日は多くの来場者で賑わっており、各ブースで商談する姿も見られた。

入り口では感染症対策も行われていた

新機種「FUJIFILM X-H2S」が展示(富士フイルム)

発表したばかりのミラーレスカメラ「FUJIFILM X-H2S」や新型レンズなどが展示されていた。FUJIFILM X-H2Sは、同社フラッグシップシリーズの最新モデルで、撮像素子や画像処理エンジンを刷新した。ボディ単体の店頭予想価格は税込35万円前後で、7月14日に発売する。プロの使用にも対応する最新モデルとあって、ハンズオンコーナーには列もできていた。

ハンズオンコーナー

FUJIFILM X-H2Sで撮影した大判プリントも

縦位置グリップなどのアクセサリーも用意されていた。

ミラーレスカメラとしてはユニークなアクセサリーとして、外付け冷却ファン「FAN-001」が用意されている。ネジで簡単に装着でき、電源は本体から供給される。高温環境下で動画の連続記録時間を延ばせるという。

交換レンズの新製品では、パワーズーム機能を搭載した「XF18-120mmF4 LM PZ WR」も試すことができた。”トラベラーズーム”をキャッチフレーズにしており、ズーム倍率は6.7倍の高倍率タイプとなる。9月に希望小売価格14万5,200円(税込)で発売する。

もう1本の新レンズが超望遠タイプの「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」。35mm判換算の焦点距離は229-914mm相当となる。1,000mm近いテレ端でも素早い合焦が印象的だった。7月14日に希望小売価格32万2,300円(税込)で発売する。

プロ向けの動画撮影を提案するコーナーもあった。手前のセットにはシルイのアナモルフィックレンズが装着されていた。また、タスカム製のマイクアダプターは富士フイルムとタスカムの協業による製品だ。

ラージフォーマットのGFXシリーズのコーナーもあった。人物が小さくなってしまう集合写真を高精細に撮影できる点などを訴求していた。

インスタントカメラ”チェキ”のコーナーでは比較的新しい「instax mini Evo」を試すことができた。発売から半年程度たったが、今までに少なかった男性ユーザーがも多いとのこと。ダイヤルやレバー操作といったスマホには無いギミックも受けているそうだ。プリンター内蔵デジタルカメラになっており、様々なエフェクトなどを適用できるのも特徴となっている。

人気のエフェクトという「ハーフフレーム」

”チェキ”のコーナー

インスタントカメラのビジネス向け提案として、イベント来場者を撮影した写真にQRコードを付けて宣伝に使う事例が紹介されていた。単なるチラシを配布するよりも、来場者自身が写っていることでリーチが高まるという。

SAMYANG初のズームレンズ(ケンコー・トキナー)

3月に発売されたSAMYANGで初めてとなるズームレンズ「AF 24-70mm F2.8 FE」が展示されていた。プロなどが多用する大口径タイプの標準ズームレンズだ。ズーム操作でピント位置がずれないという機能を搭載しており、動画での活用も見込む。価格は税込12万2,800円。

大口径の超広角レンズ(ケンコープロフェショナルイメージング)

IRIXの一眼レフカメラ用レンズが参考出品されていた。同ブランドは一眼レフカメラ用の広角レンズや大口径レンズを得意としている。展示品はキヤノンEFマウント用だが、他のマウントもラインナップする予定。

展示品は「21mm F1.4」と「30mm F1.4」で、低い歪曲収差などを特長としている。いずれも価格は未定で近日発売する。

HDR対応の自動キャリブレーション対応ディスプレイ(EIZO)

写真やデザインのプロ向けディスプレイシリーズのうち、キャリブレーションセンサーを内蔵した「ColorEdge CG」シリーズの新モデル「ColorEdge CG2700S」を展示していた。6月16日に税込24万2,000円で発売する。

27型(2,560×1,440)モデル。AdobeRGB 99%カバーといった広色域対応はそのままに、Hybrid Log GammaとPQのHDR表示に対応。HDR動画の編集向けとしても訴求する。本体にUSB Type-Cポートを装備し、ノートPCに給電(最大92W)しながら映像を表示できる。

内蔵キャリブレーションセンサーを動作させたところ

4K動画に対応した「おもいでばこ」新モデル(BUFFALO)

スマートフォンの写真や動画を保存してテレビで鑑賞するHDDストレージ「おもいでばこ」の新モデル「PD-2000」シリーズを展示していた。スタンダードモデルが容量1TB、2TB、4TBで、1TBモデルが3万円程度の見込み。他に高耐久性HDDを採用して3年保証としたプレミアムモデルも用意する。Amazon内の公式ストア限定で近日に発売する。

ハードウェアをリニューアルし、より高速な動作を実現した。サムネイルのスクロールも早くなった。スマートフォンの4K動画も保存/再生が可能。スマートフォンからは無線で取り込みができ、接続はWi-Fi 6にも対応する。また、バックアップHDDを接続するインターフェースがUSB 3.0となり高速化された。

スタッフによると、「コロナ禍で写真を撮る機会は減ったが、在宅時間が増えて写真を整理し見返すニーズが増えたことで販売数は伸びた」とのこと。

Wi-Fiルーター経由で古いおもいでばこからデータの引越しもできる

Googleフォトへのアップロード機能も搭載

バックアップ用の純正HDDも近日発売する。容量は1/2/4TB。おもいでばこは非純正HDDでも基本的にバックアップ可能だが、純正品は消費電力などの面で安全に動作する仕様となっている。

カラーチャートやキャリブレーターを扱う新会社(ヴィンチェロ)

カラーマネジメント用品を扱うヴィンチェロが出展していた。ヴィンチェロはX-Riteから事業を受け継いだCalibriteの日本総代理店で、2021年に設立されたばかり。

同社のカラーチャートは信頼性の高いリファレンスターゲットとしてプロの現場では定番の存在。正しいホワイトバランスに調整するといった用途で使われる。また、X-Riteブランドで馴染みのあったキャリブレーターも写真愛好家向けからプロ向けまで各種をラインナップしている。

なお、今後はCalibrite以外の製品も取り扱っていく予定だとのこと。

粋なケースに入ったネガフィルム(かわうそ商店)

撮影フィルムなどを扱うかわうそ商店では、FILM NEVER DIEの新カラーネガフィルムを展示していた。いずれも紙製の粋なケースに入っているのが目を惹く。

様々なフィルムが並んでいた

「SORA 200」はISO200のデーライトタイプ。「UMI 800」はISO800のタングステンタイプ。いずれも35mmの36枚撮り。ともにあっさりした写りが特徴という。FILM NEVER DIEはオーストラリアのブランド。

またコダックのカラーネガフィルム「GOLD 200」のブローニー(120)タイプも新製品として展示されていた。

その他、最近の発売ではTri-X 400フィルム(白黒)の使い切りカメラもあった。人気のあるフィルムだが、使い切りカメラのレンズでの写りが興味深いところ。

価格を抑えたファインアート紙(ダイヤミック)

ピクトリコブランドでは2種類の新しいインクジェット用紙を展示していた。

1つは「ピクトリコプロ・ファインアートスムーズ」。コットンパルプ配合の厚手のファインアート紙で、発色にも優れるという。一般にファインアート紙は高価だが、A4で1枚当たり100円程度にしたことで、これまで興味はあったが試せなかったユーザーにも訴求していく。

もう1つは「ピクトリコプロ・シルキーフォトペーパー」。絹目のテクスチャーがある用紙で、銀塩プリントの絹目を彷彿とさせるとのこと。光沢はあるが、通常の光沢紙よりも映り込みが少ないので写真が見やすいのもメリットという。

輝きのあるイルフォードの用紙(ジェットグラフ)

イルフォードブランドの用紙では3種類の新製品が展示されていた。「手漉き和紙 越前パール」は、従来の越前和紙に高輝度パール剤を配合して輝きを持たせたもので、高級感のある印象を受ける。面質はマット。

左が「手漉き和紙 越前パール」。右は従来の越前和紙

残りは「テクスチャードコットンスプライト」と「スムースコットンスプライト」。いずれもコットンペーパーだが、前者は柔らかみのあるテクスチャー面質とし、後者は素材の風合いを残してスムース面質としたタイプとなっている。いずれもマット仕様。

左が「テクスチャードコットンスプライト」、右が「スムースコットンスプライト」

低価格のドイツ製インクジェット用紙(ユーロペーパージャパン)

世界ナンバーワンの写真用紙メーカーという独フェリックス・シェラーのインクジェット用紙「マキシムプレミアム写真用紙」が展示されていた。

染料、顔料の両インクに対応しており、光沢と半光沢をラインナップしている。厚みが0.3mmあるため顧客への受けが良いという。また、波打ち防止の層も備えている。経年での色変化も少ないとのこと。

価格は一例として光沢A4が税別5,800円(100枚入り)などとなっている。パッケージを簡素化することや地方に拠点を設けることなどでコストを削減し、低価格を実現しているという。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。